GENIX-CN70

194.48

+4.22

6月28日終値

中東産LPGの日本向け出荷価格(サウジCP)7月分は、プロパンが6月分と同値の580㌦、ブタンも前月分と同値の585㌦となった。
市況情報

 中東産LPGの日本向け長期契約価格(サウジCP)7月分は、プロパンが6月分と同値の1㌧当たり580㌦、ブタンも6月分と同値の565㌦となった。

 原油市況はこのところ1バレル80㌦台で堅調に推移する一方、中国向けなどLPGの需要は落ち着いているもよう。米国プロパンガス市況も1㌧400㌦をはさんでのもみ合いが続いている。

 なお、中国に次ぐ世界第2位のLPG輸入国インドで総選挙が行われ、このほど与党の勝利が明らかになった。同党はLPG普及政策を強力に推進してきた経緯があり、LPGの国際需給に影響を与えうるとして選挙結果が注目されていた。

 (2024年7月1日配信)

【過去解説記事】

 14日東証 GENIX-CN70は前週末比0.94ポイント高の192.96と2週間ぶりに反発した。指数構成銘柄ではK&Oエナジーグループ、三菱重工業、伊藤忠が上場来高値を更新したほか、岩谷産業、関西電力、東邦ガスなど大手電力・ガス株も根強く物色された。

 K&Oエナジーの株価は今年大きく値上がりし、11日の上場来高値4230円は昨年末終値2041円から2倍を超える上昇になっている。同社は千葉県で天然ガス・ヨウ素を産出しており、ヨウ素が次世代太陽光(ペレブスカイト太陽電池)の材料となることから注目を浴びているようだ。

 経済産業省が5月29日、第1回「次世代型太陽電池の導入拡大及び産業競争力強化に向けた官民協議会」を開催したことも手掛かり材料になっている。同協議会では日本が先行するペレブスカイト太陽電池の普及促進を目指している。日本のヨウ素生産量は世界第2位であり、エネルギー安全保障の観点からも期待が大きい。また、今週は米国でスタートアップがペレブスカイト太陽電池の工場を新設するとの報道も関心を集めたようだ。さらに、同業の伊勢化学工業の株価が昨年末の8590円から、本日の最高値40500円まで実に4.7倍となる大相場を演じていることも刺激になっている。

(2024年6月14日配信)

 米国で天然ガス先物価格(ヘンリーハブ=HH)が上昇している。6月11日の期近終値は百万BTU(英国熱量単位)当たり3.129ドルと、今年1月12日の3.313ドル以来、5カ月ぶりに3ドル大台に乗せた。2~3月には1.5ドル台の安値を付けていた。また1年前のこの時期は2ドル台半ばで推移していた。

 最近の市況動向についてJOGMEC調査部白川裕調査役は、「市況低迷時に掘削井が絞られた影響で、ガス生産量がジワリ減少している。そこに米国南部を中心とした記録的な猛暑による発電用ガス需要増が加わった」と指摘する。また、当面の値動きについては、「ガス発電用の需要は既に限界に達しているため、先物価格がこの先もさらに大きく値上がりする展開は想定しにくい」としている。

(2024年6月13日配信)

 6月7日東証 この週の東証株価は高値圏で伸び悩み、7日の東証株価指数(TOPIX)終値は前週末比0.6%値下がりした。GENIX-CN70も上値が重く2週間ぶりに反落し、前週末比1.9%の下落となった。

 GENIX-CN70構成銘柄の足取りは総じて重いが、その中で異彩を放つ逆行高を演じたのがデンヨーだ。同社は量産型燃料電池式可搬形発電装置を開発するなど水素関連ビジネスを手掛けている。

 同社株価は2020年9月と同年11月に付けた2600円台の高値を一気に払い、2700円台半ばに到達した。約1カ月間で株価は2割を超える上昇となったが、業績は好調で株価指標面に割高感は乏しいと見られる。「チャート上の節目を突破してきたことで、目先妙味が膨らんでいる。また同社は可搬型、非常用発電機を手掛けており、梅雨入りを前に防災関連の切り口にも関心が向いている」(市場関係者)。日本ではゲリラ豪雨が頻発化しているが、同社が強みとする北米ではこの時期ハリケーンの多発が警戒されている。シーズン性を発揮する場面も期待されているようだ。

(2024年6月7日配信)

 中東産LPGの日本向け長期契約価格(サウジCP)6月分は、プロパンが1トン当たり580ドルと前月分と同値だった。ブタンは前月比20ドル値下がり(下落率3・42%)して565ドルとなった。ブタンは3カ月連続で下落した。

 先週の米国プロパンスポット市況(MB)はトン当たり400ドル前後で推移。原油先物市況(WTI)は足元の堅調な在庫状況や長期金利の高止まりなどを受けて、1バレル70ドル台後半では上値が重くなっている。

(2024年6月3日配信)

 5月31日東証 GENIX-CN70は3週間ぶりに最高値を更新した。次世代太陽光発電(ペレブスカイト)関連として注目されるK&Oエネジーが一時未踏の4000円台に乗せたほか、栗本鉄工は18年ぶりの5000円台、川崎重工は9年ぶりの6000円台、ENEOSは6年ぶりの800円台となるなど大台替わりが相次いだ。北海道電力、九州電力などの電力株や、商社、海運株なども根強く物色されている。

 三浦工業が急伸し、およそ3カ月ぶりに本年高値を更新した。同社は5月30日、ダイキンと業務資本提携すると発表。工場向けに空調や蒸気ボイラ、水処理システムなど熱・空気・水に関するトータルソリューションをワンストップで提案する。それぞれの強みを生かして工場のカーボンニュートラル化のニーズに応える。三浦工業は国内の工場に、ダイキンは海外に強固なネットワークを有しており、市場はメリットを発揮しやすい組み合わせと受け止めているようだ。また、ダイキンは三浦工業の発行済み株式4.67%を三浦工業の自社株から購入する。三浦工業はその売却代金でダイキン子会社の株式49%を取得する。株式価値の希薄化や当面の株式需給悪化を招かない資本提携スキームも好感されたようだ。関連記事(https://www.gas-enenews.co.jp/gijutsu-shinseihin-hoan/40495/

(2024年5月31日)

 米国の天然ガス市況が上昇している。ヘンリーハブ(HH)先物期近価格は5月23日、百万BTU(英国熱量単位)当たり一時2.9ドル台に上昇した。3ドルは今年1月以来となる高値水準。「米国ガス市況は2~3月に1ドル台半ばまで大きく下げた経緯があり、その際に生産リグの稼働台数が削減された。その影響がここにきて出始めている」(JOGMEC調査部白川裕調査役)という。また、米国南部を中心にこの夏の気温が高めになるとの予報や、米フリーポートLNG輸出プロジェクトが本格生産に復帰したことなども材料視されているという。

(2024年5月24日配信)

 5月17日 GENIX-CN70は前週末比2.35ポイント安の192.12と4週ぶりに下落した。総じて利益確定売りに押される展開となったが、その中で13日に決算を発表した岩谷産業、14日に決算・大規模な自社株買いを発表したENEOSの株価が急伸した。どちらも一時本年高値を更新するなど人気付いた。

 岩谷産業の決算について市場関係者は、「前期実績も今期予想も2桁増益の好決算。ただ今期の配当金予想額が据え置かれたため、株価は急伸後伸び悩んだが、持分法対象のコスモエネルギーの寄与分も見込め、今後増配期待から見直される可能性がある」とする。

 ENEOSの自社株買いは上限が発行済み株式総数の2割強におよぶ大規模なもので、市場にサプライズを与えた。「経営陣の資本効率・株主還元への意識の高さを感じる内容。大型投資がなく、JX金属がIPOに向けて資産売却を進める中、財務体質が良好になっていることが背景にある」(大手証券アナリスト)と見ている。

(2024年5月17日)

 GENIX-CN70は10日、前週末比2.33ポイント高い194.47ポイントと3週連続で値上がりし、前週に続いて過去最高値を更新した。

 指数構成銘柄では大阪ガス、北海道ガスなどが過去20年来の高値を更新。大阪ガスは8日発表の自社株買いが好感されている。「3月発表の中期計画で株主資本配当率に基づく増配方針が打ち出されたばかりの株主還元策で、サプライズとして受け止められた」(アナリスト)。北海道ガスは4月30日発表の株式分割(1対5)や今期実質増配を手掛かりに人気化している。PBRは0.8倍台に上昇し、課題の1倍割れ解消が現実味を帯びてきた。

 岩谷産業も急伸し、4月に付けた最高値9311円を射程に捉えてきた。同社の3月期決算は5月13日午後2時半に発表予定だが、同社がさきごろ筆頭株主となったコスモエネルギーホールディングスが昨日決算発表を行い、堅調な業績と自社株買い、年間300円配当を維持する方針が明らかになった。コスモエネの株価は本日、一気に高値を更新、岩谷産業の株価支援材料になっている。

(2024年5月10日配信)

  中東産LPG日本向け長期契約価格(サウジCP)5月分は、プロパンが1㌧当たり580ドルと前月比35ドル下落した(下落率5・69%)。値下がりは4月分に続いて2カ月連続。

  ブタンは前月比35ドル値下がりして(下落率5・65%)1トン当たり585ドルとなった。ブタンも2カ月連続で下落した。

(2024年4月26日配信)

 中国税関が18日に発表した3月のLNG輸入量は前年同月比24・1%増の665万㌧となり、3月としては2021年の564万㌧を上回り3年ぶりに過去最高を更新した。1~3月の累計輸入量は同20・4%増の1985万㌧と、年間輸入量が過去最高だった21年同期を0・8%上回った。

 今年第1四半期の国内総生産は5・5%増と昨年第4四半期の5・2%増を上回った。輸出産業を中心に二酸化炭素排出削減のためのガスシフトも進んでいる。同期間のLNGスポット市況が前年同期を4割下回るなど割高感が薄れたことも需要喚起につながったようだ。今後の見通しについてエネルギー・金属鉱物資源機構調査部竹原美佳部長は、「国際市況はこのところ上昇に転じており、LNGスポット調達は目先一服しそうだが、地方政府のガス火力建設推進や船舶燃料のグリーン転換などもありガス需要そのものは高まる方向」としている。

(2024年4月18日配信)

 東証4月12日 東京ガスの株価が一時前日比54円高の3899円と前日に続いて上場来高値を更新した。同社株は今週に入って騰勢を強め、年初からの株価上昇率は20%に達した。3月中旬、大阪ガスの時価総額が一時、東京ガスを逆転したが、東京ガスが再び首位に立ちリードを広げている。4月19日に全国知事会が東京ガス横浜ステーションを視察し、e‐メタン製造実証の説明を受ける予定となっている。カーボンニュートラルに向けた同社の技術力に注目が集まりそうだ。株価上昇により、株価純資産倍率(PBR)は0.94倍へと上昇。1倍乗せが視野に入ってきた。

 都市ガス株では、北海道ガスの株価も上昇基調にあり、この日も前日マークした上場来高値2960円まで一時買い進まれる場面があった。年初からの上昇率は34%に達するが、同社株のPBRはいまだ0.7倍台にとどまり、依然割安感が漂う。北海道では半導体工場の新設で電力消費の大幅な伸びが予想され、北海道電力の株価もこのところ大幅に上昇している。

(2024年4月12日配信)

 4月3日 米原油先物(WTI)は前日比28セント高の85.43ドルと3日続伸、本年の高値を更新した。ウクライナによるロシア主要製油所への無人機攻撃や、イラン大統領によるイスラエルへの報復表明など地政学的リスクの高まりが背景にある。また週間統計で米国原油在庫が前年同期比18.5%減と減少が目立ったことも材料視されている。

 注目されたOPECプラス合同閣僚監視委員会は、生産目標維持を決定。また、米連邦準備理事会パウエル議長は講演で利下げを急がない姿勢を示したとされる。三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部・芥田知至主任研究員は、「中東、ウクライナ情勢は今後一段と動向が注視される。また、米金融政策、中国当局による経済運営、産油国の生産方針なども引き続き注目される。ただ、米中の景気は石油需要を上振れさせるほどには強くないとみられ、相場の上昇傾向を決定づける材料は出にくいと思われる。相場は再び一進一退の推移となりやすい」と指摘。もっとも、今年後半にかけて米利下げを受けてドル安が進む展開となれば、ドル建ての原油価格には割安感が生じ上昇圧力がかかりやすくなるとし、今年度は1バレル95ドル程度の上値が見込めるとしている。

(2024年4月4日配信)

 GENIX-CN70は年度内最終売買日となった3月29日、前週末比0.55ポイント上昇し189.41と、2週続けて最高値を更新した。3月末割り当てで1対10の大幅な株式分割を実施した三菱重工業は権利落ち後も堅調で、修正株価は連日の最高値となった。GENIX-CN70構成銘柄では他に理研計器が1対2、川崎汽船が1対3の株式分割を3月末割り当てで実施した。

 岩谷産業の株価が3連騰で、連日の上場来高値更新。3月28日にコスモエネHD株式を追加取得し、持ち分法適用会社にしたと発表したことが材料視されている。コスモエネの今期純利益予想は780億円、岩谷産業は335億円。持ち分比率2割相当の利益が来期以降、上乗せされるインパクトの大きさが期待されているようだ。また、会社側は本件株式取得に要する資金を借り入れで賄うとしており、「増資による一株当たり利益の希薄化が回避される見通しになったことも好感されている」(国内証券調査部)という。

