「第13回ウィズガス全国親子クッキングコンテスト〜炎の調理で五感を研ぎ澄ます〜」(主催・ウィズガスCLUB)の全国大会が1月26日、東京ガス新宿ショールームで開かれ、実技審査を行った。5万8402組の応募の中から全国9地区の予選を勝ち抜いた親子11組が、「わが家のおいしいごはん」日本一を目指して熱戦を繰り広げ、東海地区(愛知県)代表の野村千里さん・壮一朗君(小5)親子がグランプリの「ウィズガスCLUB賞」に輝いた。
●全国の代表親子が東京で熱戦
全国親子クッキングコンテストはウィズガスCLUB(住宅生産団体連合会、キッチン・バス工業会、日本ガス石油機器工業会、日本ガス体エネルギー普及促進協議会=コラボの4団体で構成)の食育活動として2007年から毎年開催している。「炎の調理」を通じて子供の心と体の成長を促し、家庭での食育推進につなげることが目的だ。小学生の夏休みの課題に有効との評価も多く学校単位での取り組みが全国に広がっている。テーマは「わが家のおいしいごはん〜家族で一緒に作ろう、うちの自慢メニュー〜」。食材費2000円で4人分の料理を60分以内に作るのが条件だ。19年6月から作品を募集し8月以降に地区予選と県大会を実施。11〜12月にかけて全国9ブロックで地区大会決勝を行い、全国大会へ出場する11組を選出した。
グランプリの野村さん親子は、三河湾の離島日間賀島産のタコを使ったタコ飯や愛知県愛西市名産の「あいさいレンコン」とエビを合わせた揚げ団子など、県産食材を取り入れた5品を調理。タコ飯は千里さんが母親から受け継いだ味。タコの軟らかさや味付けが審査委員から高く評価された。壮一朗君はエビとレンコンの揚げ団子づくりに奮闘した。レンコンは総量400g使い、栄養価の高い皮をつけたまま力いっぱいすりおろした。千里さんは長女、次女ともコンテストに応募した経験があり、今回が3回目の挑戦。練習と改良を重ねて全国大会にたどり着いた。授賞式で壮一朗君は、「学校のみんなから『準優勝か優勝を取ってきてね』と言われていたので、期待に応えられてよかった」と喜びを語った。千里さんは「料理を通して息子に自信を付けてもらうことができた」と話した。
準グランプリの「住宅生産団体連合会賞」には、四国地区(高知県)代表の氏原詩子さん・陽月さん(小6)、「キッチン・バス工業会賞」は関東中央地区(山梨県)代表の田中さち子さん・秀明君(小5)、「日本ガス石油機器工業会賞」は近畿地区(大阪府)代表の青木めぐみさん・かのんさん(小5)が選ばれた。
高知県の氏原さん親子は昨年も出場し準グランプリを獲得している。今回は高知県の郷土食「いなか寿司」に挑戦した。寿司ネタは海と山、川の恵みの12種類。陽月さんはカツオを1本まるごとさばき、柵に切り分けて直火であぶり、たたきを作った。スムーズな手さばきは審査委員も注目した。昨年と同様の結果に、陽月さんは表彰式で悔しさもにじませたが「20年後、今度は私が子供と挑戦します」と晴れやかに語った。
山梨県の田中さん親子は、スモモやブドウ、旬のイチゴなど果物を取り入れた山梨ならではの献立を調理した。捨ててしまいがちなネギの青い部分やショウガの端などもスープのだしに使うなど、エコへの配慮も評価につながった。秀明君はメイン料理の鶏肉を担当。食べやすいそぎ切りや、フライパンで焼く作業も丁寧な手つきで進めていた。ガスの直火でトマトをあぶって薄皮をむくなど、ガス火の使い方も工夫した。
大阪府の青木さん親子は和食の献立の基本「一汁三菜」をテーマに栄養バランスを考え、メイン料理にサバ缶を使うなど「お財布にもやさしい」献立を調理。ガス火を効率よく使うため同じ料理の野菜を同時にゆでたり、ニンジンは皮ごと使うなど、食材やエネルギーを無駄にしない工夫を盛り込んだ。かのんさんとめぐみさんは料理を分担し、アイコンタクトを取りながら最後まで楽しんで調理した。
●“うちの自慢料理”競う
審査委員特別賞は、関東中央地区(新潟県)代表の西須崇さん・心咲さん(小4)、関東中央地区(埼玉県)代表の對馬理恵さん・柚さん(小3)、北海道地区代表の三宅由美さん・由希乃さん(小6)の3組が選ばれた。
