GENIX-CN70

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6月21日終値

21日東証 GENIX-CN70は2週間ぶりに反落。総じて利益確定売りに押される中、指数構成銘柄の三菱重工、デンヨーが高値を更新。1対4の株式分割を行うと発表した岩谷産業も根強く物色された。
市況情報

 14日東証 GENIX-CN70は前週末比0.94ポイント高の192.96と2週間ぶりに反発した。指数構成銘柄ではK&Oエナジーグループ、三菱重工業、伊藤忠が上場来高値を更新したほか、岩谷産業、関西電力、東邦ガスなど大手電力・ガス株も根強く物色された。

 K&Oエナジーの株価は今年大きく値上がりし、11日の上場来高値4230円は昨年末終値2041円から2倍を超える上昇になっている。同社は千葉県で天然ガス・ヨウ素を産出しており、ヨウ素が次世代太陽光(ペレブスカイト太陽電池)の材料となることから注目を浴びているようだ。

 経済産業省が5月29日、第1回「次世代型太陽電池の導入拡大及び産業競争力強化に向けた官民協議会」を開催したことも手掛かり材料になっている。同協議会では日本が先行するペレブスカイト太陽電池の普及促進を目指している。日本のヨウ素生産量は世界第2位であり、エネルギー安全保障の観点からも期待が大きい。また、今週は米国でスタートアップがペレブスカイト太陽電池の工場を新設するとの報道も関心を集めたようだ。さらに、同業の伊勢化学工業の株価が昨年末の8590円から、本日の最高値40500円まで実に4.7倍となる大相場を演じていることも刺激になっている。

(2024年6月14日配信)

【過去解説記事】

 米国で天然ガス先物価格(ヘンリーハブ=HH)が上昇している。6月11日の期近終値は百万BTU(英国熱量単位)当たり3.129ドルと、今年1月12日の3.313ドル以来、5カ月ぶりに3ドル大台に乗せた。2~3月には1.5ドル台の安値を付けていた。また1年前のこの時期は2ドル台半ばで推移していた。

 最近の市況動向についてJOGMEC調査部白川裕調査役は、「市況低迷時に掘削井が絞られた影響で、ガス生産量がジワリ減少している。そこに米国南部を中心とした記録的な猛暑による発電用ガス需要増が加わった」と指摘する。また、当面の値動きについては、「ガス発電用の需要は既に限界に達しているため、先物価格がこの先もさらに大きく値上がりする展開は想定しにくい」としている。

(2024年6月13日配信)

 6月7日東証 この週の東証株価は高値圏で伸び悩み、7日の東証株価指数(TOPIX)終値は前週末比0.6%値下がりした。GENIX-CN70も上値が重く2週間ぶりに反落し、前週末比1.9%の下落となった。

 GENIX-CN70構成銘柄の足取りは総じて重いが、その中で異彩を放つ逆行高を演じたのがデンヨーだ。同社は量産型燃料電池式可搬形発電装置を開発するなど水素関連ビジネスを手掛けている。

 同社株価は2020年9月と同年11月に付けた2600円台の高値を一気に払い、2700円台半ばに到達した。約1カ月間で株価は2割を超える上昇となったが、業績は好調で株価指標面に割高感は乏しいと見られる。「チャート上の節目を突破してきたことで、目先妙味が膨らんでいる。また同社は可搬型、非常用発電機を手掛けており、梅雨入りを前に防災関連の切り口にも関心が向いている」(市場関係者)。日本ではゲリラ豪雨が頻発化しているが、同社が強みとする北米ではこの時期ハリケーンの多発が警戒されている。シーズン性を発揮する場面も期待されているようだ。

(2024年6月7日配信)

 中東産LPGの日本向け長期契約価格(サウジCP)6月分は、プロパンが1トン当たり580ドルと前月分と同値だった。ブタンは前月比20ドル値下がり(下落率3・42%)して565ドルとなった。ブタンは3カ月連続で下落した。

 先週の米国プロパンスポット市況(MB)はトン当たり400ドル前後で推移。原油先物市況(WTI)は足元の堅調な在庫状況や長期金利の高止まりなどを受けて、1バレル70ドル台後半では上値が重くなっている。

(2024年6月3日配信)

 5月31日東証 GENIX-CN70は3週間ぶりに最高値を更新した。次世代太陽光発電(ペレブスカイト)関連として注目されるK&Oエネジーが一時未踏の4000円台に乗せたほか、栗本鉄工は18年ぶりの5000円台、川崎重工は9年ぶりの6000円台、ENEOSは6年ぶりの800円台となるなど大台替わりが相次いだ。北海道電力、九州電力などの電力株や、商社、海運株なども根強く物色されている。

 三浦工業が急伸し、およそ3カ月ぶりに本年高値を更新した。同社は5月30日、ダイキンと業務資本提携すると発表。工場向けに空調や蒸気ボイラ、水処理システムなど熱・空気・水に関するトータルソリューションをワンストップで提案する。それぞれの強みを生かして工場のカーボンニュートラル化のニーズに応える。三浦工業は国内の工場に、ダイキンは海外に強固なネットワークを有しており、市場はメリットを発揮しやすい組み合わせと受け止めているようだ。また、ダイキンは三浦工業の発行済み株式4.67%を三浦工業の自社株から購入する。三浦工業はその売却代金でダイキン子会社の株式49%を取得する。株式価値の希薄化や当面の株式需給悪化を招かない資本提携スキームも好感されたようだ。関連記事(https://www.gas-enenews.co.jp/gijutsu-shinseihin-hoan/40495/

(2024年5月31日)

 米国の天然ガス市況が上昇している。ヘンリーハブ(HH)先物期近価格は5月23日、百万BTU(英国熱量単位)当たり一時2.9ドル台に上昇した。3ドルは今年1月以来となる高値水準。「米国ガス市況は2~3月に1ドル台半ばまで大きく下げた経緯があり、その際に生産リグの稼働台数が削減された。その影響がここにきて出始めている」(JOGMEC調査部白川裕調査役)という。また、米国南部を中心にこの夏の気温が高めになるとの予報や、米フリーポートLNG輸出プロジェクトが本格生産に復帰したことなども材料視されているという。

(2024年5月24日配信)

 5月17日 GENIX-CN70は前週末比2.35ポイント安の192.12と4週ぶりに下落した。総じて利益確定売りに押される展開となったが、その中で13日に決算を発表した岩谷産業、14日に決算・大規模な自社株買いを発表したENEOSの株価が急伸した。どちらも一時本年高値を更新するなど人気付いた。

 岩谷産業の決算について市場関係者は、「前期実績も今期予想も2桁増益の好決算。ただ今期の配当金予想額が据え置かれたため、株価は急伸後伸び悩んだが、持分法対象のコスモエネルギーの寄与分も見込め、今後増配期待から見直される可能性がある」とする。

 ENEOSの自社株買いは上限が発行済み株式総数の2割強におよぶ大規模なもので、市場にサプライズを与えた。「経営陣の資本効率・株主還元への意識の高さを感じる内容。大型投資がなく、JX金属がIPOに向けて資産売却を進める中、財務体質が良好になっていることが背景にある」(大手証券アナリスト)と見ている。

(2024年5月17日)

 GENIX-CN70は10日、前週末比2.33ポイント高い194.47ポイントと3週連続で値上がりし、前週に続いて過去最高値を更新した。

 指数構成銘柄では大阪ガス、北海道ガスなどが過去20年来の高値を更新。大阪ガスは8日発表の自社株買いが好感されている。「3月発表の中期計画で株主資本配当率に基づく増配方針が打ち出されたばかりの株主還元策で、サプライズとして受け止められた」(アナリスト)。北海道ガスは4月30日発表の株式分割(1対5)や今期実質増配を手掛かりに人気化している。PBRは0.8倍台に上昇し、課題の1倍割れ解消が現実味を帯びてきた。

 岩谷産業も急伸し、4月に付けた最高値9311円を射程に捉えてきた。同社の3月期決算は5月13日午後2時半に発表予定だが、同社がさきごろ筆頭株主となったコスモエネルギーホールディングスが昨日決算発表を行い、堅調な業績と自社株買い、年間300円配当を維持する方針が明らかになった。コスモエネの株価は本日、一気に高値を更新、岩谷産業の株価支援材料になっている。

(2024年5月10日配信)

  中東産LPG日本向け長期契約価格(サウジCP)5月分は、プロパンが1㌧当たり580ドルと前月比35ドル下落した(下落率5・69%)。値下がりは4月分に続いて2カ月連続。

  ブタンは前月比35ドル値下がりして(下落率5・65%)1トン当たり585ドルとなった。ブタンも2カ月連続で下落した。

(2024年4月26日配信)

 中国税関が18日に発表した3月のLNG輸入量は前年同月比24・1%増の665万㌧となり、3月としては2021年の564万㌧を上回り3年ぶりに過去最高を更新した。1~3月の累計輸入量は同20・4%増の1985万㌧と、年間輸入量が過去最高だった21年同期を0・8%上回った。

 今年第1四半期の国内総生産は5・5%増と昨年第4四半期の5・2%増を上回った。輸出産業を中心に二酸化炭素排出削減のためのガスシフトも進んでいる。同期間のLNGスポット市況が前年同期を4割下回るなど割高感が薄れたことも需要喚起につながったようだ。今後の見通しについてエネルギー・金属鉱物資源機構調査部竹原美佳部長は、「国際市況はこのところ上昇に転じており、LNGスポット調達は目先一服しそうだが、地方政府のガス火力建設推進や船舶燃料のグリーン転換などもありガス需要そのものは高まる方向」としている。

(2024年4月18日配信)

 東証4月12日 東京ガスの株価が一時前日比54円高の3899円と前日に続いて上場来高値を更新した。同社株は今週に入って騰勢を強め、年初からの株価上昇率は20%に達した。3月中旬、大阪ガスの時価総額が一時、東京ガスを逆転したが、東京ガスが再び首位に立ちリードを広げている。4月19日に全国知事会が東京ガス横浜ステーションを視察し、e‐メタン製造実証の説明を受ける予定となっている。カーボンニュートラルに向けた同社の技術力に注目が集まりそうだ。株価上昇により、株価純資産倍率(PBR)は0.94倍へと上昇。1倍乗せが視野に入ってきた。