(2024年3月29日配信)

 米国3月26日、米パイプラインガス(ヘンリーハブ=HH)先物価格が終値で5日続落し、百万BTU(英国熱量単位)当たり1.575ドルに下落。2月20日に付けた本年安値1.576ドルを1カ月ぶりに割り込んだ。ザラ場安値は1.4㌦台まであった。

 米エネルギー情報局(EIA)が3月21日に発表した週間データによると、米国の地下ガス在庫量は3月15日時点で前年比21%増、過去5年間の平均値に対しては41%上回っている。エネルギー・金属鉱物資源機構・白川裕調査役は、「気温が上がり需要が低下して、在庫がさらに積み上がったことと、生産がすぐには低下しないことが主要因」と指摘する。こうした在庫の荷余り感が先物市況の上値を重くしているようだ。

 HH先物価格の過去15年間の値動きを振り返ると、期近先物価格が1ドル台まで下落した年は2012年、16年、20年の3回あり、当該年の安値形成月はそれぞれ、4月(1.9ドル)、3月(1.6ドル)、6月(1.4ドル)となっている。春に安値を付ける習性と、この間の価格水準が切り下がる傾向が見て取れる。

(2024年3月27日配信)

 3月22日、ガスエネ株価指数カーボンニュートラル70(GENIX‐CN70)は2週間ぶりに過去最高値を更新した。GENIX‐CN70構成銘柄はほぼ全面高となり、K&Oエナジー、三菱重工、岩谷産業、大阪ガスなどが最高値を更新した。

 なお、三菱重工(1株→10株)、理研計器(1株→2株)、川崎汽船(1株→3株)は3月28日付で株式分割の権利を落とす。株式分割のメリットとしては、単位投資額の引き下げによる投資家層のすそ野拡大、流動性の向上などが指摘される。昨年以降で、株式分割を実施したリンナイ、NTT、三菱商事、京セラは、権利落ち後も堅調な値動きを保っている。

(2024年3月22日配信)

 3月15日 ENEOSHD(GENIX―CN70構成銘柄)の株価が朝方から買い進まれ、5年3カ月ぶりに700円台に乗せてきた。他にもINPEXや石油資源開発、コスモエネルギーHDなどの石油関連株、資源高が利益に結び付く商社株も軒並み値上がりしている。コスモエネルギーは国内大手証券が投資格付けを引き上げたことも好感され、株価は上場来高値を更新した。

 株式市場は、米原油先物(WTI)が14日、期近4月渡し終値で1バレル81.26ドルと続伸し、昨年11月6日の80.82ドル以来の80ドル台乗せとなったことを材料視しているようだ。国際エネルギー機関(IEA)が同日公表した市場レポートでは、今年の石油需給は供給不足になるとの予測が示されている。産油国の自主減産延長による供給減や、紅海におけるタンカー襲撃で海上輸送距離が延びておりバンカー燃料の需要増加を織り込んだという。もっとも原油市況は過去1年余りにわたって、おおむね70ドルから80ドルのレンジで推移しており、80ドル台では上値の重さも意識されそうだ。

(2024年3月15日配信)

 3月8日 大阪ガス(GENIX CN‐70構成銘柄)の株価が前日比153円高の3350円で寄り付き、直後に230円高の3427円まで上昇。1月11日に付けた上場来高値3242円を一気に更新した。同社は7日、3カ年中期経営計画を策定し、配当を原則減配せず維持または増配する累進配当制度を導入すると発表し、好感された。

 2024年3月期の配当金は前期比12円50銭増配して72円50銭(従来予想65円)に、25年3月期は95円を目指す方針も示した。株主資本配当率を3%とする方針を掲げ、機動的な自己株取得も検討するとした。この他、自己資本利益率(ROE)の目標は26年度に8%程度、投下資本利益率(ROIC)は5%程度を目指す。「株価を意識した経営姿勢に変化していると株式市場が受け止めており、都市ガス株の中でも相対的な値上がりが目立ってきている」(中堅証券)という。この日前場終値での時価総額は、大阪ガスが1.43兆円、東京ガスは1.41兆円となり、大阪ガスが東京ガスを逆転した。

(2024年3月8日配信)

 2月22日 東証では朝方から買いが先行し、日経平均株価は大幅に反発した。終値は初の3万9000円台で、1989年12月以来の史上最高値更新となった。注目された米エヌビディアの決算が市場関係者の事前予想を上回り、3連休控えにもかかわらず、マーケットのセンチメントは強気に傾いた。半導体関連株をリード役に、主力株を中心に幅広く買い進まれた。

 GENIX‐CN70構成銘柄も軒並み上伸した。三菱重工業が上場来高値を更新し、日本酸素HD、川崎汽船は最高値をうかがう動き。原油市況の上昇を背景に石油資源開発など石油関連株も値上がりした。

(2024年2月22日配信)

 米国パイプラインガス市場価格(ヘンリーハブ先物)が2月15日、8日連続安となり、百万BTU(英国熱量単位)当たり1.5㌦台まで下落、2020年6月以来の安値水準となった。在庫の積み上がりが背景にあるという。

 エネルギー・金属鉱物資源機構の白川裕調査役は「原油市況が1バレル80㌦弱と堅調なことから、パーミアン盆地を中心にシェールオイルの生産が盛んで、随伴ガスの生産量も増えている。気温が高めに推移していることもあり、地下在庫は過去5年間の最高水準に到達している」と指摘。

 先物市場の中心商いが春の需要閑散期に移りつつあることから、市況は当面弱含みで推移しそうだ。
(2024年2月16日配信)

2月12日 米国で天然ガス市場価格(ヘンリーハブ先物価格=HH)が5日続落し、期近終値は百万BTU(英国熱量単位)当たり1.768ドルに下落した。1.7ドル台は2020年7月以来の安値となる。市中在庫が高水準にあり、市場のセンチメントを圧迫している。

HHは昨年11月以降、3ドルを割り込むなど市況の低迷が続いているが、生産量が落ち込む兆しはいまだ見えないという。エネルギー・金属鉱物資源機構の白川裕調査役は「原油市況が1バレル80ドル弱と堅調に推移していることから、オイルリッチなパーミアン盆地を中心に油狙いの生産が盛んになっている。このため副産物であるガスの生産も増加している」と指摘する。

(2024年2月13日配信)

米国市場でガス市場価格(ヘンリーハブ先物価格)が続落している。7日に心理的な下値めどと見られていた百万BTU(英国熱量単位)当たり2ドルを割り込むと、8日終値は一段安となり1.917ドルまで下落した。およそ3年5カ月ぶりの安値水準となる。

市況下落の背景には、マーケットの荷余り感があるようだ。「このところの気温上昇で暖房用需要が低下しており、地下在庫量は過去5年間の上限レベルに到達している。当面は上値の重い展開が続きそうだ」(エネルギー・金属鉱物資源機構・白川裕調査役)。

ヘンリーハブ価格の下落に伴い、米国産LNGの輸出価格も低下しており、現状は世界の主要輸出国の中でも最も安価な水準となっている。

(2024年2月9日配信)

2月6日 東証後場 三菱重工業の株価が昨日の1万円初登頂に続いて一段高となった。この日午後、同社は3月末割り当てで株式1株を10株に分割すると発表。合わせて発表された今2024年3月期第3四半期連結決算は、売上高が前年同期比11%増、純利益は同倍増となるなど好調ぶりが明らかになった。通期の受注見通しを6兆円とし、従来予想に4000億円上積みした。これら大幅な株式分割と好調な業績動向が素直に好感され、買いが買いを呼ぶ好循環となっている。

同社株は1年前の2月には5000円前後で推移しており、そこから株価水準はちょうど2倍になっている。

(2024年2月6日配信)

1月31日 サウジアラムコがこのほど日本のLPガス輸入事業者に通知したプロパン2月分出荷価格(サウジ2月CP)は、前月比10ドル値上がりして630ドルとなった。値上がりは昨年8月分(470ドル)以降、12月分の変わらずを挟んで8カ月連続。

LPガス市況に影響する原油市況が、12月初旬を底に水準を切り上げているほか、世界最大のLPガス輸出国である米国において、プロパン在庫の取り崩しが進み、市況が上昇したことが背景にある。米国ではLPガスの一大輸出地域であるメキシコ湾で濃霧が観測されており、輸出作業への影響も警戒されたという。サウジCP2月ブタンも、前月比10ドル値上がりして640ドルとなった。

(2024年2月1日配信)

1月26日GENIX-CN70は前週比0.64ポイント値上がりして169.36ポイントとなった。7週間連続の上昇で、3週続けて統計開始来の最高値を更新した。一方、東証株式市場全体としては、このところの上げピッチの速さから利食いが広がり、東証株価指数(TOPIX)は7週ぶりに値下がりした。

GENIX-CN70の構成銘柄で値上がりが目立ったのは、25日に2023年12月期決算を発表したHIOKI。24年12月期も増収増益を見込み、配当金を年200円に連続増配する方針が好感されたようだ。

このほか、三菱重工業、三菱化工機が高値圏で頑強な値動き。SMBC日興証券が目標株価を引き上げたウエストホールディングスも下値を切り上げている。

(2024年1月26日配信)

 欧州パイプラインガス先物価格が17日、百万BTU(英国熱量単位)当たり8ドル台まで下落し、昨年8月以来の安値水準となった。北東アジアLNGスポット価格も続落しており、17日は昨年6月以来の9ドル台を付けている。先物の決済期日が2月から3月に移り冬場の需要期を過ぎることで、足取りが弱くなっている。昨年の安値は欧州ガス先物価格が7ドル台、スポットLNGは8ドル台だった。

 当面の市況動向についてエネルギー・金属鉱物資源機構の白川裕調査役は、「カタールから欧州にLNGが年間1500万トン供給されており、スエズ運河の通航リスクが警戒されているものの、それでも欧州の在庫水準が依然として高いため、中東からの輸送に支障が生じても当面の供給は何とかなると見られている。昨年10月から輸出を再開したエジプトLNGもまだ量は少ないとはいえ心理的な支えになっている。不需要期の相場は数年前なら3~4ドルもありえたが、安価になったスポットLNGを中国が仕込む動きも見られるため、今回はそこまで下がらないだろう」とする。また、「足元のスポット需要は弱いが、供給力に余裕があるほどの状況でもない。幸いにして供給設備のトラブルは昨年から起きていないが、いつ起きても不思議はない。先行きを楽観視するわけにはいかない」と指摘する。

(2024年1月18日配信)

東京株式市場は年末・年始と値上がり基調を強めており、GENIX-CN70も12月15日から1月12日終値まで5週連続で上昇した。1月12日の終値は167.67ポイントとなり、昨年9月15日にマークした指数算出以来の最高値165.83ポイントを4カ月ぶりに更新した。

GENIX-CN70構成銘柄では、商社株の値上がりが目立ち、伊藤忠商事、住友商事が最高値を更新。海運株も高値圏でしっかり。個別銘柄では、三菱重工業、愛知時計電機が最高値を付けた。本日午前、2024年8月期第1四半期決算を発表し、大幅な増収増益が確認されたウエストホールディングスが急伸した。

(2024年1月12日配信)

中東産LPGの日本向け長期契約価格(サウジCP)1月分は、プロパンが前月比10㌦高い1トン620㌦。ブタンも同じく10㌦値上がりして630㌦となった。小幅高ながら、極東マーケットは足元で強弱感が交錯しており、先行きの方向感は乏しい状況。米国のプロパンスポット市況(モントベルビュー)は12月分が1トン357㌦と、前月から約25㌦値上がりした。依然として近年の安値圏での値動きではあるが、市中の在庫水準は過去5年平均並みまで減少しており、底堅さも見られる。

(2024年1月10日配信)

1月5日 2024年の年明けの東京株式市場は、能登半島地震を受けて4日の大発会は売り物先行でスタートしたが、新NISA開始に伴う投資資金流入などによる先高期待から押し目買いが優勢となり、結局、東証株価指数(TOPIX)は4日、5日と続伸した。

GENIX-CN70も12月最終週に続いて上昇し、5日終値は164ポイントと、5週ぶりに160ポイント台を回復。昨年9月15日にマークした最高値165.83に急接近した。指数構成銘柄では、大阪ガスが大幅高となり、5日に一時3111円まで上昇。12月13日に付けた最高値3077円を上回った。4日以降終値ベースでも初めてとなる3000円台を維持している。このほかでは、海運株が人気を集めており、日本郵船、商船三井が最高値を更新した。

(2024年1月5日配信)

12月29日 東京証券取引所最終売買日(大納会)は、今年1年の相場を象徴するような堅調な展開だった。その中でGENIX-CN70は前週に続いて上昇し、3週連続高で今年を締めくくった。GENIX-CN70の年間騰落率はプラス25%となり、東証株価指数の上昇率と互角の好成績だった。