新潟県の西須さん親子は、柏崎の海の幸と祖父母が住む山側の食材を取り入れた献立を調理。心咲さんは野菜たっぷりな鶏団子酒粕汁を担当。鶏ひき肉に山芋や山菜を混ぜた鶏団子を心をこめて丸めた。崇さんの笑顔に見守られながら、最後までのびのび調理をしていた。
埼玉県の對馬さん親子は、県産食材を全てのメニューに取り入れた。柚さんはサケの包み焼きを担当。クッキングシートで具材を包み、オーブンに出し入れする作業も一人でしっかりこなした。ガス火を生かした献立や、子供が一人でも作れるような調理手順など、細部まで工夫した。
北海道の三宅さん親子はエゾシカ肉やたち(白子)などの道産食材や自家栽培の野菜を使って彩りよく仕上げた。1年生の時からコンテストに挑戦してきた由希乃さんは今年で最後の挑戦。担当した牛乳豆腐は家族が親しむ味。自家製サツマイモの揚げ物とベリーを盛り合わせて食べ応えのあるデザートに仕上げた。
炎のクッキング賞は、北陸地区(富山県)代表の古田貴子さん・結梛さん(小1)、東北地区(山形県)代表の渡部まゆみさん・優菜さん(小6)、中国地区(岡山県)代表の松井佳津子さん・瑞希さん(小6)、九州地区(沖縄県)代表の森俊雄さん・咲良さん(小5)の4組。
富山県の古田結梛さんは出場者の中で最年少の1年生。結梛さんは3歳の頃から貴子さんと一緒に料理や農業体験を経験し食の大切さを教わってきた。実技審査ではのりを直火であぶったり、野菜を切るなど自分の担当を黙々と進めて、隙間時間には進んで洗い物もこなしていた。
山形県の渡部さん親子は、食材の宝庫「庄内地方」出身で家では農業を営む。家族が忙しい時は優菜さんも食事を作る。今回は父親が作った「だだちゃ豆」と米を使い、えだ豆ご飯を作った。ポテトサラダはマヨネーズから手作りし、ジャガイモの食感を残すなど細部まで工夫した。
岡山県の松井さん親子は、岡山でしか味わえない魚「ひら」など瀬戸内の食材を取り入れた。瑞希さんは災害時に役立つポリ袋調理でデザートを作った。佳津子さんと声を掛け合い楽しく調理をした。1年生からコンテストに参加し、包丁使いも揚げ物もとても上手になったという。
沖縄県の森さん親子は、毎日食事を作る母親に食べてほしい料理を作った。調理の状況や残り時間など、常に声を掛け合ってお互いを気遣いながら調理を進めた。レンコンとニンジンのきんぴらは咲良さんの得意料理。沖縄では珍しい地場産レンコンを使い、オリジナルの味に仕上げた。
●コミュニケーションタイム
全国大会前日の1月25日の夕方、東京ガス新宿ショールームに各地区代表の親子が集まり、「コミュニケーションタイム」が催された。各親子お薦めの全国各地のご当地お菓子と、参加親子それぞれの名刺を事務局が用意した。ご当地お菓子の交換をきっかけに、激戦をくぐり抜けてきた各地区代表の参加者同士が親睦を深めた。
司会者が、山形県庄内地方の駄菓子「からからせんべい」(宇佐美煎餅店)や、富山の薬売りの柳行李(こうり)を模した饅頭「越中富山の売薬さん」(リブラン)など全国9地区、計11種類の個性的なお菓子を紹介。ひと通り紹介が終わると、参加親子が声を掛け合って自己紹介をしながらお菓子と名刺の交換を始めた。各自の名刺には「高知のよさこいを見に来てね」など一言メッセージが書かれており、これをきっかけに会話が始まることもあった。
参加者だけでなく応援にきていた家族も交流の輪に加わり会場は終始和やかなムード。参加者らは翌日の全国大会での健闘を誓い合い、料理好き同士、会話が弾む楽しいひと時を過ごした。
●審査委員講評
・料理を教え合い、心はぐくむ/【審査委員長】学校法人服部学園理事長、服部栄養専門学校校長、医学博士服部幸應氏
参加者の皆さんにとって、この大会の経験は今後の人生の糧になると思います。家庭でお父さんやお母さんから教わる「家庭教育」の一環として、料理はとても大切です。家に帰った後も、大会と同じように料理を頑張ってください。