 都市ガス株では、北海道ガスの株価も上昇基調にあり、この日も前日マークした上場来高値2960円まで一時買い進まれる場面があった。年初からの上昇率は34%に達するが、同社株のPBRはいまだ0.7倍台にとどまり、依然割安感が漂う。北海道では半導体工場の新設で電力消費の大幅な伸びが予想され、北海道電力の株価もこのところ大幅に上昇している。

(2024年4月12日配信)

 4月3日 米原油先物(WTI)は前日比28セント高の85.43ドルと3日続伸、本年の高値を更新した。ウクライナによるロシア主要製油所への無人機攻撃や、イラン大統領によるイスラエルへの報復表明など地政学的リスクの高まりが背景にある。また週間統計で米国原油在庫が前年同期比18.5%減と減少が目立ったことも材料視されている。

 注目されたOPECプラス合同閣僚監視委員会は、生産目標維持を決定。また、米連邦準備理事会パウエル議長は講演で利下げを急がない姿勢を示したとされる。三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部・芥田知至主任研究員は、「中東、ウクライナ情勢は今後一段と動向が注視される。また、米金融政策、中国当局による経済運営、産油国の生産方針なども引き続き注目される。ただ、米中の景気は石油需要を上振れさせるほどには強くないとみられ、相場の上昇傾向を決定づける材料は出にくいと思われる。相場は再び一進一退の推移となりやすい」と指摘。もっとも、今年後半にかけて米利下げを受けてドル安が進む展開となれば、ドル建ての原油価格には割安感が生じ上昇圧力がかかりやすくなるとし、今年度は1バレル95ドル程度の上値が見込めるとしている。

(2024年4月4日配信)

 GENIX-CN70は年度内最終売買日となった3月29日、前週末比0.55ポイント上昇し189.41と、2週続けて最高値を更新した。3月末割り当てで1対10の大幅な株式分割を実施した三菱重工業は権利落ち後も堅調で、修正株価は連日の最高値となった。GENIX-CN70構成銘柄では他に理研計器が1対2、川崎汽船が1対3の株式分割を3月末割り当てで実施した。

 岩谷産業の株価が3連騰で、連日の上場来高値更新。3月28日にコスモエネHD株式を追加取得し、持ち分法適用会社にしたと発表したことが材料視されている。コスモエネの今期純利益予想は780億円、岩谷産業は335億円。持ち分比率2割相当の利益が来期以降、上乗せされるインパクトの大きさが期待されているようだ。また、会社側は本件株式取得に要する資金を借り入れで賄うとしており、「増資による一株当たり利益の希薄化が回避される見通しになったことも好感されている」(国内証券調査部)という。

(2024年3月29日配信)

 米国3月26日、米パイプラインガス(ヘンリーハブ=HH)先物価格が終値で5日続落し、百万BTU(英国熱量単位)当たり1.575ドルに下落。2月20日に付けた本年安値1.576ドルを1カ月ぶりに割り込んだ。ザラ場安値は1.4㌦台まであった。

 米エネルギー情報局(EIA)が3月21日に発表した週間データによると、米国の地下ガス在庫量は3月15日時点で前年比21%増、過去5年間の平均値に対しては41%上回っている。エネルギー・金属鉱物資源機構・白川裕調査役は、「気温が上がり需要が低下して、在庫がさらに積み上がったことと、生産がすぐには低下しないことが主要因」と指摘する。こうした在庫の荷余り感が先物市況の上値を重くしているようだ。

 HH先物価格の過去15年間の値動きを振り返ると、期近先物価格が1ドル台まで下落した年は2012年、16年、20年の3回あり、当該年の安値形成月はそれぞれ、4月(1.9ドル)、3月(1.6ドル)、6月(1.4ドル)となっている。春に安値を付ける習性と、この間の価格水準が切り下がる傾向が見て取れる。

(2024年3月27日配信)

 3月22日、ガスエネ株価指数カーボンニュートラル70(GENIX‐CN70)は2週間ぶりに過去最高値を更新した。GENIX‐CN70構成銘柄はほぼ全面高となり、K&Oエナジー、三菱重工、岩谷産業、大阪ガスなどが最高値を更新した。

 なお、三菱重工(1株→10株)、理研計器(1株→2株)、川崎汽船(1株→3株)は3月28日付で株式分割の権利を落とす。株式分割のメリットとしては、単位投資額の引き下げによる投資家層のすそ野拡大、流動性の向上などが指摘される。昨年以降で、株式分割を実施したリンナイ、NTT、三菱商事、京セラは、権利落ち後も堅調な値動きを保っている。

(2024年3月22日配信)

 3月15日 ENEOSHD(GENIX―CN70構成銘柄)の株価が朝方から買い進まれ、5年3カ月ぶりに700円台に乗せてきた。他にもINPEXや石油資源開発、コスモエネルギーHDなどの石油関連株、資源高が利益に結び付く商社株も軒並み値上がりしている。コスモエネルギーは国内大手証券が投資格付けを引き上げたことも好感され、株価は上場来高値を更新した。

 株式市場は、米原油先物(WTI)が14日、期近4月渡し終値で1バレル81.26ドルと続伸し、昨年11月6日の80.82ドル以来の80ドル台乗せとなったことを材料視しているようだ。国際エネルギー機関(IEA)が同日公表した市場レポートでは、今年の石油需給は供給不足になるとの予測が示されている。産油国の自主減産延長による供給減や、紅海におけるタンカー襲撃で海上輸送距離が延びておりバンカー燃料の需要増加を織り込んだという。もっとも原油市況は過去1年余りにわたって、おおむね70ドルから80ドルのレンジで推移しており、80ドル台では上値の重さも意識されそうだ。

(2024年3月15日配信)

 3月8日 大阪ガス(GENIX CN‐70構成銘柄)の株価が前日比153円高の3350円で寄り付き、直後に230円高の3427円まで上昇。1月11日に付けた上場来高値3242円を一気に更新した。同社は7日、3カ年中期経営計画を策定し、配当を原則減配せず維持または増配する累進配当制度を導入すると発表し、好感された。

 2024年3月期の配当金は前期比12円50銭増配して72円50銭(従来予想65円)に、25年3月期は95円を目指す方針も示した。株主資本配当率を3%とする方針を掲げ、機動的な自己株取得も検討するとした。この他、自己資本利益率(ROE)の目標は26年度に8%程度、投下資本利益率(ROIC)は5%程度を目指す。「株価を意識した経営姿勢に変化していると株式市場が受け止めており、都市ガス株の中でも相対的な値上がりが目立ってきている」(中堅証券)という。この日前場終値での時価総額は、大阪ガスが1.43兆円、東京ガスは1.41兆円となり、大阪ガスが東京ガスを逆転した。

(2024年3月8日配信)

 2月22日 東証では朝方から買いが先行し、日経平均株価は大幅に反発した。終値は初の3万9000円台で、1989年12月以来の史上最高値更新となった。注目された米エヌビディアの決算が市場関係者の事前予想を上回り、3連休控えにもかかわらず、マーケットのセンチメントは強気に傾いた。半導体関連株をリード役に、主力株を中心に幅広く買い進まれた。

 GENIX‐CN70構成銘柄も軒並み上伸した。三菱重工業が上場来高値を更新し、日本酸素HD、川崎汽船は最高値をうかがう動き。原油市況の上昇を背景に石油資源開発など石油関連株も値上がりした。

(2024年2月22日配信)

 米国パイプラインガス市場価格(ヘンリーハブ先物)が2月15日、8日連続安となり、百万BTU(英国熱量単位)当たり1.5㌦台まで下落、2020年6月以来の安値水準となった。在庫の積み上がりが背景にあるという。

 エネルギー・金属鉱物資源機構の白川裕調査役は「原油市況が1バレル80㌦弱と堅調なことから、パーミアン盆地を中心にシェールオイルの生産が盛んで、随伴ガスの生産量も増えている。気温が高めに推移していることもあり、地下在庫は過去5年間の最高水準に到達している」と指摘。

 先物市場の中心商いが春の需要閑散期に移りつつあることから、市況は当面弱含みで推移しそうだ。
(2024年2月16日配信)

2月12日 米国で天然ガス市場価格(ヘンリーハブ先物価格=HH)が5日続落し、期近終値は百万BTU(英国熱量単位)当たり1.768ドルに下落した。1.7ドル台は2020年7月以来の安値となる。市中在庫が高水準にあり、市場のセンチメントを圧迫している。

HHは昨年11月以降、3ドルを割り込むなど市況の低迷が続いているが、生産量が落ち込む兆しはいまだ見えないという。エネルギー・金属鉱物資源機構の白川裕調査役は「原油市況が1バレル80ドル弱と堅調に推移していることから、オイルリッチなパーミアン盆地を中心に油狙いの生産が盛んになっている。このため副産物であるガスの生産も増加している」と指摘する。

(2024年2月13日配信)

米国市場でガス市場価格(ヘンリーハブ先物価格)が続落している。7日に心理的な下値めどと見られていた百万BTU(英国熱量単位)当たり2ドルを割り込むと、8日終値は一段安となり1.917ドルまで下落した。およそ3年5カ月ぶりの安値水準となる。

市況下落の背景には、マーケットの荷余り感があるようだ。「このところの気温上昇で暖房用需要が低下しており、地下在庫量は過去5年間の上限レベルに到達している。当面は上値の重い展開が続きそうだ」(エネルギー・金属鉱物資源機構・白川裕調査役)。

ヘンリーハブ価格の下落に伴い、米国産LNGの輸出価格も低下しており、現状は世界の主要輸出国の中でも最も安価な水準となっている。

(2024年2月9日配信)

2月6日 東証後場 三菱重工業の株価が昨日の1万円初登頂に続いて一段高となった。この日午後、同社は3月末割り当てで株式1株を10株に分割すると発表。合わせて発表された今2024年3月期第3四半期連結決算は、売上高が前年同期比11%増、純利益は同倍増となるなど好調ぶりが明らかになった。通期の受注見通しを6兆円とし、従来予想に4000億円上積みした。これら大幅な株式分割と好調な業績動向が素直に好感され、買いが買いを呼ぶ好循環となっている。