GENIX-CN70構成銘柄の中で値上がりが目立ったのは、川崎汽船、日本酸素、栗本鉄工、愛知時計電機、関電工など。一方、不調だったのは、イーレックス、レノバ、テスHD、ウエストHDなどだった。なお12月末割り当てで、京セラが1株を4株、三菱商事は1株を3株に株式分割した。GENIX-CN70もこれに合わせて、株式分割の影響を考慮した修正株価指数を算出している。

(2023年12月29日配信)

12月22日 GENIX-CN70は前週に続いて上伸した。全般は高安まちまちだが、値がさ株の海運3社(日本郵船、商船三井、川崎汽船)がそろって本年高値を更新し、CN70を押し上げた。また、工場新設で恩恵を受ける理研計器が12月20日上場来高値を更新した。

海運株が動意付いたのは先週末。紅海で武装組織による商業船への攻撃が相次いだことで、海運会社がスエズ運河の航行を見合わせ、迂回経路による輸送距離の延長などで海運市況が上昇するとの思惑が働いた格好。海運株はコロナ禍前後の市況高騰局面で株価が5倍以上に跳ね上がっており、その記憶がまだ新しいだけに思惑が先行しやすいようだ。

(2023年12月22日配信)

12月15日 GENIX-CN70は3週ぶりに反発した。指数構成銘柄では、理研計器の株価が13日に上場来高値を更新。大阪ガスも同日最高値を更新し、未踏の3000円台に一時到達した。

岩谷産業の株価はコスモエネルギーホールディングスの筆頭株主になると発表した12月1日以降、大きく値下がりしたが、15日終値は7日ぶりにプラスに転じた。

14日に一時5996円まで下げ、4月初旬以来8カ月ぶりとなる6000円大台割れを見たことで、値ごろ妙味が台頭したようだ。9月高値からこの安値までの下落率は26%に達し、一株当たり純資産5249円も意識される水準となっていた。チャート面から当面の戻りめどを探ると、25日移動平均線の6866円、9月高値から直近安値までの下げ幅の半値戻し6770円など、6800円あたりが意識されそうだ。

(2023年12月15日配信)

12月13日 GENIX-CN70構成銘柄の大阪ガスが4日続伸し、一時3077円の高値を付けた。3000円台に乗せたのは上場来初。12日大引け後に、日本経済新聞が「伊藤忠と大阪ガス、世界最大級の水素生産に最大4割出資」と報じ、これを材料視する買い注文が朝方から集まった。

株価は11月初旬、自社株買いの発表を契機に大きく上放たれ、過去16年来の上値抵抗線となっていた2600円前後の節を突き抜けてきた直後とあって、しこり感のないチャート妙味も好感されているようだ。

12日に発表された欧州の水素企業Everfuelのニュースリリース

(2023年12月13日配信)

12月8日 GENIX-CN70は前週に続いて下落した。急速な円高進行や世界的な景気減速懸念を受けて、東京株式市場はこの日、ほぼ全面安となった。GENIX-CN70構成銘柄にも利益確定の売りが先行した。中でも、原油先物市況の下落を受けて、石油、造船、商社、海運株などが大きく値を下げた。

12月1日引け後にコスモエネルギーホールディングス株式大量取得を発表した岩谷産業は、週明け4日から株価が大きく下げ、発表前の終値7141円から8日安値6388円まで5日間で10%を超える下げとなった。9月の本年高値8040円からの下落率は20%に達している。アナリストからは「コスモエネ株取得に1千億円を超える大金を投じることについて、どのようなリターンを見込んでいるのか、できる限り定量的な説明が欲しい。株価の下げは合理的な反応。投資家は追加情報を待っている」との声が聞かれる。コスモエネ株が取得価格を割り込んでいることも嫌気されているようだ。

(2023年12月8日配信)

米原油先物価格(WTI)は12月6日、前日比2.94ドル安の69.38ドルと5日連続で値下がりした。節目と見られた1バレル70ドル台を5カ月ぶりに割り込んだ。9月に付けた本年高値93.68ドルからの下落率は26%に拡大するなど下値を模索する動きとなっている。

注目された11月30日のOPECプラス会合は、各国から自主減産(来年1~3月期に日量約220万バレル)が発表されたものの、想定の範囲内と受け止められたようで、相場の下落基調を反転させるには至らなかった。

相場が弱含んでいるのは、世界的な景況悪化に伴う需要減少への警戒があると見られる。「不動産不況が続く中国経済の停滞や、ここまでの利上げで減速が見込まれる米国景気などを考慮すると石油需要は伸び悩み、自主減産してもなお需給は引き締まらないのではないか」(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部芥田知至シニアアナリスト)との指摘がある。当面は今週末発表される米雇用統計をはじめ、主要な経済指標を横目にみながら神経質な値動きが続きそうだ。

(2023年12月7日配信)

12月1日 岩谷産業(GENIX‐CN70構成銘柄)はこの日、コスモエネルギーホールディングスの株式を追加取得すると発表した。旧村上ファンド系と見られる既存株主から計約1740万株を1053億円で取得する。取得済みの持ち株と合わせた保有比率は19.93%となり、同社の筆頭株主になる。

1株当たりの取得価格は約6051円で、この日の東証終値5616円を約8%上回るが、価格の算定根拠については明らかにしていない。今後については、「より一層連携を深め、新たなシナジーを創出する」としているが、具体的な方向性はまだ示されていない。また、今3月期連結業績への影響については「精査中」としている。

サウジCP12月分は、前月と同価格の1バレル610ドル、ブタンも変わらずの620ドルとなった。

(2023年12月1日配信)

11月24日 東京証券取引所で三菱重工業(GENIX‐CN70構成銘柄)の株価が前日比529円高と大幅続伸し、およそ2カ月ぶりに8800円台まで水準を切り上げた。

同社は11月22日に防衛事業説明会を開催し、来年度からの3カ年は防衛力整備計画の大幅な拡充を受けて同社の事業規模は2倍以上になると発表した。過去長期にわたり同事業規模は5,000億円弱で推移していたが、来年度からの3カ年は1兆円規模になるとした。祝日をはさんでこの日は朝方から買いが先行、業績拡大への期待感を織り込む動きを見せた。株価が1万円に近づいていることから、株式分割を催促する値動きにも映る。

ガスエネルギー新聞が注目する同社のカーボンニュートラル実現に向けた取り組みも続いている。弊紙11月20日付では三菱重工エンジン&ターボチャージャの「水素混焼50%で安定燃焼、5700キロワット級ガスエンジン」を技術面トップで紹介している。また、同日付紙面には「水素特集」を掲載しており、三菱重工の高砂水素パークなどを詳しく紹介している。

(2023年11月24日配信)

11月14日の東京証券取引所で大阪ガスが4日続伸し、ザラ場の高値は2920.5円まで買い進まれた。11月7日にマークした上場来高値2914.5円を5営業日ぶりに更新した。10月27日発表の中間決算が好感されているほか、同日発表の自社株買いも歓迎されているようだ。マーケットでは、大阪ガスの株価格付けを従来から「買い」としていたみずほ証券が、目標株価を2600円から3300円に引き上げたとの情報もこの日伝わった。

大阪ガスの株価をローソク足(日足)で見ると、11月9日から10日にかけて、さらに10日から13日、13日から14日にかけても連続して窓「空」ができた。4本の陽線と「三空」で形成される高値圏でのこの形は「三空踏み上げ」と呼ばれ、チャートを投資判断のよりどころとする投資家は、空売りを仕掛ける急所とみる。同社株の信用買い残は、売り残が買い残を超過した状態にある。確かに目先は急伸した後だけに強弱感が対立しやすい場面と言えるが、この日の株価は株価純資産倍率が0.7倍台と依然として割安な状態にあることから、むしろ売り方の手仕舞い(買い戻し)による一段の上昇を読む向きもある。

関連記事 大阪ガスが上昇率首位、愛知時計は最高値を更新/GENIX―CN70 - ガスエネルギー新聞 (gas-enenews.co.jp)

(2023年11月14日配信)

 11月2日のGENIX‐CN70は3週ぶりに反発した。自社株買いを発表した大阪ガスが急伸し、最高値を更新したほか、業績好調の日本酸素、愛知時計も高値を更新した。

 中東産LPGの日本向け長期契約価格(サウジCP)の11月分は、プロパンが1トン当たり前月比10㌦値上がりして610㌦(前月比1.67%高)となった。ブタンは同5㌦値上がりして620㌦(同0.81%高)。プロパン、ブタンともに4カ月連続で値上がりした。

 LPG市況に影響を与える原油相場の値動きはこのところ重くなっているが、LPG市況はこれから需要期を迎える季節性もあって、先高観が根強いようだ。日本向け米国産LPGの航路に当たる中南米パナマ運河が、渇水の影響で渋滞解消に時間がかかるとの見通しも強気の見方を支えているようだ。

 CPのこの1年間の価格推移を振り返ると、プロパンは2月に790㌦のピークを迎え、その後は大きく値下がりして、7月に400㌦のボトムを付けている。ブタンも同様に2月の790㌦でピークを打ち、7月には375㌦の安値を付けている。

(2023年11月2日配信)

10月27日 GENIX-CN70は前週末終値から0.2ポイント下落して155.81と2週連続で下落した。東証株価も0.06ポイント下がって142.76となった。

10月以降、株式市場は調整色を強めており、9月最終週との比較ではGENIX-CN70、東証株価ともに約3%下落している。

GENIX-CN70の構成銘柄のうち9月末比で上昇したのは全体の2割16銘柄にとどまる。その中で愛知時計が本年高値を更新したほか、日本酸素、栗本鉄工、川崎汽船などが高値圏で頑強な値動きを見せている。

(2023年10月27日配信)

10月19日の米原油先物(WTI)価格は3日続伸。中東地域の紛争拡大への懸念が市況を押し上げた。

国際ガス市況も値上がりしており、欧州パイプラインガス先物価格(TTF)は13日に百万BTU(英国熱量単位)当たり16ドル台、スポットLNG価格は18日に19ドル台へと上昇している。

イスラエル沖の海洋ガス田(タマル)が操業を停止したと報じられており、このガスを原料とするエジプト産LNGの出荷に影響が及ぶ恐れが指摘されている。

(2023年10月20日配信)

 10月9日の米原油先物(WTI)市況は2日続伸し、1バレル前日比3.59㌦高の86.38㌦に上昇した。6日の米雇用統計は市場の予想を上回る数値で、長期金利上昇を促したが、原油市場は底固い動きを見せた。そこに、イスラエル・パレスチナ間で大規模な武力衝突が発生。中東の地政学的リスクが高まったことで、買い気が優勢となったようだ。また、本年高値を付けた9月27日以降の下げが急だったこともあり、買い戻しも入りやすかったと見られる。

 一方、連休明け10月10日の東京株式市場は、朝方から買い戻しの動きが広がりほぼ全面高でスタート。GENIX‐CN70構成銘柄もこのところ下げがきつかった石油株などが買い気配で始まるなど総じてしっかりした動き。

 三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部の芥田知至主任研究員は当面の原油相場について、「今回の武力衝突にイランの関与があるのかどうかなど中東情勢には不透明な部分があり、不安定要素が増えた格好だ。他方、このところの米長期金利上昇やドル高が原油相場を下押しするとの見方や、米欧の金融引き締め効果で石油需要が鈍化するとの懸念も根強い。さらに中国の不動産不況、全米自動車労組(UAW)のストライキ、米予算審議の難航なども需要を鈍化させる要因として意識されている。当面は地政学的リスクや需給などの強弱材料が交錯する中で、不安定な推移が見込まれる」としている。(了)

(2023年10月9日配信)

米原油先物が10月4、5日と続落し、1バレル82㌦台まで下落、8月30日以来の安値水準となった。4日は下落率が5・61%に達する大幅な下げで、下落率が5%を超えるのは5月2日以来5カ月ぶり。9月27日に付けた本年高値93・68㌦から5日までの下落率は12%強に広がった。市場では、米ガソリン在庫の急増や強含んでいる長期金利の動向を警戒。今晩の米雇用統計の発表を注視している。

一方、米天然ガス先物(HH)価格は3日続伸し、今年3月以来となる百万BTU(英国熱量単位)当たり3ドル台に乗せてきた。

(2023年10月6日配信)

米原油先物が10月4日、前日比5.01㌦安の1バレル84.22㌦と急反落し、8月31日以来の安値水準に後退した。1日の下落率の大きさは5.61%に達した。5%を超える大幅な下げは5月2日の5.29%以来、5カ月ぶり。市場では、同日発表された米石油在庫統計でガソリン在庫の急増が明らかになり、これが利益確定売りを誘ったとの見方が出ている。

JOGMECの首席エコノミスト・野神隆之氏は、「統計で明らかになった米ガソリン需要の低迷は、この時期としては2000年以来の低水準。他にもロシアの軽油輸出禁止の一部解除検討の報道、サプライズのないOPECプラス産油国共同閣僚監視委員会の内容などの弱気材料がそろって現れた。このため、市場は狼狽売りの様相を呈しているが、今年第4四半期に供給不足に陥るとの認識に変化はなく、市場のセンチメントが根本的に変化したとは言い切れない。原油市況は売られ過ぎ気味の領域に入りつつあり、値頃感から買い戻しが発生しやすい状況ではあるが、まずは明日6日発表予定の米国雇用統計が注目される」としている。