最近、ヨーロッパに行ってきました。フランスやイタリア、スペインでも核家族化が進んでいます。私が子供のころ、日本で核家族は少なかったのですが、今では8割を超えています。ヨーロッパでは今、週に1回、おばあちゃんやお母さんのところに家族が集まるよう努力する家族が増えているそうです。みんなで集まっておばあちゃんがどんな料理を作っているかを学びます。また、年齢が違う人たちが集まって料理を教え合う中で、おもてなしやいたわりの心を育むことを大事にしているそうです。
日本では、離れて暮らす家族が年間に何回くらい集まるでしょうか。月に1回から始め少しずつ増やしていくべきではないでしょうか。離れて暮らす家族と会う回数を増やして、料理や知恵を分かち合うことで、さらに素晴らしいものが生みだされるかもしれません。
・親子のチームワークでおいしく料理/【審査委員】帝国ホテル特別料理顧問田中健一郎氏
コンテストで一番大事なことは、調理を一生懸命したか、親子でコミュニケーションがとれ、良いチームワークで一緒に料理を作れたかということですが、皆さん全員それができていました。今年は東京オリンピック、パラリンピックが開かれます。私は選手たちに食べてもらうメニューの検討会の座長をしていますが、そこで出す料理は、まずおいしくなければなりません。またさまざな食材を使い、無駄を出さないこともキーワードです。このようにみていくとオリンピックの料理も今日の料理も一緒だと思います。
今回、各地から勝ち進んできた応募レシピに私の専門である洋食があるかなと思っていたら、ほとんどが日本食でした。日本食には素晴らしい食材や調理技術、おもてなしの心、細やかな配慮があります。親子で料理をすることを通じて、これらのことを親から子にしっかり伝えていってほしいと思います。この全国親子クッキングコンテストがその一助になれば素晴らしいと考えています。今後の日本の料理の未来は皆さんにかかっています。これからも頑張って料理を作ってください。
・料理は親子でいつまでもできる/【審査委員】全国小学校家庭科教育研究会会長曽我部多美氏
皆さんのレシピを読んで、どんな味になるかな、どんな風に工夫をして60分で調理するのかなと、さまざま想像をしてきましたが、今日は想像を超えた味と調理法に触れることができました。レシピを読むと、地産地消など地元の食材に目を向けること、栄養バランスを良くすることに加え、今回から審査に加わった「エコへの配慮」もちゃんと書いてありました。ガス火を上手に使うことや、食材を最後まで生かしきることなどの工夫がレシピから伝わってきました。実際に試食するとどれも想像以上の味で、とってもおいしく調理されていました。今回の参加者は5〜6年生が8人、1〜4年生が3人でした。5、6年生になると、家庭科でガスの使い方を習いますが、大会では、土鍋やグリルを使うなど火加減で料理の味が変わるガスを上手に使っていました。低・中学年の人には、これから経験を積んでいろいろな料理に挑戦してほしいです。皆さんが作った料理からは、「これがうちの自慢メニュー!」というメッセージがしっかりと伝わってきました。料理は親子でいつまでもできるものです。わが家の自慢のメニューを増やしていってください。
<11組の賞・レシピ>
〇グランプリ、ウィズガスCLUB賞
東海地区代表(愛知県)野村千里さん、壮一朗君(小5)
・愛知の海と山の幸たっぷりごちそう御膳
「日間賀島のタコめし」は、だしと調味料で軟らかく煮たタコと油揚げのコクがおいしさのポイント。メイン料理の「あいさいレンコンとエビの揚げ団子」はカリっと香ばしく揚げて素材の味が引き立つよう塩だけで味付けた。「三河野菜とかしわの白だしけんちん汁」は、鶏モモ肉を加えて深みのある味に仕上げた。「刈谷の切り干し大根と豚肉のピリ辛炒め」はご飯が進むわが家の人気メニュー。デザートは愛知県名産の西尾の抹茶を使ったパンナコッタを作った。
・野村さん親子の話/姉2人に続いて、初めてコンテストに参加した壮一朗君。全国大会出場とグランプリをつかんだ。実技審査では、「レンコンをするのが大変だった」と振り返る。コンテストを通じて、料理がますます好きになった。挑戦してみたい料理はパエリアで、スイーツ作りにも憧れる。今回のメニューは野村家の食卓に普段から上り、お弁当のおかずにもする家族が好きな料理。千里さんは「地元のものを使った、わが家の料理に対して賞をいただけたことがとてもうれしい」と喜びを語った。