同社株は1年前の2月には5000円前後で推移しており、そこから株価水準はちょうど2倍になっている。

(2024年2月6日配信)

1月31日 サウジアラムコがこのほど日本のLPガス輸入事業者に通知したプロパン2月分出荷価格(サウジ2月CP)は、前月比10ドル値上がりして630ドルとなった。値上がりは昨年8月分(470ドル)以降、12月分の変わらずを挟んで8カ月連続。

LPガス市況に影響する原油市況が、12月初旬を底に水準を切り上げているほか、世界最大のLPガス輸出国である米国において、プロパン在庫の取り崩しが進み、市況が上昇したことが背景にある。米国ではLPガスの一大輸出地域であるメキシコ湾で濃霧が観測されており、輸出作業への影響も警戒されたという。サウジCP2月ブタンも、前月比10ドル値上がりして640ドルとなった。

(2024年2月1日配信)

1月26日GENIX-CN70は前週比0.64ポイント値上がりして169.36ポイントとなった。7週間連続の上昇で、3週続けて統計開始来の最高値を更新した。一方、東証株式市場全体としては、このところの上げピッチの速さから利食いが広がり、東証株価指数(TOPIX)は7週ぶりに値下がりした。

GENIX-CN70の構成銘柄で値上がりが目立ったのは、25日に2023年12月期決算を発表したHIOKI。24年12月期も増収増益を見込み、配当金を年200円に連続増配する方針が好感されたようだ。

このほか、三菱重工業、三菱化工機が高値圏で頑強な値動き。SMBC日興証券が目標株価を引き上げたウエストホールディングスも下値を切り上げている。

(2024年1月26日配信)

 欧州パイプラインガス先物価格が17日、百万BTU(英国熱量単位)当たり8ドル台まで下落し、昨年8月以来の安値水準となった。北東アジアLNGスポット価格も続落しており、17日は昨年6月以来の9ドル台を付けている。先物の決済期日が2月から3月に移り冬場の需要期を過ぎることで、足取りが弱くなっている。昨年の安値は欧州ガス先物価格が7ドル台、スポットLNGは8ドル台だった。

 当面の市況動向についてエネルギー・金属鉱物資源機構の白川裕調査役は、「カタールから欧州にLNGが年間1500万トン供給されており、スエズ運河の通航リスクが警戒されているものの、それでも欧州の在庫水準が依然として高いため、中東からの輸送に支障が生じても当面の供給は何とかなると見られている。昨年10月から輸出を再開したエジプトLNGもまだ量は少ないとはいえ心理的な支えになっている。不需要期の相場は数年前なら3~4ドルもありえたが、安価になったスポットLNGを中国が仕込む動きも見られるため、今回はそこまで下がらないだろう」とする。また、「足元のスポット需要は弱いが、供給力に余裕があるほどの状況でもない。幸いにして供給設備のトラブルは昨年から起きていないが、いつ起きても不思議はない。先行きを楽観視するわけにはいかない」と指摘する。

(2024年1月18日配信)

東京株式市場は年末・年始と値上がり基調を強めており、GENIX-CN70も12月15日から1月12日終値まで5週連続で上昇した。1月12日の終値は167.67ポイントとなり、昨年9月15日にマークした指数算出以来の最高値165.83ポイントを4カ月ぶりに更新した。

GENIX-CN70構成銘柄では、商社株の値上がりが目立ち、伊藤忠商事、住友商事が最高値を更新。海運株も高値圏でしっかり。個別銘柄では、三菱重工業、愛知時計電機が最高値を付けた。本日午前、2024年8月期第1四半期決算を発表し、大幅な増収増益が確認されたウエストホールディングスが急伸した。

(2024年1月12日配信)

中東産LPGの日本向け長期契約価格(サウジCP)1月分は、プロパンが前月比10㌦高い1トン620㌦。ブタンも同じく10㌦値上がりして630㌦となった。小幅高ながら、極東マーケットは足元で強弱感が交錯しており、先行きの方向感は乏しい状況。米国のプロパンスポット市況(モントベルビュー)は12月分が1トン357㌦と、前月から約25㌦値上がりした。依然として近年の安値圏での値動きではあるが、市中の在庫水準は過去5年平均並みまで減少しており、底堅さも見られる。

(2024年1月10日配信)

1月5日 2024年の年明けの東京株式市場は、能登半島地震を受けて4日の大発会は売り物先行でスタートしたが、新NISA開始に伴う投資資金流入などによる先高期待から押し目買いが優勢となり、結局、東証株価指数(TOPIX)は4日、5日と続伸した。

GENIX-CN70も12月最終週に続いて上昇し、5日終値は164ポイントと、5週ぶりに160ポイント台を回復。昨年9月15日にマークした最高値165.83に急接近した。指数構成銘柄では、大阪ガスが大幅高となり、5日に一時3111円まで上昇。12月13日に付けた最高値3077円を上回った。4日以降終値ベースでも初めてとなる3000円台を維持している。このほかでは、海運株が人気を集めており、日本郵船、商船三井が最高値を更新した。

(2024年1月5日配信)

12月29日 東京証券取引所最終売買日(大納会)は、今年1年の相場を象徴するような堅調な展開だった。その中でGENIX-CN70は前週に続いて上昇し、3週連続高で今年を締めくくった。GENIX-CN70の年間騰落率はプラス25%となり、東証株価指数の上昇率と互角の好成績だった。

GENIX-CN70構成銘柄の中で値上がりが目立ったのは、川崎汽船、日本酸素、栗本鉄工、愛知時計電機、関電工など。一方、不調だったのは、イーレックス、レノバ、テスHD、ウエストHDなどだった。なお12月末割り当てで、京セラが1株を4株、三菱商事は1株を3株に株式分割した。GENIX-CN70もこれに合わせて、株式分割の影響を考慮した修正株価指数を算出している。

(2023年12月29日配信)

12月22日 GENIX-CN70は前週に続いて上伸した。全般は高安まちまちだが、値がさ株の海運3社(日本郵船、商船三井、川崎汽船)がそろって本年高値を更新し、CN70を押し上げた。また、工場新設で恩恵を受ける理研計器が12月20日上場来高値を更新した。

海運株が動意付いたのは先週末。紅海で武装組織による商業船への攻撃が相次いだことで、海運会社がスエズ運河の航行を見合わせ、迂回経路による輸送距離の延長などで海運市況が上昇するとの思惑が働いた格好。海運株はコロナ禍前後の市況高騰局面で株価が5倍以上に跳ね上がっており、その記憶がまだ新しいだけに思惑が先行しやすいようだ。

(2023年12月22日配信)

12月15日 GENIX-CN70は3週ぶりに反発した。指数構成銘柄では、理研計器の株価が13日に上場来高値を更新。大阪ガスも同日最高値を更新し、未踏の3000円台に一時到達した。

岩谷産業の株価はコスモエネルギーホールディングスの筆頭株主になると発表した12月1日以降、大きく値下がりしたが、15日終値は7日ぶりにプラスに転じた。

14日に一時5996円まで下げ、4月初旬以来8カ月ぶりとなる6000円大台割れを見たことで、値ごろ妙味が台頭したようだ。9月高値からこの安値までの下落率は26%に達し、一株当たり純資産5249円も意識される水準となっていた。チャート面から当面の戻りめどを探ると、25日移動平均線の6866円、9月高値から直近安値までの下げ幅の半値戻し6770円など、6800円あたりが意識されそうだ。

(2023年12月15日配信)

12月13日 GENIX-CN70構成銘柄の大阪ガスが4日続伸し、一時3077円の高値を付けた。3000円台に乗せたのは上場来初。12日大引け後に、日本経済新聞が「伊藤忠と大阪ガス、世界最大級の水素生産に最大4割出資」と報じ、これを材料視する買い注文が朝方から集まった。

株価は11月初旬、自社株買いの発表を契機に大きく上放たれ、過去16年来の上値抵抗線となっていた2600円前後の節を突き抜けてきた直後とあって、しこり感のないチャート妙味も好感されているようだ。

12日に発表された欧州の水素企業Everfuelのニュースリリース

(2023年12月13日配信)

12月8日 GENIX-CN70は前週に続いて下落した。急速な円高進行や世界的な景気減速懸念を受けて、東京株式市場はこの日、ほぼ全面安となった。GENIX-CN70構成銘柄にも利益確定の売りが先行した。中でも、原油先物市況の下落を受けて、石油、造船、商社、海運株などが大きく値を下げた。

12月1日引け後にコスモエネルギーホールディングス株式大量取得を発表した岩谷産業は、週明け4日から株価が大きく下げ、発表前の終値7141円から8日安値6388円まで5日間で10%を超える下げとなった。9月の本年高値8040円からの下落率は20%に達している。アナリストからは「コスモエネ株取得に1千億円を超える大金を投じることについて、どのようなリターンを見込んでいるのか、できる限り定量的な説明が欲しい。株価の下げは合理的な反応。投資家は追加情報を待っている」との声が聞かれる。コスモエネ株が取得価格を割り込んでいることも嫌気されているようだ。

(2023年12月8日配信)

米原油先物価格(WTI)は12月6日、前日比2.94ドル安の69.38ドルと5日連続で値下がりした。節目と見られた1バレル70ドル台を5カ月ぶりに割り込んだ。9月に付けた本年高値93.68ドルからの下落率は26%に拡大するなど下値を模索する動きとなっている。

注目された11月30日のOPECプラス会合は、各国から自主減産(来年1~3月期に日量約220万バレル)が発表されたものの、想定の範囲内と受け止められたようで、相場の下落基調を反転させるには至らなかった。

相場が弱含んでいるのは、世界的な景況悪化に伴う需要減少への警戒があると見られる。「不動産不況が続く中国経済の停滞や、ここまでの利上げで減速が見込まれる米国景気などを考慮すると石油需要は伸び悩み、自主減産してもなお需給は引き締まらないのではないか」(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部芥田知至シニアアナリスト)との指摘がある。当面は今週末発表される米雇用統計をはじめ、主要な経済指標を横目にみながら神経質な値動きが続きそうだ。