10月5日の東証は朝方、昨日までの大幅安に対する自律反発の動きとなり、TOPIXが6日ぶりに反発するなど全般に買い物優勢の始まりとなったが、原油の急落を受けて、GENIX‐CN70構成銘柄のINPEXや石油資源開発など石油関連株は売り気配のスタートとなった。

(2023年10月5日配信)

中東産LPGの日本向け長期契約価格(サウジCP)の10月分は、プロパンがトン当たり前月比55㌦値上がりして600㌦(前月比9.09%高)、ブタンは同50㌦値上がりして 615㌦(同9.82%高)となった。プロパン、ブタンともに3カ月連続で値上がりした。背景には原油市況の上昇が指摘されている。

(2023年9月29日配信)

東証9月28日前場の寄り付きは、GENIX‐CN70構成銘柄のINPEX、石油資源開発、日揮など石油株が大幅高でスタートした。朝方は全般に利益確定売りが先行する中で、石油関連株の値動きの強さが目立った。石油資源開発は2008年以来、13年振りとなる6000円台に到達した。

 前夜27日の米原油先物(WTI)価格は前日比3.29㌦値上がりして1バレル93.68㌦となり、7営業振りに今年の高値を更新した。また、当面の戻りのめどと見られていた昨年10、11月に付けた92㌦台の高値を一気に上抜いてきたことで、市場関係者の間では先高ムードが一層強まっている。

(2023年9月28日配信)

9月22日の東証株価は前夜の米国株式下落を受けて、朝方から売り先行で始まった。GENIX-CN70構成銘柄も商社、海運株など総じて下落した。半面、INPEX、石油資源開発、ENEOSなど石油株の一角は底固い動き。GENIX-CN70は前週末比2.08ポイント下落して164.04ポイントと5週ぶりに下落した。

21日の米原油先物市場は、米金融政策の引き締め長期化懸念が台頭し、利益確定売りに押された。期近終値は前日比0.65㌦安い89.63㌦と、3日続落し、6営業日ぶりに1バレル90㌦台を割り込んだ。

9月25日付紙面の関連記事「原油100ドルが視界に サウジ減産の影響を注視」

(2023年9月22日配信)

9月14日の米商品先物市場では、原油先物(WTI)価格が2日ぶりに反発し、終値は前日比1.64㌦値上がりして1バレル90.16㌦と、当面の節目と見られていた90㌦大台を突破した。90㌦に乗せるのは2022年11月7日の91.79㌦以来、10カ月ぶり。市場関係者の間では、原油需給の引き締まり感から先高を予想する声が強まっている。

原油市況の上昇を受けて、15日の東証ではGENIX-CN70構成銘柄のINPEX、石油資源開発、日揮、ENEOS、三井物産、三菱商事といった、石油やエンジニアリング、商社など資源関連株が一斉に買い進まれた。INPEXは2008年以来、この週急伸した日揮は2018年以来の高値水準。

(2023年9月15日配信)

9月13日の東京証券取引所では、朝方からINPEX、石油資源開発、ENEOSなどGENIX-CN70構成銘柄の石油株が買い先行でスタートし、本年高値を更新した。前夜12日の米原油先物価格(期近終値)が前日比1.55㌦高の1バレル88.84㌦と反発し、約1週間ぶりに本年高値を更新したことが買いの手掛かりになっていると見られる。

原油市場では需給に引き締まり感が指摘されるなど、市況は当面強含むとの見方に傾斜しているようだ。ENEOSのこの日の株価は4年8か月ぶりとなる600円台を目前に捉えている。INPEXは2008年10月以来、石油資源開発は2009年6月以来の高値水準に来ている。

米原油先物は2008年に145㌦の最高値を付け、2011年から2014年にかけて100㌦前後で推移していた。最近の石油株は原油100㌦時代の再来をあたかも織り込むかのような値動きを見せている。

(2023年9月13日配信)

9月8日の東京株式市場は、前夜の米国株式市場の下落を受けて、朝方から利益確定売りが先行する展開となったが、この週のGENIX-CN70は前週末比1.67ポイント上昇して161.86と3週連続値上がりし、前週に続いて指数算出以来の高値を更新した。この週は三菱重工、川重重工、三井物産、石油資源開発などが指数をけん引した。

原油先物価格(米WTI)は9月7日、前日比0.67㌦安い1バレル86.87㌦と、10日ぶりに値下がりし、前日まで値上がりが目に付いたINPEX、石油資源開発、日揮、ENEOS、三井物産、三菱商事などの資源関連株には利食い売りが広がった。

また、個別では、このところ物色人気を集めていた三菱重工も6日ぶりに反落した。半面、三菱重工の急上昇に対して出遅れ感が台頭していた川崎重工はこの日も買いが途切れず逆行高、10連騰となった。

三菱重工の本紙最新ニュース:長崎で脱炭素基盤技術 既存拠点連携し開発推進/三菱重工

川崎重工の本紙最新ユース:世界初ドライ式水素タービン、NOx抑制と高効率を両立/川崎重工
(2023年9月8日配信)

市況情報

【紙上技術紹介特集】

【紙上技術紹介特集】

ガスメーター・警報器・ガバナーなどのガス関連機器メーカー、システムベンダーは、ガス導管の解析ソフト、ガスコンセント、遠隔計測用通信機器、一酸化炭素検知で火災を知らせる火災警報器、天然ガス漏えい検知システムなど、需要家やガス事業者のニーズに対応し多様な製品・技術を開発し市場投入している。ガスエネルギー新聞は、各社の最新技術・製品・システムを紙面で紹介する。

●I・T・O―防災対応システムBOGETS(ガス・電気・水)

〇問い合わせ=営業本部業務課電話072―981―3781

ガス供給機器メーカーのI・T・O(旧伊藤工機)は、長年培ってきた「ガス供給機器の技術」を平時から災害時までのインフラ全体をトータルで支えるため、防災減災事業を本格化しています。地震や台風でライフラインが停止した時に、LPガスを利用して、都市ガスと電気をつくることができる防災対応システム「BOGETS」は、液化石油ガスエア(プロパン・エア)発生装置「NewPA」、ガス発電機、耐震LPガス容器スタンド、都市ガスとプロパン・エアーガスを切り替えるワンウェイロックバルブなどで構成され、災害発生から72時間をしのぐことをコンセプトに開発されました。「BOGETS」は、2019年にコージェネ財団より「新型プロパン・エア発生装置を用いた防災減災対応システム」としてコージェネ大賞技術開発部門特別賞を受賞し、さらに22年にレジリエンスジャパン推進協議会より「寝屋川市立中学校体育館の空調設置に合わせた防災減災対応システム『BOGETS』導入による避難所のレジリエンス強化」として最優秀賞を受賞するなど、そのオンリーワン技術の有用性は全国的に知られるものとなってきています。

システムの根幹をなす「NewPA」は、ガスに関する専門知識がなくても、簡単に操作できるよう、操作画面の表示と音声ガイドで手順を分かり易くナビゲーションし、制御盤内のタッチパネルを操作していくだけで装置を稼働できるシステムです。同社では現在、全国の自治体に小中学校の体育館空調のバックアップ用として防災対応システム「BOGETS」の導入提案を行っています。

また同社では、ガスと電気のバックアップに加えて、生活用水浄化装置の販売も開始します。過去の大災害において、生活用水の確保は重要な課題と認識された。同社が販売する生活用水浄化装置は、1時間に2トンの水を浄水することができます。家庭用の電源で使用でき、小型で扱いやすいので、誰でも簡単に使うことができます。シャワー一つをとっても、ガス・電気・水いずれが欠けても機能しません。同社は、ガス・電気・水の「ライフライン防災」を提供し国土強じん化に貢献します。

●アンドパッド―導管データの三次元化技術の開発と新プロダクト「ANDPAD3Dスキャン」について

〇問い合わせ=メール:info@andpad.jp

電話03―6831―4551

「ANDPAD」は現場の効率化から経営改善まで一元管理できるシェアナンバー1のクラウド型建設プロジェクト管理サービスです。直感的で使いやすさにこだわった開発と導入・活用への徹底したサポートで、利用社数18・7万社、47・5万人以上の建設・建築関係者が利用しております。

今回、都市ガス導管事業における維持管理業務のさらなる効率化を目的に、東邦ガスネットワークとともに導管データの三次元化技術の開発を行い、新プロダクト「ANDPAD3Dスキャン」を開発、今年5月に正式提供を開始しました。「ANDPAD3Dスキャン」は、ガス管の敷設状況の点群データを取得後、クラウド上で共有し、施工管理アプリを通じて、早く正確にガス管敷設情報を取得、共有、管理が可能になります。現場に居なくても埋設状況を正確に確認することができます。施工後の現場測量、施工場所をGPSで確認、竣工図書作成、検収、GISマップなどへの反映の一連の業務の効率化を目的としています。「魅力的でかっこいいガス工事現場の実現」に寄与します。

従来、ウォーキングメジャーでの計測や手書きメモ、紙での報告書作成・管理を行っていた業務が、「ANDPAD3Dスキャン」を使うことにより、現場をスマートフォンで撮影するだけで埋設状況を3Dデータとして取得、案件に参加している担当者であれば誰でも案件資料、図面、写真、工程表などと一緒に3Dデータをクラウド上で閲覧できるようになります。GPSの位置情報や3Dデータ上で計測した寸法やメモが合わせて3次元上に保存されており、竣工図・竣工データとして活用でき、現地での再調査回数、提出物の差し戻し、検収時の確認工数の削減、また施工、検収、維持管理での完全ペーパレス化を目指します。現場にいない担当者も埋設状況や周辺状況が瞬時に把握できることにより、現場に在中していない担当者もより精度の高い現場状況の把握が可能となります。

開発者・営業担当者のANDPADZERO菊野格氏のコメント

紙での運用で最適化された環境に、点群・深度センサー・3Dなどの新しい技術を受け入れてもらうのは非常に困難でしたが、埋設状況を3Dデータとして記録し今後の維持管理においても正確な情報を保持できることはそれ以上の価値があります。見える部分であれば、再現地調査などを複数回行えば、記載ミスがあっても運用でカバーできますが、埋設部分になってしまうと工事士が正確に情報を毎回記録する必要があります。このツールでは、スマートデバイスに搭載されたLiDAR(深度センサ―)を使った3Dデータ生成を行うことで、精度が担保されたデータがすべての現場で確実に記録できることを目指しています。

今後は供給管のみならず、本支管や他埋設の水道管、地中電線などの他埋設も共有できるプラットフォームを作っていくことで、他社との協議時に正確な情報を共有し、現場の効率化と事故防止にも寄与できるツールを実現していきます。

●オータス―より密接で効率的なガス事業者と工事店をつなぐシステムKG―COCOS

○問い合わせ=システム営業部電話022―712―7571eメールeigyo@otas-kk.co.jp

オータスは、基幹系業務パッケージシステム「ガムシススマートプラス」、お客さま向けポータルサイト「ガムシスポータル」、セールスフォースを活用した営業支援システム「ガムシスCRM」などのガス事業者さまの業務をトータルサポートするシステムを開発、提供、運用支援等のサービスを行っております。

そしてこれらの製品ラインアップに加え、「ガス事業者、工事店事業者向けクラウド型内管工事管理システム」として「KG―COCOS」を製品として外販しております。

今回は「KG―COCOS」を紹介させていただきます。KG―COCOSは新潟県の蒲原ガスと共同開発し、クラウド型顧客情報管理ツール「セールスフォース」をベースにしたシステムです。ガス事業者と工事店はそれぞれの管理画面からID、パスワードでログインすると、見積書や発注書、竣工図などをウェブ上でやり取りができ、工事物件の進ちょく管理等も一元的に管理ができます。

ガス事業者もしくは工事店様にガス工事やそれに伴う水道工事などの依頼があると、それぞれの見積作成画面より見積作成を実施し、物件管理に必要な帳票類を添付します。

その後、ステータスが変わり、それぞれの画面にてその物件工事に関する見積等を確認ができるようになります。以降、工事が進行するごとにステータスを変更させるとそれぞれの画面にて物件工事の進ちょくを工程ごとに変化していることを確認でき、見積作成、承認、商談、工事申込、工事票発行、仕掛、請求までの一連の流れを視認性が高い画面にて状況把握を瞬時に行うことが可能です。

そのため、導入後は▽見積りの依頼から提出までの時間が短縮され、顧客対応が迅速化▽工事店様の見積書および工事票の授受にかかる往来時間の削減▽見積書の確認作業やデータ入力作業、書類授受のための準備・連絡業務等の時間を削減▽実績をグラフ等で確認できるため、会議資料の作成時間の削減―といった効果を生み出せます。

また、工事店同士の物件情報は参照できない仕様となっていることでガス事業者は全工事店の情報を参照でき、検印作業を行うことができるため、大幅な事務作業の合理化が進めることができます。

今後の展開としましては、API連携等によりさまざまなシステムと連携し、高度でかつ細かい内管工事管理ができるように企画していきます。皆さまの業務改善に寄与いたします。お気軽にお問い合わせいただきます様、よろしくお願い申し上げます。