〇準グランプリ、住宅生産団体連合会賞
四国地区代表(高知県)氏原詩子さん、陽月さん(小6)
・高知のすべてにありがとうごはん
「いなか寿司」はタケノコ煮やこんにゃく煮などの山と里の幸、山菜のイタドリとアユの米粉揚げの川の幸、高知自慢の海の幸のカツオのたたきなど、12かんを盛り込んだ。汁物に入れた川エビとアユは陽月さんが自ら捕まえた。
・氏原さん親子の話/陽月さんの希望で郷土食いなか寿司に挑戦。山、里、川、海の食材を使い高知を表現した。陽月さんはコンテストに参加し、いつも料理を作ってくれる母親への感謝の気持ちが芽生えた。「お母さんとは普段お菓子作りをすることが多かったけれど、この大会でごはん作りを覚えた」と話す。詩子さんは「大会では私が落ち着くように常に声をかけてくれた。娘の成長を感じ、いい経験になった」と話す。
〇準グランプリ、キッチン・バス工業会賞
関東中央地区代表(山梨県)田中さち子さん、秀明君(小5)
・“フルーツ王国山梨”の恵み満さい!ぼくんちランチ
ブドウやスモモなど山梨県のフルーツを生かし、コンロ、グリル、オーブンなどでガスならではの調理を行った。メインのソテーは、鶏肉に低温でじっくり火を通して軟らかくし、お年寄りでも食べやすく仕上げた。
・田中さん親子の話/関東中央大会に参加した兄に憧れ、小学1年生から大会参加を夢見ていた秀明君。初めての参加で本選まで勝ち上がった。秀明君は鶏肉を小さく切ったり、肉を焦げないように動かしながら焼くなどメインの調理を中心に担当した。さち子さんは「私の分まで秀明が頑張ってくれたので、仕上げなど細かな作業に集中できた」と話す。来年について秀明君は「参加するなら優勝」と語った。
〇準グランプリ、日本ガス石油機器工業会賞
近畿地区代表(大阪府)青木めぐみさん、かのんさん(小5)
・まごわやさしい一汁三菜野菜たっぷりごぜん
サバのれんこんはさみあげは、サバ(缶詰)とのりとチーズ、サバ(缶詰)と大葉と梅干しの2種の具材をレンコンではさんで揚げたアイデアメニュー。ナムルは野菜たっぷりで大阪のコリアタウンである鶴橋のキムチを添えた。
・青木さん親子の話/小学2年生になってから、料理など家事の手伝いをするようになったかのんさん。めぐみさんと息を合わせて落ち着いて取り組み「いつも通りできた」と笑顔。めぐみさんは大会を振り返り「私が動揺して手順を間違ったところがあったけれど、娘のサポートに助けられた」とかのんさんの活躍を称賛。「段取りも自分で考えられるようになり、成長を感じている」と感慨深く語った。
〇審査委員特別賞
・関東中央地区代表(新潟県)西須崇さん、心咲さん(小4)
海と山の恵みに感謝!美味しい☆楽しい新潟ごはん!
田舎の祖父母が作った新米のコシヒカリや自家製みそに、ゼンマイ、山タケノコなど山の幸、柏崎の海で父親の崇さんが釣ってきた新鮮なマダイやアオリイカを使ったメニュー。焼きおにぎりの上にはみそと山菜が添えられ、食欲をそそる香りとともに山菜の食感も楽しめる一品に。
・関東中央地区代表(埼玉県)對馬理恵さん、柚さん(小3)
ゆずっぴ特製産直野菜たっぷり地鶏和食ランチ
いつも仕事を頑張っている大好きな父親に食べてもらいたいと考案した油を使わないノンオイルメニュー。地元埼玉の食材である地鶏タマシャモ、深谷ネギ、川越サツマイモ、狭山茶、コマツナ、ニンジン、ダイコンをふんだんに使った。ガスコンロ、オーブン、グリルをフル活用して彩りよく仕上げた。
・北海道地区代表(北海道)三宅由美さん、由希乃さん(小6)
きた北海道から蝦夷地お祝いご膳
単身赴任の父、学業で離れて暮らす兄が帰ってくると炊く甘納豆を入れたどさんこ赤飯、家の農作物を荒らすエゾシカを駆除後に無駄なくいただくため食べやすくした「しぐれ煮」など北海道らしいメニューを考案。また、家庭菜園の野菜や地元の昆布など地産地消を意識した。
〇炎のクッキング賞
・北陸地区代表(富山県)古田貴子さん、結梛さん(小1)
富山ブラック!?黒い力でわが家はいつも元気めし!