(2023年12月7日配信)

12月1日 岩谷産業(GENIX‐CN70構成銘柄)はこの日、コスモエネルギーホールディングスの株式を追加取得すると発表した。旧村上ファンド系と見られる既存株主から計約1740万株を1053億円で取得する。取得済みの持ち株と合わせた保有比率は19.93%となり、同社の筆頭株主になる。

1株当たりの取得価格は約6051円で、この日の東証終値5616円を約8%上回るが、価格の算定根拠については明らかにしていない。今後については、「より一層連携を深め、新たなシナジーを創出する」としているが、具体的な方向性はまだ示されていない。また、今3月期連結業績への影響については「精査中」としている。

サウジCP12月分は、前月と同価格の1バレル610ドル、ブタンも変わらずの620ドルとなった。

(2023年12月1日配信)

11月24日 東京証券取引所で三菱重工業(GENIX‐CN70構成銘柄)の株価が前日比529円高と大幅続伸し、およそ2カ月ぶりに8800円台まで水準を切り上げた。

同社は11月22日に防衛事業説明会を開催し、来年度からの3カ年は防衛力整備計画の大幅な拡充を受けて同社の事業規模は2倍以上になると発表した。過去長期にわたり同事業規模は5,000億円弱で推移していたが、来年度からの3カ年は1兆円規模になるとした。祝日をはさんでこの日は朝方から買いが先行、業績拡大への期待感を織り込む動きを見せた。株価が1万円に近づいていることから、株式分割を催促する値動きにも映る。

ガスエネルギー新聞が注目する同社のカーボンニュートラル実現に向けた取り組みも続いている。弊紙11月20日付では三菱重工エンジン&ターボチャージャの「水素混焼50%で安定燃焼、5700キロワット級ガスエンジン」を技術面トップで紹介している。また、同日付紙面には「水素特集」を掲載しており、三菱重工の高砂水素パークなどを詳しく紹介している。

(2023年11月24日配信)

11月14日の東京証券取引所で大阪ガスが4日続伸し、ザラ場の高値は2920.5円まで買い進まれた。11月7日にマークした上場来高値2914.5円を5営業日ぶりに更新した。10月27日発表の中間決算が好感されているほか、同日発表の自社株買いも歓迎されているようだ。マーケットでは、大阪ガスの株価格付けを従来から「買い」としていたみずほ証券が、目標株価を2600円から3300円に引き上げたとの情報もこの日伝わった。

大阪ガスの株価をローソク足(日足)で見ると、11月9日から10日にかけて、さらに10日から13日、13日から14日にかけても連続して窓「空」ができた。4本の陽線と「三空」で形成される高値圏でのこの形は「三空踏み上げ」と呼ばれ、チャートを投資判断のよりどころとする投資家は、空売りを仕掛ける急所とみる。同社株の信用買い残は、売り残が買い残を超過した状態にある。確かに目先は急伸した後だけに強弱感が対立しやすい場面と言えるが、この日の株価は株価純資産倍率が0.7倍台と依然として割安な状態にあることから、むしろ売り方の手仕舞い(買い戻し)による一段の上昇を読む向きもある。

関連記事 大阪ガスが上昇率首位、愛知時計は最高値を更新/GENIX―CN70 - ガスエネルギー新聞 (gas-enenews.co.jp)

(2023年11月14日配信)

 11月2日のGENIX‐CN70は3週ぶりに反発した。自社株買いを発表した大阪ガスが急伸し、最高値を更新したほか、業績好調の日本酸素、愛知時計も高値を更新した。

 中東産LPGの日本向け長期契約価格(サウジCP)の11月分は、プロパンが1トン当たり前月比10㌦値上がりして610㌦(前月比1.67%高)となった。ブタンは同5㌦値上がりして620㌦(同0.81%高)。プロパン、ブタンともに4カ月連続で値上がりした。

 LPG市況に影響を与える原油相場の値動きはこのところ重くなっているが、LPG市況はこれから需要期を迎える季節性もあって、先高観が根強いようだ。日本向け米国産LPGの航路に当たる中南米パナマ運河が、渇水の影響で渋滞解消に時間がかかるとの見通しも強気の見方を支えているようだ。

 CPのこの1年間の価格推移を振り返ると、プロパンは2月に790㌦のピークを迎え、その後は大きく値下がりして、7月に400㌦のボトムを付けている。ブタンも同様に2月の790㌦でピークを打ち、7月には375㌦の安値を付けている。

(2023年11月2日配信)

10月27日 GENIX-CN70は前週末終値から0.2ポイント下落して155.81と2週連続で下落した。東証株価も0.06ポイント下がって142.76となった。

10月以降、株式市場は調整色を強めており、9月最終週との比較ではGENIX-CN70、東証株価ともに約3%下落している。

GENIX-CN70の構成銘柄のうち9月末比で上昇したのは全体の2割16銘柄にとどまる。その中で愛知時計が本年高値を更新したほか、日本酸素、栗本鉄工、川崎汽船などが高値圏で頑強な値動きを見せている。

(2023年10月27日配信)

10月19日の米原油先物(WTI)価格は3日続伸。中東地域の紛争拡大への懸念が市況を押し上げた。

国際ガス市況も値上がりしており、欧州パイプラインガス先物価格(TTF)は13日に百万BTU(英国熱量単位)当たり16ドル台、スポットLNG価格は18日に19ドル台へと上昇している。

イスラエル沖の海洋ガス田(タマル)が操業を停止したと報じられており、このガスを原料とするエジプト産LNGの出荷に影響が及ぶ恐れが指摘されている。

(2023年10月20日配信)

 10月9日の米原油先物(WTI)市況は2日続伸し、1バレル前日比3.59㌦高の86.38㌦に上昇した。6日の米雇用統計は市場の予想を上回る数値で、長期金利上昇を促したが、原油市場は底固い動きを見せた。そこに、イスラエル・パレスチナ間で大規模な武力衝突が発生。中東の地政学的リスクが高まったことで、買い気が優勢となったようだ。また、本年高値を付けた9月27日以降の下げが急だったこともあり、買い戻しも入りやすかったと見られる。

 一方、連休明け10月10日の東京株式市場は、朝方から買い戻しの動きが広がりほぼ全面高でスタート。GENIX‐CN70構成銘柄もこのところ下げがきつかった石油株などが買い気配で始まるなど総じてしっかりした動き。

 三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部の芥田知至主任研究員は当面の原油相場について、「今回の武力衝突にイランの関与があるのかどうかなど中東情勢には不透明な部分があり、不安定要素が増えた格好だ。他方、このところの米長期金利上昇やドル高が原油相場を下押しするとの見方や、米欧の金融引き締め効果で石油需要が鈍化するとの懸念も根強い。さらに中国の不動産不況、全米自動車労組(UAW)のストライキ、米予算審議の難航なども需要を鈍化させる要因として意識されている。当面は地政学的リスクや需給などの強弱材料が交錯する中で、不安定な推移が見込まれる」としている。(了)

(2023年10月9日配信)

米原油先物が10月4、5日と続落し、1バレル82㌦台まで下落、8月30日以来の安値水準となった。4日は下落率が5・61%に達する大幅な下げで、下落率が5%を超えるのは5月2日以来5カ月ぶり。9月27日に付けた本年高値93・68㌦から5日までの下落率は12%強に広がった。市場では、米ガソリン在庫の急増や強含んでいる長期金利の動向を警戒。今晩の米雇用統計の発表を注視している。

一方、米天然ガス先物(HH)価格は3日続伸し、今年3月以来となる百万BTU(英国熱量単位)当たり3ドル台に乗せてきた。

(2023年10月6日配信)

米原油先物が10月4日、前日比5.01㌦安の1バレル84.22㌦と急反落し、8月31日以来の安値水準に後退した。1日の下落率の大きさは5.61%に達した。5%を超える大幅な下げは5月2日の5.29%以来、5カ月ぶり。市場では、同日発表された米石油在庫統計でガソリン在庫の急増が明らかになり、これが利益確定売りを誘ったとの見方が出ている。

JOGMECの首席エコノミスト・野神隆之氏は、「統計で明らかになった米ガソリン需要の低迷は、この時期としては2000年以来の低水準。他にもロシアの軽油輸出禁止の一部解除検討の報道、サプライズのないOPECプラス産油国共同閣僚監視委員会の内容などの弱気材料がそろって現れた。このため、市場は狼狽売りの様相を呈しているが、今年第4四半期に供給不足に陥るとの認識に変化はなく、市場のセンチメントが根本的に変化したとは言い切れない。原油市況は売られ過ぎ気味の領域に入りつつあり、値頃感から買い戻しが発生しやすい状況ではあるが、まずは明日6日発表予定の米国雇用統計が注目される」としている。

10月5日の東証は朝方、昨日までの大幅安に対する自律反発の動きとなり、TOPIXが6日ぶりに反発するなど全般に買い物優勢の始まりとなったが、原油の急落を受けて、GENIX‐CN70構成銘柄のINPEXや石油資源開発など石油関連株は売り気配のスタートとなった。

(2023年10月5日配信)

中東産LPGの日本向け長期契約価格(サウジCP)の10月分は、プロパンがトン当たり前月比55㌦値上がりして600㌦(前月比9.09%高)、ブタンは同50㌦値上がりして 615㌦(同9.82%高)となった。プロパン、ブタンともに3カ月連続で値上がりした。背景には原油市況の上昇が指摘されている。

(2023年9月29日配信)

東証9月28日前場の寄り付きは、GENIX‐CN70構成銘柄のINPEX、石油資源開発、日揮など石油株が大幅高でスタートした。朝方は全般に利益確定売りが先行する中で、石油関連株の値動きの強さが目立った。石油資源開発は2008年以来、13年振りとなる6000円台に到達した。

 前夜27日の米原油先物(WTI)価格は前日比3.29㌦値上がりして1バレル93.68㌦となり、7営業振りに今年の高値を更新した。また、当面の戻りのめどと見られていた昨年10、11月に付けた92㌦台の高値を一気に上抜いてきたことで、市場関係者の間では先高ムードが一層強まっている。