●協振技建―埋設管照会支援サービスおよび他工事管理機能

〇問い合わせ=営業部eメールinfo-customer@kyoshin.nkkg.co.jp

電話03―3942―3531

ガス事業者では、住宅工事や不動産売買に係わる都市ガス整備状況の照会や、道路上の他工事に係わる埋設管照会に日々対応しています。また、他工事照会では埋設ガス管に影響のある工事の場合に事前協議や立会業務を行っています。

営業チャンスの獲得や他工事事故防止のためには、埋設管照会対応および他工事管理対応は重要な業務ではありますが、照会受付や回答対応、他工事立会資料作成や巡回業務などに多大な労力を要しています。

今回ご紹介する「埋設管照会支援サービスおよび他工事管理機能」は、ウェブブラウザで問合せ・回答ができ、照会情報は他工事管理業務連携が可能となったことにより、埋設管照会業務から他工事管理業務までの省力化を実現します。

一般的な埋設管照会業務の流れは、(1)申請者が申請書提出(2)照会受付(3)照会内容確認(4)マッピング検索・印刷(5)回答書記入(6)ファクス送信(7)回答資料ファイリング・保管となります。また、他工事管理業務の流れは(1)他工事受付時に影響有無の判断(2)他工事資料準備(3)協議(4)巡回計画策定(5)立会巡回(6)立会報告書作成(7)資料ファイリング・保管となります。

この流れを当社の「埋設管照会支援サービス」では、以下の(1)~(4)の手順で作業できます。

(1)申請者は会員登録の上、照会支援サイトからログインして申請情報登録と申請位置をグーグルマップ上に指定することで申請を行います。

(2)ガス事業者は照会情報と自動作成された照会位置のマッピング画像を確認します。

(3)回答情報は回答項目を登録することでマッピング画像を含めて回答されます。

(4)照会情報は添付資料を含めて一覧管理されます。

照会業務で一番時間を要しているマッピングデータ調査を自動化したことにより、照会担当者の対応時間を削減し、さらにペーパーレス化を実現します。なお、マッピングシステムはメーカーにかかわらずDXF形式でデータ提供いただければ対応可能です。

次に「他工事管理機能」では、(5)照会情報の中でガス管に影響のある件名は他工事情報として一覧管理され、他工事件名毎に協議記録や立会報告書など関連帳票が作成できます。

(6)担当者別・工事日別の一覧表が作成でき、尚且つそれを地図上に一括分布表示します。

(7)立会情報、巡回情報などは現場からタブレット端末で登録できます。また、タブレット端末で撮影した写真は件名ごとに保存されるため整理が不要です。その他機能として、承認機能や月別報告書作成機能等、要望に応じて対応いたします。

埋設管照会の回答対応および他工事協議録作成や立会報告書作成はどこからでもウェブブラウザで登録可能なため、リアルタイムな情報共有と進ちょく管理までを行え、業務効率化を実現します。

●ABB―可搬式レーザー分析技術を用いた天然ガス漏洩検知エコシステム

◯問い合わせ=ABBジャパンコンタクトセンター電話03―4523―6170Eメールcontact.center@jp.abb.com

ABBが提供する「天然ガス漏洩検知エコシステム」は、パイプラインをはじめとする、天然ガスを取り扱う全てのインフラ設備を対象とした、最先端のガス漏洩検出システムです。漏洩リスクの高いポイントの検査や常時監視をより迅速・正確に行い、費用対効果の面でも大きく貢献します。

現在、天然ガスの検出に関しては、赤外線を始めとするさまざまな定量評価が行われています。このなかでも、レーザーを用いた分析は、その高い波長選択性が特徴であり、測定対象以外の成分からの干渉が少ないという特徴を備えた、優れた分析技術です。

これに対して、ABBでは多変量解析技術をはじめとする種々の改造を施した独自の特許技術「OA―ICOS法」を開発しました。天然ガスが導入されるサンプルセルにミラーを搭載し、その減衰時間を考慮することによって、コンパクトな分析計ながら、極微量のメタン、エタンの検出を実現しました(ppm~ppbレベル)。

さらに、一般産業において従来大きな課題として挙げられていた堅牢性(例:振動への耐久性など)は大きく改善され、本稿で紹介する可搬式分析計はさまざまな作業現場での運用が可能です。

可搬式分析計の活用方法として、現在ABBでは複数のソリューションを提案しています。

車載型システムの「MobileGuard」は、「OA―ICOS」メタン/エタン分析計、GNSS(全球衛星測位システム)、風向・風速計に加えて、漏洩の可能性がある範囲と漏洩のレベルをリアルタイムに解析、マッピング可能なソフトウェアで構成されます。このリアルタイムのデータ解析は、漏洩個所の特定と、その対処の優先順位付けに要する時間を削減し、安全をより強固なものにします。機器に保存される測定結果は必要に応じクラウドデータベースに転送され、中央集権的なデータ管理にも活用されます。

「MicroGuard」は、「MobileGuard」と同じ特許技術(超高感度レーザー)を採用しており、歩速での漏洩検査をより効率化します。「MicroGuard」は電子レポートの生成にも対応しており、漏洩検査後、即座にレポートの作成・共有が可能です。

その他にもABBは、新たなラインナップとして、ドローン搭載型システム「HoverGuard」をリリースしています。このシステムは、従来安全で効率的な検査の実施が困難だった、高所や危険区域等での天然ガス漏洩検査を実現します。

ABBは今後も、ガス事業者さまのニーズに最適な漏洩検知をはじめとする分析技術を提供してまいります。

●アズビル金門―ガス事業者とガス利用者をつなぐ「スマート保安ソリューション」のご紹介

○問い合わせ=営業本部SMaaS事業推進部、電話03―6258―5352、営業本部ガス機器営業部、電話03―6258―5343、URLhttps://ak.azbil.com

今回の紙上技術紹介において、メーターのスマート化を目指す当社の事業の総称であるSMaaS(SmartMeteringasaService)事業の一例として、高機能普及型膜式スマートメーター「NX―U/JX―U」とガス事業者向けクラウドサービス「ガスミエールC」で構成するスマート保安ソリューションを紹介いたします。

「NX―U/JX―U」は、震度5強相当の揺れを検知すると遮断し、その後自動で漏えい確認を行い、異常がないことを確認した後には自動で復帰する「感震遮断時の自動復帰機能」を実装しています。この機能によりメーターの復帰方法に関する問い合わせが少なくなれば、緊急性・重要性の高い連絡を確実に受けられるようになり、生産性向上に貢献できます。

また、圧力センサー内蔵によるさまざまな保安機能を有しており、高速通信・省電力のUバス通信方式採用による遠隔での遮断弁開閉により、早期に安全を確保できるといったメリットがあります。

さらに、従来からご使用いただいているNB(JB)型・NS(JS)型膜式メーターからの改造も可能で、リーズナブルにスマート化への移行が可能です。「NX―U」「JX―U」の発売と同時にサービスを開始したSMaaSクラウドの一つである「ガスミエールC」は、クラウドに集められたガス使用量、圧力値を専用サイトで確認することができ、数台程度からの試験導入が検討でき、手軽に遠隔検針を始めることが可能です。時間ごとの使用量データが得られるため、季節や時間帯から給湯用や暖房用などの用途を推定した計量が可能になり、検針時のヒューマンエラーや検針員不足といった課題解決に貢献します。

また、圧力データの高頻度収集、メーター内の従来の圧力スイッチを圧力センサーに変えたことで時間ごとの圧力値を把握できることが採用事業者から高く評価を受けています。

例えば片ガス導管の端にこのメーターを設置することで、導管内圧力の余力の有無を確認でき、導管を現状のままで良いのか、口径拡大すべきかの判断の根拠となり、導管の最適化を図ることが可能です。スマート保安が重視されていることから、レジリエンス強化策として、クラウドサービスが重要になってきています。まずは小規模スタートでの導入を提案いたします。

●愛知時計電機―都市ガス用高機能ガスメーター

〇問い合わせ=ガス営業推進部電話052―661―5160

都市ガス用高機能ガスメーターについて超音波式(型式US)と膜式(型式JO)について紹介させていただきます。2機種に共通する特徴とそれぞれ異なる特徴がございます。どちらの機種も日本ガス協会の標準仕様に準拠しております。

【共通する特徴】

一つ目は表示部の液晶パネル化になります。表示部が液晶となり、保安機能が働いた場合、遮断・警報などがアルファベットで表示されるため、分かりやすくなりました。また復帰漏えい確認時にカウントダウン表示をすることで復帰完了までの時間が一目で分かります。

二つ目は感震遮断時の自動復帰機能を搭載していることです。震度5強相当以上の揺れを検知して遮断すると自動的に復帰漏えい確認を行います。漏れがないこと、揺れが継続していないことを確認すると自動復帰でき、対応工数の削減につながります(メーター仕様選択が必要)。

三つ目はUバス通信の機能を搭載していることです。従来の汎用マイコンメーター(型式NS)で採用されているAライン通信に加え、Uバス通信も搭載しております。対応する通信端末を介してセンターシステムと通信することで、遠隔検針・遠隔開閉栓・圧力値伝送・アラーム通報ができますので業務効率化と保安の高度化が実現できます。

四つ目は圧力センサーを搭載していることです。メーターで測定した圧力値を数字で確認することができ、従来メーターにはなかった圧力上昇遮断機能に対応できます。

【異なる特徴】

一つ目は膜式(型式JO)が修理・改造に対応できることです。計測部は従来の膜式メーター(型式JB)と変わらないため、JBメーターのリユースが可能であり、導入コストを抑えることができます。超音波式(型式US)は新品対応のみとなります。

二つ目は内管漏えい検知を行うロジックが異なります。膜式(型式JO)は最短連続15分間ガスが止まることで漏れがないことを確認でき、超音波式(型式US)は30日間に「2分間×30回」累計で60分ガスが止まることで漏れがないことを確認できます。

三つ目は外形寸法の違いになります。超音波式(型式US)は膜式(型式JO)と比較して半分程度の大きさ、重さとなっており小型・軽量化を実現しております。狭いエリアへのメーター設置時などお役に立てます。

高機能ガスメーターそれぞれに特徴がありますのでガス事業者の考えにより選択することが可能です。愛知時計電機はガス事業者のスマート化をアシストできるようセンターシステムについても検討を進めております。

●大阪ガスネットワーク―支管用非開削入れ替え用装置施工要員の作業負荷を大幅軽減

○問い合わせ=導管計画部R&Dチーム足立進、電話06-6465-2050

大阪ガスネットワークは、他埋設物破損リスクの低減および小型軽量で省力化に寄与する支管用非開削入れ替え用装置を新たに開発しました。非開削工法のさらなる適用拡大を目指すとともに施工要員の作業負荷を大幅に軽減し施工時間を短縮する目的で、2024年度から導入を始めています(24年度内に20基配備予定)。

当社はネジ支管からポリエチレン(PE)管への入れ替え時に、施工費低減や掘削土砂量の削減(環境負荷の低減)、道路交通への影響の緩和を目的に非開削工法を約30年前から採用しています。

従来工法は(1)入れ替え箇所の両端に立坑を掘削(2)片方の立坑から長さが80センチメートルの金属製ロッドを接続し、継ぎ足しながら既設管に挿入(3)もう片方の立坑で金属の刃が付いたヘッド部とPE管をロッドに接続(4)ロッドのけん引により既存ガス管をヘッド部の刃で切り裂きながらPE管を引き込み敷設――の主に四つの行程が必要となります。

ロッドを押し引きする装置は、大型で重量が約160キログラムもあるため、立坑に設置するには数人が必要です。引き込み作業は立坑の中で2人が機器の操作や、ロッドの接続の取り外しを行います。

さらにガス管近傍に他の埋設管がある場合は、ヘッド部の刃で他の埋設管を損傷する恐れもあるため、適用できる現場が限定されていました。また、海外製のため故障した際の修理や消耗部品の入手に期間を要し、費用も高額になる課題もありました。

新工法は引き込みにロッドではなく金属製のワイヤーを使用します。引き込み装置の重量を60キログラムと大幅に軽量化した上に、半分に分割できるため1人で設置可能です。またロッドの接続・取り外し作業のためのスペースが不要で、立坑の外部から操作可能です。そのため立坑を小さくでき、掘削土砂量を約30%削減できます。現行品では多くの作業時間を要するロッドの接続・取り外しの作業が不要となるため、同一延長では、作業時間を約1時間短縮できます。

現行品はヘッド部の刃の高さが約15ミリメートルですが、開発品のヘッドは円錐状になっています。前部にある高さ約3ミリメートルの刃で切り込みを入れて、徐々に太くなる後部で押し広げる方式のため、他の埋設管を損傷する可能性はほとんどありません。さらに現行の装置一式は2~3トントラックで運搬しますが、開発品は一式を軽自動車のトラックで運搬することができるようになりましたので、適用が可能になる現場が拡大します。装置一式は国産品のため、修理や消耗部品の調達が迅速で安価になります。

今後は新工法の導入により、自社工事における非開削工法のさらなる推進を目指すだけでなく、他ガス事業者への提供も検討していきます。

●JFEエンジニアリング―中圧ノーブロー工法、適用口径の拡充および装置国産化

○問い合わせ=エネルギー本部営業統括部ガス営業部、電話045-505-7141(代表)

