【文化】大切な科学の視点 【10面】
新型コロナウイルスの感染が再び拡大し始め、欧米では今年春の第1波を上回る勢いだ。原点に返って、コロナを科学的に考えることが必要ではないか。
パンデミック(世界的大流行)が始まって半年余り。このやっかいなウイルスの正体もかなり知られるようになった。治療レベルは向上し、ワクチン開発も進んでいる。
筆者は新聞・雑誌・テレビなどで、新しい動きや関連情報を集めてきたが、どうも頭の中のモヤモヤを払拭できなかった。それらの断片的な情報を理解するのに必要なコロナウイルス(あるいはウイルス全般)の基礎知識を持っていなかったからであった。
ということで、コロナウイルスの専門家である科学者が書いた単行本を読んでみた。もちろん専門書ではなく、一般読者を対象にした啓蒙書だ。大変役立ったのは『新型コロナウイルス 脅威を制する正しい知識』(水谷哲也著、東京化学同人、1200円+税)であった。著者は北海道大学獣医学部を出た後、30年間にわたってコロナウイルスの研究を続ける実践的研究者である。