(2023年9月28日配信)

9月22日の東証株価は前夜の米国株式下落を受けて、朝方から売り先行で始まった。GENIX-CN70構成銘柄も商社、海運株など総じて下落した。半面、INPEX、石油資源開発、ENEOSなど石油株の一角は底固い動き。GENIX-CN70は前週末比2.08ポイント下落して164.04ポイントと5週ぶりに下落した。

21日の米原油先物市場は、米金融政策の引き締め長期化懸念が台頭し、利益確定売りに押された。期近終値は前日比0.65㌦安い89.63㌦と、3日続落し、6営業日ぶりに1バレル90㌦台を割り込んだ。

9月25日付紙面の関連記事「原油100ドルが視界に サウジ減産の影響を注視」

(2023年9月22日配信)

9月14日の米商品先物市場では、原油先物(WTI)価格が2日ぶりに反発し、終値は前日比1.64㌦値上がりして1バレル90.16㌦と、当面の節目と見られていた90㌦大台を突破した。90㌦に乗せるのは2022年11月7日の91.79㌦以来、10カ月ぶり。市場関係者の間では、原油需給の引き締まり感から先高を予想する声が強まっている。

原油市況の上昇を受けて、15日の東証ではGENIX-CN70構成銘柄のINPEX、石油資源開発、日揮、ENEOS、三井物産、三菱商事といった、石油やエンジニアリング、商社など資源関連株が一斉に買い進まれた。INPEXは2008年以来、この週急伸した日揮は2018年以来の高値水準。

(2023年9月15日配信)

9月13日の東京証券取引所では、朝方からINPEX、石油資源開発、ENEOSなどGENIX-CN70構成銘柄の石油株が買い先行でスタートし、本年高値を更新した。前夜12日の米原油先物価格(期近終値)が前日比1.55㌦高の1バレル88.84㌦と反発し、約1週間ぶりに本年高値を更新したことが買いの手掛かりになっていると見られる。

原油市場では需給に引き締まり感が指摘されるなど、市況は当面強含むとの見方に傾斜しているようだ。ENEOSのこの日の株価は4年8か月ぶりとなる600円台を目前に捉えている。INPEXは2008年10月以来、石油資源開発は2009年6月以来の高値水準に来ている。

米原油先物は2008年に145㌦の最高値を付け、2011年から2014年にかけて100㌦前後で推移していた。最近の石油株は原油100㌦時代の再来をあたかも織り込むかのような値動きを見せている。

(2023年9月13日配信)

9月8日の東京株式市場は、前夜の米国株式市場の下落を受けて、朝方から利益確定売りが先行する展開となったが、この週のGENIX-CN70は前週末比1.67ポイント上昇して161.86と3週連続値上がりし、前週に続いて指数算出以来の高値を更新した。この週は三菱重工、川重重工、三井物産、石油資源開発などが指数をけん引した。

原油先物価格(米WTI)は9月7日、前日比0.67㌦安い1バレル86.87㌦と、10日ぶりに値下がりし、前日まで値上がりが目に付いたINPEX、石油資源開発、日揮、ENEOS、三井物産、三菱商事などの資源関連株には利食い売りが広がった。

また、個別では、このところ物色人気を集めていた三菱重工も6日ぶりに反落した。半面、三菱重工の急上昇に対して出遅れ感が台頭していた川崎重工はこの日も買いが途切れず逆行高、10連騰となった。

三菱重工の本紙最新ニュース:長崎で脱炭素基盤技術 既存拠点連携し開発推進/三菱重工

川崎重工の本紙最新ユース:世界初ドライ式水素タービン、NOx抑制と高効率を両立/川崎重工
(2023年9月8日配信)

【GX特集】脱炭素と成長の両立/e―メタンはGXの現実解

【GX特集】脱炭素と成長の両立/e―メタンはGXの現実解

エネルギーの脱炭素化と経済成長の両立を可能とする新たな経済社会構造への移行を目指すGX(グリーントランスフォーメーション)。日本全体にとって極めて重要な国家戦略であるとともに、個々の企業にとっても避けて通れない重い経営課題になっている。都市ガス会社は、自社の事業モデルの進化だけでなく、地域のGX推進において主要な役割を果たすことも期待されている。

◆【制度整備から実行へ、多様な脱炭素技術を支援】

GXとは、エネルギーの観点では、従来の化石燃料中心からクリーンエネルギー中心へと供給構造を抜本的に転換することを意味する。具体的には、すでに商用化されている再生可能エネルギーや原子力の活用に加えて、水素・アンモニアやe-メタンなどカーボンリサイクル燃料の社会実装を進めていく。

こうした取り組みを、日本の国際的な産業力強化につなげることがGXのもう一つの側面だ。地球温暖化の防止という人類共通の課題に対処するため、世界全体が早かれ遅かれ脱炭素型の経済社会構造に移行することは間違いない。そのため、脱炭素関連の新たな市場の創出を日本が主導できれば、日本企業が国際競争で有利な立場に立てるという思惑がある。2023年7月に策定された政府のGX推進戦略では、GXこそが日本経済を「再び成長軌道へと戻す起爆剤」だと位置付けている。

○10年で150兆円

こうした狙いから、GX関連の制度整備や推進体制の構築が、ここ数年で一気に進んだ。その大きなきっかけは、22年6月に策定された政府の「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」に「GXへの投資」という項目が盛り込まれたことだ。新しい資本主義とは、従来の新自由主義的な考え方を修正するもので、市場原理に委ねても解決できない問題があるとの認識に基づく。そうした問題の代表が地球温暖化で、実効的な対応を進めるには市場と国家の二元論を超えた新たな官民連携が必要だとされた。

同計画で、GXの新たな市場・需要の創出を実現するため、金融支援と規制・制度的措置を一体的に講じるという政策の大きな方向性が示された。具体的には、官民連携により今後10年間で150兆円規模のGX投資を実現するとの目標を設定。その実現に向けて、民間投資の「呼び水」となるGX経済移行債を創設することになった。

先行的な取り組みとして、21年度から2兆円を超える規模のグリーンイノベーション(GI)基金により、20のプロジェクトが組成されている。エネルギー分野では、e-メタンを含む水素やペロブスカイト太陽電池、アンモニア発電、全固体蓄電池などが支援先に選定された。

GX経済移行債を償還する財源を生み出すため、排出量取引制度や炭素に対する賦課金といったカーボンプライシング(CP)の仕組みも導入される。CPには財源確保だけでなく、GXへの取り組みが市場競争でプラスに働くようにする狙いもある。つまり、温室効果ガス(GHG)を排出して作られた製品やサービスを炭素価格の上乗せにより割高にすることで、GX関連の製品の競争力を向上させるわけだ。これにより企業には他社に先駆けてGXを進めるインセンティブが生まれる。

CP関連の新制度はいずれも、23年5月に成立したGX推進法で法定化された。同法では、排出量取引の運営や化石燃料賦課金の徴収などの事業主体としてGX推進機構を設立することも定められた。同機構は7月から業務を開始する。GXは推進体制の構築から実行の段階へと移ってきている。

○水素、CCSの新法

政府は23年度以降の10年間、国会の議決を経た金額の範囲内でGX経済移行債を毎年度発行していく。移行債により調達した資金でGX推進に資する事業を支援する。支援の総額は最終的に20兆円規模になる。

支援対象は、民間のみでは投資判断が困難で、産業競争力の強化とGHG排出削減の両方に貢献することが大前提。こうした基本方針に基づき、昨年12月に今後10年程度の「分野別投資戦略」が取りまとめられた。エネルギー分野では「水素等」「次世代再エネ」「原子力」「CCS(二酸化炭素の回収・貯留)」が支援対象になった。水素等の価格差支援については、供給開始から15年間で3兆円規模という総額も示された。

エネルギー供給構造の転換に向けた法整備も並行して進んでいる。再エネや原子力の活用強化のためのGX脱炭素電源法は、GX推進法とセットで成立した。e-メタンを含めた水素のサプライチェーン構築を包括的に支援する水素社会促進法と、CCSの事業環境を整備するCCS事業法も今年5月に成立した。

GXの着実な推進のためには、地域社会での取り組みも重要になる。GX推進戦略では、金融機関や企業と自治体が連携し、各地域の特性に応じた脱炭素の取り組みを行うという方向性が示された。環境省の炭素中立型経済社会変革小委員会が22年12月に取りまとめた「GXを支える地域・くらしの脱炭素」でも、地域の官民の関係者が連携することで、地域ぐるみでの脱炭素投資の拡大や、地域全体での再エネ・省エネ需要の創出に取り組むとされた。ガス会社にとっては、こうした取り組みの一翼を担うことも重要な事業戦略になる。

○人材育成も課題

GXに挑戦する意欲を持つ企業が政府や研究機関と協業する場として、23年度からはGXリーグも発足している。参加企業は初年度の568社から、24年度は747社に増えた。ガス会社では大手4社の他、北海道ガス、広島ガス、静岡ガス、鳥取ガス、常磐共同ガスが参加している。

26年度の本格導入に先立つ排出量取引の試行実施が主な取り組みだが、活動内容はそれだけではない。脱炭素関連の市場創造に向けたルール形成にも取り組んでおり、23年度は「適格カーボン・クレジットWG」「GX経営促進WG」「GX人材市場創造WG」の三つの検討の場が設けられた。このうち企業などにおけるGX推進において求められるスキル(能力)の標準化を目指した人材市場創造WGには、北海道ガスと広島ガスもオブザーバーとして参加した。

【e―メタンはGXの現実解/JGA・津田晶博企画部長に聞く】

日本全体でGXを着実に推進する上で、都市ガス業界への期待は大きい。次世代の都市ガス原料の本命と位置付けられるe―メタンは、カーボンニュートラル(CN)の時代にも日本全体で効率的で安定的なエネルギー供給体制を保つため、着実な社会実装が求められている。日本ガス協会(JGA)の津田晶博企画部長に話を聞いた。