当社と東京ガスネットワークは、活管分岐・遮断工法である中圧ノーブロー工法に使用する継手のラインナップを拡充することに成功しました。これまでの100A~750Aの継手ラインナップに新たに小口径の80Aを加え、これにより小口径を保有するガス事業者に対しても本工法を提案できるようになりました。さらに、ノーブロー施工装置の国産化開発により、施工装置の提供・補修も可能となりました。

ガス導管工事においては、新規需要に対応するための分岐工事や他工事に伴う移設工事、設備更新に伴う取替時の遮断工事などが多く発生します。通常は、これらの工事は上下流のバルブを操作し、ガス供給を停止または本管内を減圧してから施工しなければならないため、需要家との調整など多くの制約がありました。しかし本工法は、これらの調整が不要であり、さらに運用中のガス導管に対し活管状態で分岐工事や遮断工事ができるため、需要家への供給を継続したまま工期の大幅な短縮が可能となります。

当社は、ガス事業者の強い要望を受け1982年から海外技術を国内導入する形でノーブロー工法の開発を行い、小口径から順次現場適用を進めてきました。継手構造の改良を重ねた後、1995年より現方式の施工法が確立されましたが、継手・施工装置とも海外から輸入して施工していたため、継手の発注から納品までに半年以上のリードタイムが必要でした。

さらに施工装置の修理・メンテナンスにも時間を要し、材料供給の調整や施工装置トラブルへの迅速な対応も困難でした。そこで、2011年より東京ガスネットワークと共同で、主要な口径である100A~300Aの継手国産化に取り組み現場導入を進めてきました。

さらに2020年からはノーブロー施工装置の国産化にも成功し、2024年度から現地導入します。これらの開発・国産化により、今まで提供してきた材料供給・敷設施工のサービスに加えて、施工装置の提供・補修にも対応可能となります。今後も当社では、適用口径の拡充を推し進めるとともに、ガス事業者の多様なニーズにお応えしてまいります。

●グローバルネットコア―定期保安・開栓閉栓・ガスメーターの期満交換、SaaS型ウェブ受付システム「G―THANKS」、翌日以降の予約日時を検査員と即時共有

〇問い合わせ=ソリューション営業部本間・佐藤、電話025―244―0191

グローバルネットコアは、定期保安検査や開栓閉栓の受付、ガスメーターの期満交換(検満)の申し込み受付をウェブ化し、DXによる業務効率化を実現する「G―THANKS」のサービスを展開しています。「G―THANKS」は、蒲原ガスさま(新潟県)向けに開発したウェブ予約システムが、大幅な業務効率化につながったことから本格的にサービス化したものです。新発田ガスさま(新潟県)に導入が決定し、大多喜ガスさま(千葉県)では試験的な導入を検討中で、全国のガス事業者さまから多くの引き合いをいただいている注目のサービスです。

「G―THANKS」は、需要家が二次元コードを読み込んでウェブサイトにアクセスすると、担当検査員の訪問可能日時(予約日翌日~)が表示され、希望の日時を選択して即座に予約が可能で、需要家の利便性が飛躍的にアップします。

また、ガス事業者、委託先検査員、開栓閉栓・メーター交換作業を行う作業員は、パソコンやスマートフォンを使い、それぞれの管理画面から予約状況をリアルタイムに確認できるため、スケジュール管理が非常にスムーズになります。

加えて、検査員自身が受付の可否を時間単位で登録が可能で、業務都合や休暇などによる受付停止をシステム上に明示することで、働き方改革の一助にもなります。「G―THANKS」の導入で、需要家・ガス事業者・検査員がシステム上で予約状況をリアルタイムで共有できるため、検査員や需要家との電話での日程調整に多くの手間・時間がかかる課題を解決し、業務効率を大幅に向上できます。電話受付を併用した場合でも、訪問日の日程調整が極端に少なくなります。

「G―THANKS」を定期保安検査で利用している蒲原ガスさまでは、電話での受付や日程調整にかかる業務時間が月間11時間から約60%削減され月間4時間に短縮。予約が容易になったことで需要家の自発的な予約件数がこれまでの3倍に増加し、訪問しても検査できない「空振り」が減少。検査員1人当たりの作業時間は月平均約10%も短縮するなど大きな効果が出ています。

このように受付業務の効率を大幅にアップする「G―THANKS」は、初期費用40万円(税別)、ランニング費用は月額3万8千円(税別)と、事業規模を問わず導入しやすい価格です。現在も受付時間枠の追加、CSVデータの取り込み機能など、さまざまな機能追加を行ってガス事業者さまの使いやすさを追求し続けております。随時、「G―THANKS」の操作性、利便性を確かめられるデモを無料で承っております。お気軽にご連絡ください。

●ジェイ・サイエンス・ラボ―自動燃料ガス分析システムGC2011PLUS

〇問い合わせ=本社第一技術部、電話075-693-9480、東京営業所、電話042-506-0833

URL:http://www.j-sl.comE-mail:mailbox@j-sl.com

ジェイ・サイエンス・ラボは、自動燃料ガス分析システムの製造・販売・メンテナンス等を行っています。自動燃料ガス分析システムは、わずか15分で水素~C5(ペンタン、イソプレン、シクロペンタジエンなど)の分析が行え、JISK2301―2022に準拠したフォーマットでの出力が可能な分析装置です。

2022年のJIS法の改正に合わせて、GC2011からGC2011PLUSにモデルチェンジし、キャリヤーガス(ガス分析システムの流路に流すガス)に水素を使った分析が可能となりました。水素キャリヤーガスでの分析は、ヘリウムキャリヤーガスでの分析と比較して、ほぼ同等程度の感度が得られます。

キャリヤーガスを、昨今高騰するヘリウムから水素に変更することでランニングコストを大幅に削減することができます。GC2011PLUSは水素漏洩検知器をオプションで取り付けることができ、安全対策も万全です。

全自動アタッチメントと組み合わせることで、ソフトウエアで指定した所定の時間に自動で分析できます。本ソフトウエアでは標準ガスの自動校正(自動判定含む)を行うことも可能ですので、人の手を全く介さずに校正から1日1回の法定分析を行うことが可能となっています。

また、全自動アタッチメントにはキャリヤーガスセーブ機能が搭載されており、キャリヤーガスの消費量を非測定時は3分の1~2分の1の程度に抑えることができます。

その他、流路切換ユニットやサンプリングバック等に採取した試料を測定するためのポンプユニット等さまざまなアタッチメントを取り揃えています。

昨今インターネット環境の普及に伴い、分析計の遠隔操作に関する要望も多くなっています。

ジェイ・サイエンス・ラボは、従来からLAN接続によりファイルを共有化することで、測定結果を遠隔地より閲覧するという対応を行っておりました。さらなる利便性の向上を目指して、リモート操作アプリを導入することで、先述の全自動アタッチメント付きの装置において、遠隔地からのスケジュールの変更や臨時分析(追加分析)等の装置の操作を行う技術を確立しました。

ジェイ・サイエンス・ラボは「FortheCustomer」を合言葉に、お客さまの細かなニーズに対応すべく日々業務に取り組んでいます。自動燃料ガス分析システムは専用機として前身の会社から製造・販売しており、1989年にJIS法でガスクロ法が採用されて以来35年以上にわたり、専用機として製造・販売を続けています。全国各地のガス事業者を中心に通算100台以上の実績があります。信頼と実績の技術で多様化するニーズに応えるべく、今後もさまざまなアプリケーションの開発に取り組んでまいります。

●光陽産業―「ガスコンセント(埋込)(埋込電気二口付)」の改良

○問い合わせ=第二営業部、電話03―5702―1221

当社は、東邦ガスネットワークと共同で、居室用壁埋込ガス栓の作業性向上を目的として、ガスコンセント(埋込)、ガスコンセント(埋込電気二口付)の2製品の改良を行いました。

改良仕様設定に当たり現場作業者の生の声を聞くため、試作品を持って日々実現場で施工している工事従事者へヒアリングを実施しました。現行品の課題や試作品の使用感について意見を集約したうえで、より一層「使いやすい仕様」へ改良を行いました。

改良ポイントは大きく3点あります。

(1)施工性向上(ガス工事事業者様の声)

初心者でも迷いがない施工を目指し、壁内でのねじ止め作業や化粧プレートの調整作業の省力化を図り、「コツや慣れ」を排除した結果、施工時間を短縮できました。

既存品と比較して、先付施工では、ガスコンセント(埋込)は、施工時間を50%短縮でき、同(埋込電気二口付)は35%短縮できました。

後付施工では、同(埋込)は30%短縮、同(埋込電気二口付)は、25%短縮できました。

(2)迅速継手(ガス栓側ソケット)の全長ショート化に対応(ガス栓を使用するお客さまの声)

現在販売されている迅速継手(ガス栓側ソケット)は、以前のものより全長が短くなっております。

現行品のガス栓は、壁面が厚くなるほど、ガスコンセント口が壁奥へ位置してしまい、迅速継手の接続や取り外しが難しくなります。特にご年配の方から、接続しづらいとのお話を多く聞きました。

改良品は、常にガスコンセント口が一定位置に配置されるように改良いたしました。

(3)先付施工時のガス栓設置位置探査機能(ガス工事事業者の声)

先付施工時(ガス栓設置後、壁の施工)において、ガス栓設置位置が目視できなくなるため、別な箇所へ穴あけをしてしまい、壁の再施工が発生するため、対応策の検討依頼がありました。

そこで、確実な探査を目的に、ガス栓用磁石探査治具の新規開発をいたしました。改良しましたガス栓で、ガス栓用磁石探査治具の対応は可能となります。

今後について、現在量産準備を進めており、2024年夏ごろをめどに販売開始を目指しております。また、衣類乾燥機向けに電気二口コンセントアース付のラインナップも予定しております。

●東京ガスエンジニアリングソリューションズ―レーザーメタンスマートを紹介

○問い合わせ=都市エネルギーソリューション部横田、電話03―6452―8460

レーザー光を照射してガス漏れを検査できるレーザーメタンスマートを紹介します。当社は、レーザーを用いた遠隔式のメタン検知器を2001年に世界で初めて実用化しました。レーザー式ガス検知器の分野では常にトップランナーとして市場をけん引し、これまでに国内外の都市ガス市場の顧客に約6000台の導入実績があります。

レーザーメタンスマートは、離れた場所から瞬時にメタンを含むガスを検知することができます。天井や橋などの高所、天井裏など人が容易に立ち入れない場所のガス漏洩検査を迅速かつ容易に行うことができ、顧客の保安向上に貢献している製品です。従来機のレーザーメタンミニを改良し、より軽量化を図るとともに新たにデジタルカメラとディスプレイを搭載することで漏洩個所の画像と測定値、測定時刻をひとつの画像ファイルとして保存することができ、利便性を高めました。

レーザー式ガス検知器は、22年6月1日に日本ガス協会のガス工作物の技術指針に適切な漏えい検査方法の一つとして掲載されたことから、今後法定検査等で幅広い活用が見込まれます。また、国内外基準の防爆認証を取得、新たに年次点検サービスを導入するなど、より信頼性の高いガス検知器となっています。

さらに、レーザー式ガス検知器の特長を理解いただき、ガス漏洩検査を確実に効率的に実施いただけるよう、検知器の使い方を「レーザー式漏洩検査のコツ」としてまとめ、ユーザーさまにご提供してまいります。

ガス会社の高齢化や人手不足による保安業務のスマート化推進が経営課題となっている中、当社のレーザーメタンスマートをお使いいただくことで課題解決の一助になればと考えております。

さらにこのレーザー式の技術を応用し、産業用ボイラーなどを常時遠隔監視するものやドローンに搭載して上空からメタン検知を行うものも世界で最初に製品化してまいりました。国内外のエンドユーザーさまからの実際の使用感やご意見を製品にフィードバックすることで唯一無二の知見を日々積み重ねております。国際防爆認証取得をはじめとする各種認証や法規制をクリアした安心・安全なレーザー式漏洩検知機開発のパイオニアを自負しております。

●大東電材―PE管防護材Sタイプ

〇問い合わせ=新規事業部、電話0749―25―2665

西部ガス、三井化学産資、大東電材は、2005年に共同で開発したPE管(中圧B導管)防護材の強度と作業性を向上させたPE管防護材Sタイプを2019年に開発し、販売を行っています。同製品では、強化繊維や不織布とその構成を見直し、外部からの衝撃に対する防護性能を向上させました。これにより現場で防護材を複層化する作業が軽減され、工期短縮、コスト低減にも寄与します。

PE管は優れた耐震性を持つ一方で、鋼管や鋳鉄管と比べて耐衝撃性は低いとされています。特に中圧に用いるPE管はガス事業者以外の工事による損傷事故が起きた場合の影響が大きく、事故によるガス漏洩を防止するため、防護措置が必要となります。

今回紹介するPE管防護材Sタイプは従来品から強化繊維を二重にし、不織布の仕様を変更して強度を高めました。外部から力が加えられた場合、強化繊維は引っ張り合う力が強く、外力に対して反発する力を生み、さらに不織布の緩衝効果も合わさることでPE管の損傷を抑止します。