ご当地ラーメン・富山ブラックの黒さを、わが家の元気めしで表現した。種から育てた無農薬野菜を使い、皮ごと調理することで栄養を逃さず食材を使い切る、体にも地球にも優しい料理に仕上げた。黒豆ご飯にまぶすゴマ塩は、フライパンで炒って、すり鉢ですった手作り。
・東北地区代表(山形県)渡部まゆみさん、優菜さん(小6)
家族が作った野菜てんこもりメニュー
山形県庄内地方の特産である「だだちゃ豆」を使ったご飯は、豆の薄皮をむいて、より豆の緑色がきれいに見えるよう工夫した。メイン料理は薄くスライスしたナスでひき肉を包んだアイデアぎょうざ。ポテトサラダはミニトマトやアボカド、パプリカなどの野菜をあえて目にも鮮やかな1品に。
・中国地区代表(岡山県)松井佳津子さん、瑞希さん(小6)
松井家発!瀬戸内のおいしいものを食べつくせ!!
メインには日本でも岡山など一部地域でしか食べない魚「ひら」を使用。小骨を骨切りして揚げることで子どもも食べやすい料理にした。地元が豪雨災害に見舞われたこともあり、デザートには、災害時でも作れるポリ袋を使ったココア風味の蒸しパンを調理、仕上げにフルーツなどを添えた。
・九州地区代表(沖縄県)森俊雄さん、咲良さん(小5)
森家特製もりもり定食
献立は仲良し父娘が一緒に考えた。モズクやゴーヤ、フーチバー(ヨモギ)、ヒハツ(島胡椒)など沖縄らしい食材をすべての料理で使用している。きんぴらはレンコンを入れ食感良く仕上げた。鶏肉のパン粉焼きは、バジルの代わりにフーチバーとヒハツを加えることが風味のポイント。
●コンテストを振り返って(参加者の声)11組の親子にアンケート
・料理きっかけに家族への想い深まる/北海道地区代表三宅由美さん・由希乃さん(小6)
「良い思い出になった」と大会の感想を語った由希乃さん。静かに落ち着いて調理をしている姿が印象的だった。その落ち着きに助けられたと母の由美さん。夏から2人で何度も練習を重ねた。由美さんは「料理をきっかけに思春期の娘とコミュニケーションが取れて家族への想いが深まった」と話す。食材は北海道らしいものを選択。シカ肉は臭みをとって軟らかく仕上げ、白子は丁寧に下処理を施して食べやすくするなど工夫を凝らした。
・繊細な味が分かるようになった/東北地区代表渡部まゆみさん・優菜さん(小6)
鮮やかな野菜いっぱいのポテトサラダには、自身で手作りしたマヨネーズを添えた。かわいらしい盛り付けは優菜さんが担当。デザートは柿の皮を丁寧にむいて、柿ゼリーを作った。大会を振り返り「大変だったけど、楽しく上手に料理ができた」と話す優菜さん。まゆみさんは「全国大会で料理ができて良かった」と感動もひとしお。「恥ずかしがり屋が少し良くなったと思う。大会を通じて繊細な味が分かるようになった」と娘の成長を喜んだ。
・料理の腕も上がり、一人で朝食作りも/関東中央地区代表對馬理恵さん・柚さん(小3)
「グランプリは逃したけど上位になれてよかった」と話す柚さんは、家族みんなで考えた料理のアイデアをしっかり実現できたと胸を張る。料理を引き立てていた和テイストの卓上演出は父親が考えたそうだ。大会当日も柚さんと理恵さんの姿を熱心にカメラに収めていた。笑顔を絶やさない明るい理恵さんは、柚さんについて「朝食を作ってくれるようになり、料理の腕も上がってきた。この大会に参加してよかった」と感想を述べた。
・コンテストを通じて娘の成長見る機会に/関東中央地区代表西須崇さん・心咲さん(小4)
「いつもより緊張したけど、パパと楽しく料理ができて良かった」と話す心咲さん。小さな手で酒粕汁に入れる鶏団子を丸めたり、味を確かめたり、盛り付けをしたりと大活躍。新潟の新鮮な食材を使うため食材の保存には苦労した。崇さんは「コンテストを通じて、近くで娘の成長を見ることができありがたいと思った。今では自らできることを見つけて家族や仲間を助けるようになった」と心咲さんの成長に目を細める。
・努力した日々宝物になった/関東中央地区代表田中さち子さん・秀明君(小5)