◇◇

――CNに向けた取り組み状況は。

JGAでは2021年6月策定の「カーボンニュートラルチャレンジ2050アクションプラン」で、ガスCN化のための大きな道筋を示した。トランジション期には天然ガスの普及拡大とe―メタンの社会実装に取り組み、50年には到達点の一例として供給するガスの9割をe―メタンに置き換える目標を掲げている。

このうち天然ガスの普及拡大については、高効率ガス機器の導入や他燃料からの転換、クレジットを活用した都市ガスの供給などに取り組んでいる。一方、e―メタンの社会実装に向けた最初の目標は30年にガス導管への1%注入だ。その達成のためサプライチェーン構築の検討が世界各地で進んでいる。

――e―メタンは国のGX政策にも盛り込まれている。

昨年末に示されたGX経済移行債による投資支援対象16分野のうち、e―メタンを含む「水素等」に15年で3兆円規模の支援が措置された。5月に成立した水素社会推進法でもe―メタンは支援対象に含まれた。e―メタンは導入当初はLNGより生産コストが高くならざるを得ないため、特にファーストムーバーに対する支援は不可欠となる。

30年の目標達成のため、ファーストムーバーは来年度には最終投資決定(FID)を行う必要があり、支援制度はできるだけ早期に整備されることを期待している。e―メタンの社会実装に向けた取り組みは少しずつ足元で成果の芽が出始めているが、それが花開くために24年度は非常に重要な年になる。

――24年度はエネルギー基本計画も改定される。

次期計画では天然ガスと共に、e―メタンを将来のエネルギーとして適切に位置付けてほしい。安定供給を保ちながらCNを実現するには幅広い選択肢を持つべきで、既存の都市ガスインフラをそのまま使えるe-メタンは、社会的コストを抑制しつつシームレスにCN化を進められる重要な現実解の一つだ。

国の政策では、カーボンプライシング(CP)関連の詳細設計にも注目している。GX経済移行債は炭素に対する賦課金制度などCP導入により将来得られる収入を財源とするが、賦課金は制度設計によってはエネルギーの安定供給や産業政策に影響しかねない。試行的に始まった排出量取引制度もコストの負担方法など本格稼働に向けた具体的な制度設計はこれからで、いずれも丁寧で慎重な検討が必要とされている。

――FIDのためには国際ルールの整備も必要だ。

国内外でのCO2カウントルール整備も重要な課題だ。今年1月にISO専門委員会で、e―メタンのライフサイクルGHG(温室効果ガス)の算定方法を含む国際規格が成立した。これにより燃焼しても大気中のCO2を増加させない価値が認められたことは大きな前進だ。さらにその価値を最終的にe―メタンを消費する需要家に帰属させることが必要だ。企業向けの国際ルール「GHGプロトコル」は25年までに改定される見込みで、このタイミングでe―メタンを含むカーボンリサイクル燃料の扱いを明確にするよう、各国のガス協会などとともに事務局への働きかけもしている。

4月の日米首脳会談の成果文書で、両国間でのe―メタンのプロジェクトについてCO2の二重計上回避を企業当事者間で合意していることを歓迎する旨が記載されたことは、こうした文脈でとても意義深い。今後の協議でCO2カウントルールが整理されれば、米国のプロジェクトについては需要家へのCO2の削減価値の帰属が明確になるからだ。そのことはGHGプロトコル改定に追い風になり、国内のSHK制度(温室効果ガス算定・報告・公表制度)への反映にもつながると期待している。

◆【GX特集】CNの具体的道筋を公表/東京ガス

東京ガスグループは3月、カーボンニュートラル(CN)社会の実現に向けた具体的な道筋となる「CNロードマップ2050」を発表した。2040年に国内エネルギー供給に関連するサプライチェーン全体の温室効果ガス排出量を二酸化炭素(CO2)換算で22年度比6割削減、国内に供給するガス・電力のCN化率を5割まで高めることを目指す方針を掲げている。CNロードマップの全体像とCNに向けた「三つのアプローチ」の具体例を紹介する。

○40年にCO2排出6割削減、国内ガス・電力5割CN化

ロードマップは、21年の「CompassAction」で打ち出した「責任あるトランジション」を踏襲し、50年CNへの具体的な道筋として策定した。20年代はこれまで推進してきた天然ガスの高度利用と並行してガス・電力の脱炭素化の準備を進め、30年代はe―メタンや浮体式洋上風力発電などの脱炭素化技術を実装・拡大していく。これにより40年時点でCO2排出量の6割減とガス・電力のCN化率5割の実現を目指す。その後、さらにCN化率を高め、50年CNを実現する。

三つのアプローチによって「CN社会へのシームレスな転換」をけん引する。一つ目はベストミックスの観点「ガスも電力も垣根なく」だ。安定供給を確保しながらLNGサプライチェーン全体の温室効果ガス排出削減を徹底し、ガスはe―メタン導入、電力は再エネ拡大を主軸に脱炭素化を推進する。供給力と再エネ調整力の役割を担う火力発電所も水素、e―メタン、CCSなどあらゆる選択肢の活用を視野に入れ、リプレース等にあわせて脱炭素手段を実装し、ゼロエミッション化を実現していく。

二つ目は需要側・供給側の観点「お客さまと共に」。顧客先への太陽光発電やエネファーム、蓄電池など分散型機器の導入を進め、系統用蓄電池など自社の分散型リソースも拡大、これらを組み合わせてエネルギー利用を最適化する。顧客先での水素の利活用やカーボンリサイクルソリューションも拡大する。

三つ目はイノベーションの社会実装の観点「社会的価値を最適化」だ。脱炭素の手段を選択する上では、CO2削減に加えて、社会全体でのコスト抑制、安全性、安定供給性、快適性などの価値も重要な要素であることから、複数の選択肢を確保しながら柔軟に社会実装を進めていく。

(1)ガスも電力も垣根なく/浮体式洋上風力を早期実現

電力の脱炭素化で期待されているのが浮体式洋上風力発電だ。遠浅の海域が少ない日本では、水深が深くても設置可能な浮体式洋上風力のポテンシャルが大きい。東京ガスは1月、造船ドックに依存しない浮体式洋上風力発電の基礎部分の量産化手法に関する検証を完了し、妥当性を確認できたと発表した。グリーンイノベーション基金事業の一環として、22年4月から国の支援を受けて実施していた。

東京ガスは日本初の大規模浮体式洋上風力の実現に向けて、米国のスタートアップ企業プリンシプル・パワー社の浮体式基礎技術を活用し、日本の気象・海象に適合させるとともに、連続製造・施工技術の確立を目指している。これまで基礎部分は製造から組み立てまで造船ドックで行われていたが、風車の大型化やウィンドファームの大規模化を想定すると、造船ドックの不足が課題となる。

今回の開発では、1万5千キロワット規模の風車を想定して、実際に使用する基礎と同じ大きさのモックアップを製作した。浮体式基礎をブロックに分けて設計・製造した後、1カ所に集めて組み立てる作業工程などを確認した。実海域での小規模の商用運転を経て、浮体式洋上風力発電の早期実現を目指す。

洋上風力を安定して稼働するためのメンテナンスに関しては、東京ガスエンジニアリングソリューションズ(TGES)が、豊富な実績を持つ英ジェームズフィッシャーアンドサンズ社との協業契約を締結済み。東京ガスは英オクトパスエナジー社が設立した洋上風力投資ファンドにも出資しており、欧州の洋上風力開発のノウハウも獲得する。

(2)お客さまと共に/分散型リソースを活用

家庭用蓄電池の普及に向けて、東京ガスが4月に打ち出した大胆な施策が「IGNITURE蓄電池0円キャンペーン」だ。電力需給バランスの調整に貢献するソリューション「IGNITURE蓄電池」として、東京ガスが遠隔制御する蓄電池を抽選で100人にプレゼントする。対象は東京都内(島しょ部を除く)の持ち家戸建て住宅で太陽光発電設備が設置済みの世帯。申し込み期間は6月末まで。落選した場合も500人に「Wチャンス」として10万円をキャッシュバックする。

IGNITURE蓄電池は停電時の安心や、太陽光の余剰電力の活用による電気代削減など蓄電池自体の価値に加え、東京ガスが蓄電池の充放電を遠隔制御することで、再エネの普及拡大や電力供給の安定化にも貢献できる家庭向けソリューションとして提供する。東京都内から提供を開始し、順次提供エリアを拡大する。

国内系統用蓄電池事業にも本格参入する。再エネの出力抑制が頻発している九州エリアで計5・5万キロワット分の系統用蓄電池を取得した。自社グループ開発の国内第1号案件「角子原パワーストレージステーション」(大分市、2・5万キロワット)は26年度に商業運転開始予定。同年7月商業運転開始予定の「広原蓄電所」(宮崎市、3万キロワット)の運用権を得る「オフテイク契約」も締結した。

英オクトパスエナジー社が開発した分散型エネルギーリソース運用・管理システム「クラーケンフレックス」も導入した。自社設備に加え、家庭用を含む顧客の多様な電力関連資産を最適制御するデジタル取引プラットフォームの構築を目指している。

(3)社会的価値を最適化/カーボンクレジットを自ら創出・提供

熱の脱炭素化には、省エネ・省CO2やe―メタンに加えて、信頼性の高いカーボンクレジットなどオフセット手段の活用も重要だ。東京ガスはカーボンニュートラルLNG(CNL)に活用する高品質なクレジットの確保にも取り組んでいる。

農機具メーカー大手のクボタ、気候変動関連スタートアップのクレアトゥラ(東京都港区)とは、フィリピンで水田由来のメタン排出を削減する共同実証を行っている。一時的に水田から水を抜くことで、常時湛水時より多くの酸素を土壌中に供給し、メタン生成菌の活動を抑制する。ASEAN地域での農業分野における初の民間JCM(二国間クレジット制度)登録を目指している。

英ヴァートリー社とは、信頼性の高いクレジットの安定調達に向け、植林などの自然系クレジット創出プロジェクトの共同開発を目的とした戦略的パートナーシップを締結した。人工衛星によるリモートセンシングを活用して森林の育成状況などを分析する技術を保有するサステナクラフト(東京都千代田区)とは、自然系カーボンクレジット創出プロジェクトの評価・選定手法の高度化を目的とした業務提携契約を締結している。