その結果、200Aと150Aは1層巻き、100Aは2層巻きとし、従来品よりも少ない巻き数で同等の防護性能を確保しました。

PE管防護材Sタイプは、1層(1周)巻でも施工業者に埋設位置であることを気付かせる標識シートとしての役割も果たします。従来の防護材は不織布と強化繊維を1層ずつ合わせたものであり、複数層巻きすることで上層の防護材が引っ掛かり移動し埋設管に気付くという効果も担っていました。

PE管防護材Sタイプは、強化繊維を二重にしてあるため、長手方向に両端部同士を固定することで、上層の強化繊維が自由に動く構成となっています。この構成により、1層(1周)巻きであっても上の層の強化繊維のみ引っ掛かり、たわみとともに強化繊維が移動し、埋設管に気付くという効果が期待できます。

製品ラインナップは口径に合わせて、200A用に幅770ミリメートル、150A用に幅600ミリメートル、100A用に幅500ミリメートルとしました。

また、不織布の下に滑り止め不織布を付け、狭所での施工性を向上させた継手部専用となる幅150ミリメートルの防護材も開発しました。

今回の強化繊維には耐候性能も付与し、一時的に露出する管の防護用としても使用可能としています。大東電材は、埋設されている中圧PE管だけでなく、屋外へ一時的に露出する管へも用途を拡げています。05年に初回導入したPE管防護材の販売開始から約20年経ちますが、全国のガス事業者で広く採用実績につながっています。

●東邦ガスネットワーク―ガス管のAI劣化予測による漏洩予測の精度向上で設備投資を効率化

〇問い合わせ=企画部計画グループ052―872―9287

東邦ガスネットワークは、総延長約3万キロメートルの導管により都市ガスを供給しており、導管の適切な維持管理と経年管更新を実施しています。年間約150キロメートルの経年管更新工事を実施する中で、劣化度合いの高い箇所を特定し更新することが重要となります。そこで、水道管の劣化予測システムを手掛けるフラクタ社の持つ人工知能(AI)/機械学習技術に当社が蓄積したガス導管の設備データや維持管理ノウハウを掛け合わせることで、世界初のガス導管の劣化予測・可視化を実現する手法を構築しました。

劣化予測には、ガス事業者がもつ管種や埋設年数などの配管データ・過去の漏洩データと、フラクタ社がもつ過去の地震データ、人口データ、地質データなどの環境データを用います。これらのデータを重ね合わせ、相関がありそうなパラメーターを機械学習により計算し、導管1本1本に対して今後の漏洩確率を算出することができます。

当社では、従来は経年モデル(埋設経過年が古い順に劣化度合いが高いと評価するモデル)をもとにガス管の更新を実施してきましたが、AI予測検証の結果、どの管種においても経年モデルと比較し漏洩発見の予測精度が高まることが分かりました。特にガス型ダクタイル鋳鉄管に対しては約3・0倍の予測精度となる結果が得られました。この結果から、AI劣化予測の活用により、より少ない対策数量で効率的に漏洩件数を抑制することができると言えます。

予測結果は、劣化度合いを5段階でランク付けし、図面上に色別で可視化することができます(図(2)参照)。当社の予測結果では、同じ年代・管種でも埋設エリア・周辺環境で異なる結果が参照でき、従来の経年モデルでは導けない対策優先順位付けをエビデンスとともに整理することができます。

今回構築したAI劣化予測システムはフラクタ社が販売中で、当社はガス業界への展開を推進しています。また、水道などでの活用実績からアルゴリズムは今なお進化しており、2023年にアルゴリズム改良を実施しております。これによりAI劣化予測精度のさらなる向上が見込まれています。

当社は、「AIによるガス管劣化予測」の他にも、3Dスキャン技術を活用した「導管データの3次元化(24年5月27日開発完了、提供開始)」や、「AIを活用した将来の空き家予測(24年5月29日開発完了)」など、デジタル技術の活用に力を入れています。ガス事業が共通して抱える課題の解決につながるデジタル技術の展開により、ガス業界全体の保安レベル向上と効率化を目指します。

●新和産業―低価格で高性能な地震計を全国のガス事業者へ

○問い合わせ=営業本部、電話06―6683―0701

新和産業は、地区ガバナー非防爆エリアやガス事業者の本社屋などへの設置を想定した地震計(スリーエス地震計SW―5033)を2023年8月から販売しています。同製品は、新和産業が持つさまざまなニーズ情報を基にセンサーメーカーのIMV(大阪市)が開発した製品で、従来のガス事業者向け地震計に比べ価格を大幅に下げており、地震計の追加設置や更新を計画するガス事業者に向けて提案を進めています。

スリーエス地震計は、従来品の地震計に比べてコンパクト化し、高さ90×幅70×奥行40ミリメートルのサイズを実現しており、設置場所を選びません。また、防水防塵構造を採用したことで、安心して屋外に設置することができます。さらに、耐衝撃性能を高めており、運搬時や設置時に万一落下させても破損の可能性を軽減できます。

電源にはDC12ボルトを使用し、地震発生時にSI値(カイン値)と加速度(ガル値)のデータを制御盤へ同時出力します。また、テレメーター経由で監視センターに送信する事でガス事業者はリアルタイムで、SI値(カイン値)と加速度(ガル値)を容易に確認でき、ブロックごとの遮断などの判断ができます。

IMVは、振動に関する技術を多数保有し振動計測に関しても50年以上の実績があります。この度、この技術を生かし新たに地震計用の振動センサーを開発しました。従来品よりも低コストのセンサーですが、既存製品に搭載されている3軸センサーと同等の性能を備えています。また、防爆性能を除き機能をシンプルにしたことで、製品全体の低コスト化を実現しています。

国のガス安全高度化計画では、地震対策の強化をガス事業者に求めています。ガス事業者に対して、地震の被害状況を的確に判断し、ガス漏えいによる二次被害が懸念されるエリアは迅速な供給停止を行うことが基本であるとしています。同時に、被害が軽微なエリアについては、供給を継続することが求められます。こうした対応をとるには、供給ブロックの細分化を進めて供給エリア内に地震計を設置し、即時に供給停止を行う体制が必要です。ただ、ガス事業者の中には、コストの高さなどから地震計設置をちゅうちょするところも多いのが実状です。

新和産業は、低コストで高性能の地震計として、製品をガス事業者に提案しており、単位ブロックごとに複数個の地震計設置を進めたい考えです。

●新コスモス電機―さらに機能を拡充した新しい「ガス警報器」「火災警報器」

〇問い合わせ=リビング営業本部電話06―6308―2310

当社が世界で初めて開発した家庭用ガス警報器は、ガス漏れをブザーで警報するタイプからスタートし、音声による警報、不完全燃焼による一酸化炭素(CO)検知、火災による熱や煙の感知など機能を向上させてきました。

発話機能でスマートな生活を実現するガス警報器「しゃべりお」

家庭用ガス警報器は、台所のガス漏れを検知することで安心・安全をお客さまにお届けする重要な役割を果たしています。近年当社では、熱中症になりやすい環境や空気が乾燥しインフルエンザ等にかかりやすい環境をお知らせする機能や、インターネットに接続してスマートフォンで警報器の鳴動状況などを確認できる機能を持つタイプなど、新たなサービスを付加した家庭用ガス警報器を開発してきました。

2023年2月に発売した「しゃべりお」は、ガス漏れなどを検知する従来の機能に加え、インターネットに接続し気象警報や天気予報などを発話する警報器です。またライフスタイルの多様化が進む中で、あらかじめ設定したタイミングで天気予報を発話したり、内蔵された人感センサーを用いて家族の帰宅をメールで通知したりと、スマートで豊かな生活を実現するさまざまなサービスを提供いたします。昨今防災意識が高まる中、住まいに役立つ情報を警報器がお知らせすることでより安心・安全をお届けします。

一酸化炭素(CO)検知で、火災をより早くお知らせ「PLUSCO(プラシオ)」

11年にすべての住宅で火災警報器の設置が義務化されて以降、住宅火災の死者数は微減傾向にあったもののここ数年は横ばいとなり、現在も年間1000人近くの方が命を落としています。消防白書によると、建物火災の死因の約4割が「一酸化炭素中毒・窒息」によるもので、火災における一酸化炭素検知は大変有効です。

22年9月に発売した「PLUSCO(プラシオ)」は、COを検知することで火災をより早くお知らせします。一酸化炭素100ppmを検知すると、LEDと音声で注意報をお知らせするとともに、煙センサーの感度を自動的に2倍に引き上げます。それにより煙センサーのみの火災警報器の約半分の煙濃度で、火災警報を発報します(CO反応式)。さらに、例年多くの被害者が出る熱中症を未然に防ぐため、室内の温湿度を検知して熱中症になりやすい環境になると音声でお知らせする機能を搭載しているタイプもあります。

●東京ガスネットワーク―(1)導管網解析ソフトFrontNet/Γの運用(2)10・16号超音波メーターの小型軽量化開発(NW3社共同)

〇問い合わせ=(1)技術革新部技術研究所、電話045―505―7308、(2)スマートメーター推進部スマートメーター技術グループ、電話045―505―7309

(1)導管網解析ソフトFrontNet/Γの運用

東京ガスネットワークでは管路系過渡流体解析ソフトウェアFrontNet/Γ(アドバンスソフト社製)を都市ガス導管網用にカスタマイズして運用を開始している。

導管網エリア内の大口ガス需要の急稼働・急停止時や、供給設備の不具合発生時、また、工事による不具合発生時には、一時的に圧力上昇や圧力降下(オーバーシュートおよびアンダーシュート)が起こるケースがある。都市ガスの安定供給に対する影響度合いや影響時間を調べるためには、導管内のガスの非定常現象を把握する必要があることからFrontNet/Γの導入に至った。

導入前には、実ガス管規模の試験配管に空気を流して模擬実験を行い、FrontNet/Γによる数値シミュレーション結果の比較を行った。その結果、0・1秒単位の急稼働・急停止に対して最高圧力および最低圧力でプラス・マイナス2%以内の解析精度であり、圧力変動の周期もよく一致したことから、ガスの過渡応答性を高精度で再現できることを確認した。

FrontNet/Γはアドバンスソフトが開発しており、ガスプラント設備などを対象に多数の解析・導入実績がある。FrontNet/Γがプラントエンジニアリング分野で広く普及しているプロセスシミュレーターと差別できる点として、密度変化および圧力波伝播、また、逆流を伴うような急激な過渡応答現象を高精度で解析可能であることが特長として挙げられる。また、自社開発製品であることから、自由にカスタマイズ可能であることが大きなメリットとなっている。

このように、FrontNet/Γは都市ガス導管網の過渡解析を基本性能としており、さらに都市ガス事業者のニーズに応じたカスタマイズにより、導管網に生じる種々の変化に対応する検討が可能となる。また、種々の事象に関して、モデル作成から解析実施までの案件受注も実施している。

例えば、ガス導管内でのバルブ急遮断・急開放やガス漏洩の計算、また、工事時のブロワーによるガス真空引きや、窒素によるガスパージなどの現象のほか、最近のトピックスとしては水素など従来の都市ガス成分以外のさまざまなガス組成を輸送する場合の圧力分布の把握や、これらの混合ガスの発熱量変化の把握があげられ、これら異種ガスの解析などにも適用できる。

(2)10・16号超音波メーターの小型軽量化開発

2018年から導入を開始した10・16号超音波メーターは、従来の膜式メーターの同号数と比較して小型・軽量の特徴を持ちます。スマートメーター化や環境配慮などの新たな市場ニーズに対応するため、近年の技術進歩を反映したさらなる改良を検討しました。

改良を行う前提として、構造の合理化と部品点数削減の観点から、小型超音波メーターで実績のあるユニット化された超音波計測部(計測ユニット)を用いることとしました。10・16号超音波メーターは、マイコンメーターに求められる内管漏洩の検出流量から最大16立方メートル/時の計量および合計流量遮断に至るまでの広い測定レンジで、高精度な計測が求められます。計測流路部が比較的短い計測ユニットを用いてこの要件を満たすことは困難でしたが、計測気体に乱れがなくかつ圧力損失が低減できる流路構造の最適化を実施し、課題を解決しました。

また現行の超音波メーターからさらなる小型、軽量化を目指して構造の検討を行い、メーター筐体部に使用するアルミ量を約20%削減することに成功しました。これらの構造の合理化および小型、軽量化は、メーター設置作業などの施工性の向上や製造コストの低減といった効果に加え、原材料調達からメーターのライフサイクル全体を通した温室効果ガスの削減効果も期待できます。

また、スマートメーターの需要が増加していることをふまえ、現行の超音波メーターと同様に本開発品も高速で多用途に利用できるUバス通信機能を搭載しています。スマートメーターとして使用することを前提に、Uバス通信機能を搭載した無線機をメーターに設置した場合でも無線機がメーターの外形に収まるよう外観、取付け構造を考慮し、スマートメーターシステムの一部として使用するのに相応しいデザインといたしました。

本開発はガスネットワーク3社、メーターメーカー1社、デバイスメーカー1社の共同開発として実施しており、23年度よりフィールドテストを開始し、24年度中の開発完了を予定しています。