親子で全国大会出場という同じ目標に向かって努力した日々は宝物になったと田中さん親子。「参加して良かった」と話す秀明君は、黙々と丁寧に調理を進め、手早く作業するさち子さんとあうんの呼吸で料理を仕上げていった。これまでを振り返りさち子さんは「5年生になって頑張りきれないこともあったが、コンテストに参加して料理に向かう姿を見て、頑張れる子だと再認識した。今後もたくさんの親子に、料理を通して向き合う機会を与え続けてほしい」と話した。
・食の大切さを親子で実感できる/東海地区代表野村千里さん・壮一朗君(小5)
全国大会の大舞台で全てやりきった壮一朗君。「これからもっと練習して、もう1回出てみたい」と来年に向けて意気込みも十分だ。千里さんは「無事に作りきれたことがうれしく感謝の気持ちでいっぱい」と話す。「今までは料理や片付けなどあまりしたことがなかったが、出場するにあたって何度も練習して一つの献立を完成できるまでになった。今後もこの大会が続いて、食の大切さを実感できる親子が増えるといいと思う」と大会への思いを語った。
・自ら進んで行動できるようになった/北陸地区代表古田貴子さん・結梛さん(小1)
初参加で全国大会まで勝ち上がった古田さん親子。制限時間に余裕を残して調理を終えた。結梛さんは「ちょっと緊張したけど楽しかった」と大会の経験を話した。貴子さんは「緊張して手間取ったこともあったが、娘が落ち着いてくれていて『次は何する』『洗い物しようか』と進んで声をかけてくれ、助けられた」と話す。コンテストの参加を通じて「自分で進んで何をしたらいいか考えて行動できるようになった」と結梛さんの成長をかみしめた。
・娘が率先して練習を引っ張った/近畿地区代表青木めぐみさん・かのんさん(小5)
「いつも通りに料理ができて良かった。楽しかった」と、実技審査を振り返るかのんさん。めぐみさんは「ここまで来られたことにびっくりしている。他の出場者の方の意気込みに圧倒されて一時は気弱になったが、何とか終えることができた」とほっとした様子。自宅で練習する際は、かのんさんが率先して練習を引っ張った。「私がもたもたすると、『こうするんだよ』と指示してくれて、しっかりしてきたなあと感じた」とめぐみさんは話す。
・人生にとって素晴らしい経験に/中国地区代表松井佳津子さん・瑞希さん(小6)
「きれいにおいしくできた。家族みんなが笑顔になれるといいと思う」と瑞希さん。この日作った料理に満足した。佳津子さんは「とても楽しく料理できた。何か一つのことに向かって取り組めたことは私たちにとってとても自信になった。これからも家族のためにおいしい料理をつくっていきたい。小学校生活の最後にこのような大会に出場することができ、瑞希の人生にとって素晴らしい経験になった。食の大切さを考えるきっかけになってほしいと願っている」と話した。
・親子のチームで挑む貴重な経験/四国地区代表氏原詩子さん・陽月さん(小6)
「失敗もあったけど、それをカバーしてお母さんと楽しめた」と、実技審査の思い出を語る陽月さん。調理中は、親子二人の笑顔が絶えなかった。詩子さんはこれまでを振り返り、「昨年に続き親子、家族で楽しむことができた。子供を応援する機会はあっても、親子でチームとして戦うことはなかなかないので大変貴重な経験だった」と話す。「コンテストを通じて、食材やガスをはじめとするライフラインなど生活にかかわる全てのことに対し、感謝の気持ちをもつようになった」と陽月さんの成長をかみしめている。
・家族の思い出、できて良かった/九州地区代表森俊雄さん・咲良さん(小5)
「家族旅行ができて、思い出もできたから良かった」と全国大会での経験を楽しんだ咲良さん。俊雄さんは「私が緊張していつもより少し時間がかかって焦ったが、娘が平常心で接してくれたので時間内に作れた。参加できて幸せだった」と話す。練習する中で咲良さんの成長を実感した俊雄さん。「何度も作ることで手順や味付けなど考えて料理するようになった。食材の旬や季節によって価格が変わることなど学んだ」と話す。