◆【GX特集】メタネーション設備竣工、万博会場でも実証/大阪ガス

大阪ガスは、生ごみ由来のバイオガスに含まれる二酸化炭素(CO2)からe―methane(e―メタン)を製造するメタネーション実証設備を、大阪広域環境施設組合が運営管理するごみ焼却工場「舞洲工場」(大阪市此花区)の敷地内に設置し、5月から実証を開始している。環境省の「既存のインフラを活用した水素供給低コスト化に向けたモデル構築実証事業」に採択されたプロジェクトで、舞洲工場での実証を終えたあと、8月からは設備を順次、大阪・関西万博会場(同区夢洲)に移設する。2025年4~10月の万博会期中は、会場内でe―メタン製造規模を拡大して実証を行う。

○生ごみ由来のバイオガス活用、微生物の力でCO2をメタンに

実証設備は昨年8月に着工し、今年3月に完成した。

大阪ガスの生ごみ由来のバイオガスを活用するバイオメタネーション設備としてはラボスケールの設備があるが、実証スケールの設備の建設は初めてとなる。

同設備を用いたe―メタン製造の流れはこうだ。

まず、スーパー大手ライフコーポレーションの9店舗から1日当たり約1㌧の生ごみを回収する。生ごみ受け入れ建屋内で前処理を施した後、大阪ガス子会社Daigasエナジーのオンサイト型バイオガス化システム「D‐Bioメタン」に投入。メタン6割、CO24割のバイオガスを作り出す。

次にDaigasグループの再生可能エネルギー電力を用いて水を電気分解し、グリーン水素を生成する。バイオメタネーション装置内で、このグリーン水素とバイオガス中のCO2を「メタン菌」と呼ばれる微生物で反応させ、e―メタンを製造する。

この時点で、バイオメタン中のメタン濃度は60%から80~85%まで高まる。しかし、さらに利用可能なCO2が残っていることから、触媒による「サバティエ反応」でメタンを製造する日立造船製のメタネーション装置を使ってe―メタンを製造し、メタン濃度を95~98%程度まで高める。最終的には合計毎時5立方㍍(一般家庭120件相当)のe―メタンを製造する。

・万博会場で製造量拡大、大気中のCO2も活用

万博会場では、会場から出る生ごみのうち、1日当たり約1㌧を原料としてe―メタンを製造し、会場内の厨房やガスコージェネレーションなどで利用する。

バイオガス中のCO2だけでなく、地球環境産業技術研究機構(RITE)が万博会場に設置するDAC(DirectAirCapture)設備を使い、大気から直接回収するCO2をメタネーションに使用。

e―メタン製造量を毎時7立方メートル(一般家庭170件相当)に拡大する。

一連の実証では、システムが安定的に稼働するかを中心に検証していく。

○「地産地消型」、社会実装へ、2030年の実用化目指す

大阪ガスは現在、三つのメタネーション技術の開発を進めている。

一つ目がサバティエメタネーションである。すでに技術が確立されており、現在は、30年実用化を目標に掲げ、INPEXと共同で製造設備の大型化に向けた実証等を進めている。

二つ目が、SOEC(固体酸化物形電解セル)メタネーション。高効率なメタン製造が期待できる技術であり、30年までの技術確立、40年までの実用化を目指している。6月からはラボスケールでの実証が始まった。

三つ目がバイオメタネーションで、30年までの実用化を目標に掲げる。

バイオメタネーションの実用化の方向性について、5月17日の竣工式後に報道陣の取材に答えた大阪ガス後藤暢茂常務執行役員は「身近な未利用バイオマス資源を活用したメタネーションはこれからのカーボンニュートラル社会に不可欠になる」と説明。実用化に向けては「万博での実証が終わると次のステージに入ると考えている。スケールアップして地産地消型を実際に社会へと展開していきたい。この設備はそのスタートになる」と述べた。

Daigasグループが30年に都市ガスの1%にe―メタンを導入することを目標に掲げることについては、大規模プラントによるe―メタン製造がメインシナリオになるとしながら、「未利用のバイオマス資源を活用したメタネーションも一部、目標達成に寄与できればと考えている」と述べた。

なお、大阪ガスは22~23年度に下水汚泥を活用したバイオメタネーションの実証も実施した。

大阪市の海老江下水処理場に設置した試験装置に下水汚泥と水素を投入。下水汚泥をバイオガス化するとともに、バイオガス中のCO2と水素からメタン菌の力でメタンを製造した。

さらに、試験装置の中に廃棄バイオプラスチックを分解した乳酸を投入し、メタンの発生量を3倍に増やす実証も行った。

○環境省「脱炭素化に有効」、舞洲工場で竣工式開催

5月17日に大阪市此花区の舞洲工場で実施したバイオメタネーション実証設備の竣工式には、大阪ガスのほか、環境省、大阪市、大阪広域環境施設組合、ライフコーポレーション、日立造船などが出席した。

大阪ガス後藤暢茂常務執行役員は主催者あいさつで、「大阪ガスは実証を通じ、万博のCN化に寄与するとともに、CN社会の早期実現を目指す」と述べた。

来賓としてあいさつした環境省地球環境局の吉野議章地球温暖化対策課長は、脱炭素化に向けて、同省が地域資源を活用した地産地消型の水素サプライチェーンモデルの実証に取り組んでいると説明した。

大阪ガスのプロジェクトについては「再エネ由来の水素と、地域の生ごみから得られるバイオガスを活用して製造したe―メタンを、都市ガスの消費機器で利用する地産地消型のモデルとなる」と説明した。

また、e―メタンは天然ガスに関連する既存インフラ設備や消費機器をそのまま利用できるため、「脱炭素化を進めるに当たり、極めて有効な手段。天然ガスをe―メタンに代替していくことで、社会コストを抑えながら円滑な脱炭素への移行が期待できる」と述べた。

◆【GX特集】CN実現へ取り組み加速/東邦ガス

中計の重点施策に掲げ注力

東邦ガスは中期経営計画(2022~25年度)で掲げる「カーボンニュートラル(CN)の推進」に沿って取り組みを加速させている。4月には、推進体制を強化するため、CN全体戦略の立案や部門間調整を担う企画部CN推進企画グループと、社会実装案件の開発を推進するCN開発部を新設した。社会実装に向けては、合成メタン(e-メタン)の実用化に向けて、3月31日から国内初となるe-メタンの都市ガス原料利用の実証試験を開始したほか、国内外でさまざまなパートナーと連携し、取り組みの輪を広げている。

○推進体制さらに強化、具体化・多様化へ部署新設

東邦ガスは4月、企画部に「CN推進企画グループ」を新設したほか、新組織として「CN開発部」を立ち上げた。前者はCN実現に向けた戦略や方針の策定、経営資源の配分・リバランスを行い、後者がそれら戦略・方針を基にCNガス・水素などの社会実装に関する対応を進める。

新谷大輔CN推進企画グループマネジャー(GM)は、「これまでは複数の部署がそれぞれCN案件を同時並行的に進めていた。その結果、組織的な知見・ノウハウの蓄積や優先度・繁閑に応じた柔軟な要員配置、案件の優先順位付けに関して課題が生じていた。当グループはCN推進の全体統括に特化し、戦略策定や変化に応じた軌道修正、取り組みの取捨選択など、ガス・水素・電気の総合調整を部門横断で実施する」と新設の狙いを語る。

CN開発部の浅井実成部長は、「当部は2グループからなり、第一グループは主に海外案件、第二グループは国内案件を担当する。それぞれ社会実装に向けたプロジェクトの対応を進めるほか、外部連携も進め、新たな案件発掘も担う。部長・マネジャー・担当者の各層に、CN専従者を配置したことで、情報ネットワークの強化・拡充ができる」と説明した。

体制強化に加え、CN実現に向けたさまざまな取り組みにも着手している。

水素の供給に関しては、知多緑浜工場(愛知県知多市)に天然ガス改質型水素製造装置を設置。日量1・7㌧の水素(燃料電池自動車約340台分の充てん量に相当)の製造能力を有するプラントを整備し、水素サプライチェーンの構築に向けた取り組みを推進していく考えだ。

再生可能エネルギー電源の拡充にも力を入れている。今年度は八代バイオマス発電所(熊本県八代市、7万5千キロワット)、唐津バイオマス発電所(佐賀県唐津市、4万9900キロワット)が加わり、再エネ電源取扱量は足元の12万キロワットから18万キロワットに高まる見通し。さらに来年9月には国内最大級の「田原バイオマス発電所」(愛知県田原市、11万2千キロワット)が運転開始となる。中計で掲げた25年度25万キロワットの目標達成に向けて、電源種を限定せずに幅広く取り組む方針だ。

このほかにも、高効率・低コストの二酸化炭素(CO2)分離回収技術の開発にも取り組んでいる。

CN実現に向けて、ガス・水素・電気の上下流に幅広く対応すべく、今後は新設した二つの専門部署が機能し、取り組みがより加速していくものと期待される。

○e-メタンの実用化へ、国内外で進むパートナー連携

e-メタンの実用化に向けた取り組みについては、さまざまな企業と国内外で連携・アライアンスを進めている。

海外におけるe-メタンの製造・日本への輸出の事業化に向けた検討では、東京ガス、大阪ガス、三菱商事とともに、米国キャメロンLNG基地での2030年輸出開始を目指している。また、豪州サントスベンチャーズとは、30年ごろのe-メタンの製造・輸出を目指すべく、事業性検討を進めている。

e-メタンのサプライチェーン構築に向けては、ベルギーのTESと昨年12月、包括連携の覚書を締結。供給網構築に関する検討のほか、e-メタンの認知度向上や経済的支援などの制度設計に関する働きかけも共同で行う。

こうした取り組みについて新谷GMは、「ガス業界としてCNに向けた取り組みを推進しており、当社は、30年に『ガスのCN化率5%以上、再生可能エネルギー電源取扱量50万キロワット、CO2排出削減貢献量300万㌧削減』を目標に掲げている。目標達成に向けて幅広い企業との連携を図るとともに、さまざまなプロジェクトに参画し、供給量を長期的に確保することが重要だ」と語る。

e-メタンの世界的な普及を目指して、東京ガス、大阪ガス、三菱商事、欧米の大手エネルギー企業など7社とともに国際的アライアンス「e-NGCoalition(イーエヌジーコーリション)」を設立する。