●ハネロン―アナログ信号とデジタル接点信号を無線で送信する「リモートIO」を発売

〇問い合わせ=営業部、電話072―948―1117、eメール:electric_sales@haneron.co.jp

ハネロンは、遠隔監視や遠隔計測用に無線でデータ通信するデバイスを開発し、対象物の入力インターフェイスに合わせてさまざまな商品ラインナップを取りそろえています。これまでには計測数の多いデバイスや制御盤を開発してきましたが、今秋発売を予定している「リモートIO」は入力ポートを2チャンネルに限定したコンパクトかつ安価な製品となっています。

この入力2チャンネルはアナログ入力にもデジタル接点入力のいずれにも対応できるようになっており、利用の用途に合わせて選択いただけます。

遠隔監視向けの製品には大規模向けのものが多く、小規模を希望されるユーザーには導入期間やコスト面で期待に応えるのが困難でしたが、それを解決するのが「リモートIO」です。データ通信にはwi―FiもしくはLTE(4G)のいずれかを利用することができます。LTEの場合、NTTドコモ回線を利用するため、圏外エリアを除く日本全国での広域データ通信が可能です。

■運用

運用に際しても簡便さを追求しました。「リモートIO」はユーザーサイドで通信ネットワークを含むシステムを構築することもできますが、当社が運営するネットワーク利用サービス(LTE通信サービス「MOS―B」)付きでの提供も可能です。MOS―B利用の場合、申し込みから最短1週間程度で実運用することができ、お手持ちのスマートホンなどでデータを受信することが可能です。

■主な機能

アナログ入力は4―20ミリアンペアまたは0―5ボルトの入力を任意に指定したタイミングでサンプリングし値を送信します。また、上限値と下限値を設定することで警報通報にも利用できます。デジタル接点入力は無電圧接点の状態を検知し、ONもしくはOFFのデータを送信します。チャタリングやノイズによる誤報を防止するためにディレイタイマーも設けています。入力以外の通報としては停電および停電復旧を検知する機能や、指定された間隔で定期的に入力状態を送信する定期通報機能があります。

■利用シーン

ハネロンではこれまでも電気信号をデータ通信させるデバイスを開発してきました。工場や施設、設備や機器など測定値や警報の取得が必要なシーンで利用されており、ガス事業者さまにも導入いただいています。「リモートIO」は小規模な遠隔監視システムとして「簡単・安価・迅速」をキーワードとして本年10月にリリースする予定です。

●トキコシステムソリューションズ―高精度で広い流量レンジに対応、超音波ガスメーター「S2ソニック」

〇問い合わせ=インフラ・エンジニアリング営業部部長松岡研、電話050―3852―5428

超音波ガスメーター「2Sソニック」は、東京ガス、ソニックと共同開発した製品です。当社が創業以来培った各種ガス等の「流体」を計測・制御する技術をさらに磨き上げ、業界の発展に寄与する製品開発を継続してまいります。

ガスメーターに対するメンテナンスフリーや故障発生率低減のニーズを受け、可動部がなく広い流量レンジで高い信頼性をもつ超音波ガスメーターを開発、2011年4月から実用化しました。中圧領域(0・04~1メガパスカル)で使用可能です。

(1)高精度で広い流量レンジに対応

広い計測範囲(流量レンジ1:40、ローカット流量200分の1)で高精度な計測が可能です。矩形管路により上流配管等の流速の影響を受けにくくなっています。

(2)流速変化に即応

一対の金属製センサーが発信と受信を交互に繰り返す時に、超音波の時間差が流速に応じて変化する超音波方式を採用しました。高頻度の送受信で急激な流速変化にも即応します。

(3)ダスト・ミストや逆流に強い

ガス配管中のダストやミストなどの影響をほとんど受けません。使用状況によりガスが逆流した場合でも、正流・逆流を判別して、流量計のカウントアップを防止します。

(4)表示部一体化構造(負荷機能)と通信機能

指針、アラーム表示部とデマンド表示部を一体構造化しているため、大口取引契約のための負荷記録計の追加設置等が不要です。専用通信ユニットとの接続により、センターからの遠隔監視や、自動検針への対応が可能です(専用機能のため、対応できない場合があります)。

●藤井合金製作所―シンプルでスタイリッシュなデザインを実現新型屋外用ガスコンセント

〇問い合わせ=本社営業所、電話075―682―1250

ガス栓メーカーである藤井合金製作所(本社・京都府京都市)はこのたび「デザイン性」と「機能性」を向上させた新型屋外用ガスコンセントを開発しました。

屋外用ガスコンセントはガス衣類乾燥機やバーベキューコンロなどを屋外で利用したいというお客さまの要望にお応えするために、ベランダ・テラス等の屋外に設置が可能なガスコンセントとして1991年に初代モデルを開発しました。以来30年以上にわたり全国のガス事業者さまに永らくご愛顧いただいておりました。その一方で、時代とともに目まぐるしく変化するガス機器需要や住宅事情への対応が課題となっていました。

新製品はさらに多くのお客さまにご提案できる製品を目指して、ケースのデザインを抜本的に見直し、さまざまな建築デザインにマッチするシンプルでスタイリッシュな形状を実現しました。ケースカラーも従来から刷新して、清潔感とナチュラルを意識した、明るい灰色の「スカイグレー」となっています。また、壁面に設置した状態での奥行き寸法が47・5ミリメートル(従来品は52ミリメートル)となっており、壁面からの飛び出しを最小限にしています。さらに、従来品はケースの外側に露出していたガスコンセント本体を壁面に固定するためのねじ穴を、開発品ではケース外側から見えなくすることにより、住宅の壁の外観を損なわないデザインとなっています。

新製品は従来品の機能的特徴である、ケースが着脱に支障がない範囲で自然に閉まる構造であることや変色に強い材料を使用していることを継承しています。ガスコンセントに接続された迅速継手がケースに覆われ直接露出しない構造となっており、これにより継手部分にちり、ほこりなどの異物の付着を防ぎ、雨風が直接かからない仕様を実現しました。また、ケースに水はけ用の排水構を備えることで、本体内部への水の侵入を防ぐ構造となっております。

近年のガス衣類乾燥機の人気の高まりもあり、屋外用ガスコンセントが注目されています。今回のデザイン性・機能性の向上により、お客さまにより快適、より安心にご使用いただける新たな製品として、新型屋外用ガスコンセントをご提案いたします。

●ニシヤマ―スパイラルバネワイヤーを用いたガス遮断工法

〇問い合わせ=大阪支店エネルギーグループ、電話06―6350―6812、eメール:o-ene@nishiyama.co.jp

ニシヤマは1916年に創業し、エネルギーからプラント、輸送、機械設備、情報通信、半導体、インターネット商取引などの分野で、「技術開発型」商社として活躍しています。特に、ガス・エネルギー分野では、創業当時から導管材料に深く携わってきました。

当社は、こうした市場変化にも企業理念である「お客さまの最適をお届けします」をもとに柔軟な対応と新しい価値をお届けする活動を進めています。当社の取り組みの一例を紹介させていただきます。

小口径配管への挿通技術

従来の管内カメラでは小口径(25A、32A)かつ複数の継手がある配管では挿通が困難でした。

そこで、大手ガス事業者との共同開発によりメーターガス栓から挿入し本支管取り出し部まで挿通できるスパイラルバネワイヤー(SSW)を開発しました。

SSWは単体で、20メートル延長の小口径配管に対して最大8曲がりまで挿通が可能です。

SSWの構造に、角バネを採用することで推進力の伝達が可能です。この挿通技術を拡張し、ガス供給の保安向上につながる開発をしました。

効率的なガス遮断を実現

SSWの先端部に各種バッグを搭載することで遮断工法を確立しました(SSW:最長12メートル)。

(1)高気密バッグを搭載(適用配管:25A・32A、適用圧力:低圧、サイズ:外径12×長さ88ミリメートル)。

掘削することなく漏洩位置調査が可能で、主な用途は、マンション共用部やライザー部。

(2)パラソルバッグを搭載(適用配管:25A・32A、適用圧力:低圧、サイズ:外径12×長さ114ミリメートル)。ノーブローによるメーター立管の交換が可能です。

本技術の本格導入に向けて大阪ガスネットワークと検討を進めています。また、その他ガス事業者へはモデル配管でのデモや現場での実演を計画しています。

●ヤンマーエネルギーシステム―省エネ制御サービスをYESパートナーで展開

〇問い合わせ=ホームページhttps://www.yanmar.com/jp/energy/ghp/

ヤンマーエネルギーシステム(本社・兵庫県尼崎市)は、カーボンニュートラル社会実現のための2030年度に温室効果ガス(CO2)46%(13年度比)削減に向けて、GHPが省エネに貢献できるように、GHPのさらなる省エネ制御サービスを今後、遠隔付保守物件(YESパートナー)で展開していきます。

現状のYESパートナーは遠隔監視RESS(RemoteEnergySupportSystem)でGHPの運転状態を常時監視し、定期点検時期および異常時のアラーム情報を把握します。定期点検時に消耗部品を交換するのに加え遠隔アラームを受けて故障・修理対応を迅速に行います。オプションとしては冷媒漏えい点検などメンテナンスに特化したメニューに限られていました。

この度新たに、遠隔監視RESSに通常時の運転より省エネを実現できる遠隔制御機能を搭載しました。サービス名称はAECプラス(AirconditionerEnergyControlsystem)です。対象となる室外機は標準機(ビル用マルチ)Lシリーズの16~30馬力です。YESパートナーがサービスツールから省エネツールに進化したことで、お客さまへGHPランニングコスト試算提案(年間5~10%の省エネ効果期待)がしやすくなります。当社LシリーズGHPへの更新提案時にセットでご検討をよろしくお願いします。

制御内容は冷房時の蒸発温度制御、シンクロ制御、ピークカット制御と暖房時の凝縮温度制御です。ここでは主となる制御の冷房時蒸発温度制御を簡潔にご説明します。

蒸発温度制御とは冷媒の蒸発圧力(温度)を上げることで、圧縮機の冷媒圧縮に必要なエネルギーを抑える運転です。

蒸発行程で図1のように圧力(温度)が上昇すると圧縮工程での圧縮機の仕事量は削減しますので、圧縮機とベルトでつながったエンジン回転数も低下することでガス消費量が減り省エネとなります。

AECプラスでは許容温湿度、必要能力、空調空間条件そして調温許容時間等の設置条件を考慮し最適制御を実現します。GHPメーカーならではの制御技術により、室内環境の快適性を維持したまま省エネを実現できるように制御を行います。

また、AECプラスの発展形として、ヤンマーエネルギーマネジメントシステム(Y―EMS)を用いたより高度な省エネ制御サービスを開発しております。Y―EMSを用いる場合、設置場所の温湿度計測など運転状況に応じた高度な最適化制御により、省エネ率20%が期待できます。

モニターなどの実績評価後市場リリース予定です。ヤンマーエネルギーシステムはGHPの省エネを追求してまいりますのでご期待ください。

●矢崎エナジーシステム―有効期限10年、住宅用火災CO警報器「YK―210B」

〇問い合わせ=ガス機器事業部企画部事業推進チーム、電話053―925―4511

消防法の改訂により住宅用火災警報器の設置が義務化されてから10年以上が経過しています。しかし住宅火災死者数は依然として横ばいの傾向が続いており、また建物火災の死者のうち、約4割が一酸化炭素(CO)中毒・窒息により亡くなっているのが現状です。

当社は従来有効期限が5年であった住宅用火災CO警報器を新たに10年品として開発し、商品化いたしました。一般的な火災警報器の煙と熱による火災警報だけでなく、火災の早期検知とCO中毒の未然防止が可能なCO警報を兼ね備えた本製品が一般住宅用火災警報器と同様に電池寿命10年の製品として普及することで、社会の安全性に大きく貢献することができる製品となっております。

本製品の特長は10年の耐久性を有するCOセンサーの搭載です。これまでCOセンサーを用いた警報器では業務用厨房で使用する製品の有効期限6年が最長でしたが、製造条件の最適化や信頼性評価の実施により、居室空間においては従来製品と比べ5年も長い、有効期限を10年化した製品を実現しました。このCOセンサーの耐久性については、温度加速試験による寿命評価や10年以上の経時評価を実施し、住宅用火災CO警報器の仕様として10年実用化が十分可能であることを確認しています。

また住宅火災の主な原因の一つとされる寝たばこを想定した、布団とたばこのくん焼火災再現実験においては、壁面設置した本製品のCO警報が煙警報と比較して早いタイミングで警報することを確認しました。

さらに本製品は、検知した煙濃度とCO濃度の推移から、火災・非火災を判定するアルゴリズムにより、火災と判定した場合は煙警報濃度を下げ火災を早期検知し、非火災と判定した場合は警報を遅延させる機能を搭載しています。この機能により煙・CO警報器による火災の早期検知・誤作動警報の低減を実現しました。

また本製品は日本ガス機器検査協会(JIA)により新たに制定された「住宅用火災CO警報器検査規程」の技術基準を満たす製品として認証されています。

設置後10年を迎えている住宅用火災警報器の期限交換用として、火災・CO両方の保安対策が可能な本製品を製造販売することにより、社会全体へさらなる安心・安全な暮らしをご提供いたします。

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