浅井部長は、国際的アライアンス設立の意義について、「e-メタンの輸出入に伴いCO2の取り扱いが国境をまたぐことになる。一つの国だけで対応する制度を作っても意味がない。各国が制度構築で足並みをそろえる働きかけが必要。加えて、世界的な普及に向けた仲間づくりや対外的な発信力強化も重要な観点だ。そのために国際的アライアンスを設立し、世界的なうねりにしていかなければならない」と指摘した。

○e-メタン製造実証開始、地域資源を都市ガスに活用

東邦ガスは、3月31日から知多LNG共同基地(愛知県知多市)でe-メタンの製造実証を開始した。

この実証の注目ポイントは大きく二つ。一つは、知多市と連携し、バイオガス由来の二酸化炭素(CO2)を活用してe-メタンを製造すること。もう一つは、製造したe-メタンを国内で初めて都市ガス原料として利用すること。その都市ガスの供給を需要家と合意しており、地域資源を都市ガス原料に生かし、地域で活用する環境性の高い取り組みとなる。

実証期間は2024年度から26年度までの3年間。業界初となる取り組みの成果を関係業界と共有し、e-メタン普及の仕組み作りにつなげていく方針だ。

東邦ガスは、同基地に隣接する同市南部浄化センターの下水汚泥処理で発生するバイオガス(主成分メタン)を17年度から都市ガス原料に活用している。今回の実証では、このバイオガス精製時に分離されるCO2をe-メタン製造に利用する。

e-メタン製造に必要な水素は、同基地において、LNGの冷熱を利用した冷熱発電による電力で水を電気分解して製造する。水素とCO2を反応させ、年間約3万立方㍍のe-メタンを製造する計画だ。

設備としては、e-メタン製造装置(サバティエ方式、メタン製造能力毎時5ノルマル立方㍍)や、水素製造装置(PEM型水電解方式、水素製造能力毎時20ノルマル立方㍍)、CO2貯留タンク、圧縮機などを設置した。

実証では、e-メタン製造に加え、付帯設備も含むシステム全体の効率性・信頼性・環境性などのほか、主要部の触媒反応装置や水素製造装置の耐久性を評価し、将来的な製造設備の大規模化、低コスト化などにつなげる。

技術研究所カーボンニュートラルの萩野卓朗課長は、「ガス事業法に基づき設計・建設した初めてのe-メタン製造プラントだ。実証で得られる成果や実績を踏まえ、技術課題の解決につなげるとともに、環境価値(CO2削減量など)をしっかりとお客さまに届けられるよう、e-メタンの普及に必要な仕組み作りにも貢献していきたい」と語った。

地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)のSHK制度(温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度)やクリーンガス証書など、e-メタンが持つ環境価値が各制度に適切に反映されることを期待したいとしている。

◆【GX特集】幅広い手段で低・脱炭素化へ/西部ガスグループ

西部ガスグループは「2050年カーボンニュートラル(CN)化」を実現するため、21年9月に「西部ガスCN2050」を策定した。22年12月にはそれをより推進するため、数値目標を含む具体的な内容を明示した「CNアクションプラン」も策定し、取り組みを進めている。CNやGXの実現に向けては移行期の取り組みが重要と捉え、徹底した天然ガスシフトによる低炭素化を着実に進める。その上でメタネーション・水素利用による都市ガスの脱炭素化や再生可能エネルギーの普及拡大による電源の脱炭素化を推進する。同社グループの多様な取り組みの中から(1)地域の原料を活用したメタネーション実証(2)カーボンリデュースクラブ(3)LNG燃料船ガステスト事業――の三つの取り組みを紹介する。

○地産地消目指す、メタネーション実証事業

西部ガスはe―methane(e―メタン)導入に向けた準備として、日照条件がよい九州の地域特性を生かし、太陽光発電の余剰電力などを活用する地産地消のメタネーション実証事業に取り組んでいる。ひびきLNG基地(北九州市)に製造能力毎時12・5立方㍍のメタネーション装置を設置する。製造したe―メタンは熱量調整や付臭後、既存の都市ガスと混合して都市ガス導管で供給する計画であり、実証期間は2023年12月から26年3月までだ。

この「地域原料活用によるコスト低減を目指したメタネーション地産地消モデルの実証」は、環境省の「地域共創・セクター横断型カーボンニュートラル技術開発・実証事業(二次公募)」に採択されている。この事業には代表事業者の同社だけでなく北海道ガス、広島ガス、日本ガスなど都市ガス4社のほかに、IHI、JCCL、九州大学、日本ガス協会(JGA)、ひびきエル・エヌ・ジーの9者が参加する。

西部ガスがプロジェクト総括と実証設備の建設・運転・評価を担当。ひびきエル・エヌ・ジーは実証フィールドを提供し、実証設備の運転・評価を行う。IHIがe―メタン製造コスト最適化システムとCO2トレーサビリティプラットフォームの開発を担当し、JGAが当該プラットフォームの運用検証・評価を行う。JCCLと九州大学はCO2分離回収装置の設計・開発・実証を行う。北海道ガス、広島ガス、日本ガスの3社は、実証の成果を基に各地域での地産地消モデルを検討する。

この実証事業は地域の原料を使って低コストなe―メタンの製造を目指していることが特徴だ。e―メタンの製造コストの大部分は水素価格が占める。日照条件がよい九州は、太陽光発電設備の普及が著しい。

そのため安価な余剰電力が発生しやすく、それを活用して水電解で水素を製造する。一方、卸電力価格が上昇する夜間は水電解装置を停止し、近隣の工場から収集した副生水素をe―メタンの原料として使用することで低コスト化を図る。

もう一つの原料である二酸化炭素(CO2)は、コストとCO2排出を抑制するため近隣の工場などから排出されるCO2を液化してローリーで同基地に輸送する。さらにコストや環境負荷低減のために、同基地の熱量調整装置用ボイラーなどから排出される低濃度・高湿度の排ガスから効率良くCO2を分離・回収してe―メタンに利用する装置の開発も進める。

実証設備を設置するひびき基地は、工業地帯にあるため、周囲にはCO2を大量に出している工場が多い。将来的にメタネーション設備のスケールアップにも対応できるスペースもあり、利点が多い。

今年11月ごろにメタネーション設備に着工し、来年4月ごろに竣工予定だ。試運転後、来年6月ごろからe―メタン製造をはじめる計画になっている。

製造コストが最小となるよう時間帯別に複数の原料を組み合わせた原料調達計画や製造計画を自動立案する「e―メタン製造コスト最適化システム」も開発する。同システムを用いた低コスト化と安定供給の両立が可能かも検証する。

さらに地域原料を活用したe―メタンの環境価値を顧客に提供する手段も検証する。具体的には「クリーンガス証書制度」を活用し、原料の産地を証明する形式で管理可能なプラットフォームの構築を目指す。

西部ガスカーボンニュートラル推進部推進グループの江夏量マネジャーは「30年時点で都市ガス販売量に対するe―メタン導入量1%の業界目標を実現するには、製造コスト低減のほか、製造設備のスケールアップや、e―メタン原料の調達先の確保など解決しなければならない課題は多い。今回の実証事業で得られる知見を活かしながら、30年1%の目標をクリアする道筋を明らかにしていきたい」と話している。

○環境価値創出を代行、カーボンリデュースクラブ

西部ガスは4月1日、同社が運営し、主に中小企業の環境価値創出を代行する会員制の団体「カーボンリデュースクラブ」の対象機器を従来のボイラーから太陽光発電設備に拡大した。国が認証するJクレジット制度を活用し、顧客が削減したCO2排出量を取りまとめて、Jクレジットを創出する。顧客には削減したCO2排出量に応じた金額を還元する。中小企業からのCO2排出量削減を進めることで社会全体の低・脱炭素化に貢献する。

同社は2021年11月から小口業務用ボイラーの燃料転換促進のため省エネ由来のJクレジットを創出する「西部ガスカーボンリデュースクラブ(ボイラー)」を開始した。中小事業者は地球温暖化対策推進法(温対法)で温室効果ガス排出量の報告義務がないため、CO2排出量削減で創出した環境価値を活用する場がなく埋没していた。

また、Jクレジットを使って環境価値の売却等も可能だが、手続きに手間と費用が掛かるため、大企業に比べるとメリットが少なく、ほとんど利用されていない。

そこで西部ガスは、書類作成などの煩雑な手続きを代行し、環境価値を創出。削減したCO2排出量に応じた金額は顧客に還元し、同社が得たJクレジットは、自社の事業活動などに幅広く活用する。

このスキームを太陽光発電設備に応用し再エネ由来のJクレジットを創出するのが、「カーボンリデュースクラブ(太陽光)」だ。主な対象顧客は業務用・産業用。グループ会社の西部ガステクノソリューション(STS)が約2年前に開始したPPA(電力購入契約)を利用する既存客のほか、PPAを提案する際に付加価値サービスとして入会を勧める。

Jクレジット化する対象は太陽光で発電した電気のうち他社への売電分を除く自家消費分。固定価格買取制度(FIT)の買取価格の低下などにより、最近は太陽光発電を自家消費するメリットが増加している。

コストメリット以外に再エネ電力を使用する環境価値が含まれているが、中小企業の場合、単独ではJクレジット化が困難なため環境価値は利用されないことが大半だった。

「カーボンリデュースクラブは入会費や年会費、クレジット化に関わる費用など全て無料。手間要らずで環境貢献がPRできる。従来、Jクレジットの証書化によるコストメリットが出しにくかった小規模な設備容量のお客さまでも利益を享受できる。太陽光発電設備の普及促進と環境価値の創出で、カーボンニュートラル社会の実現に貢献したい」と西部ガス広域産業エネルギー開発部技術ソリューショングループの高橋康範マネジャーは話す。

現在、同クラブ(ボイラー)に2社、(太陽光)には5社が加入する。(ボイラー)では既に約800㌧分のCO2削減が図れており、クレジットの認証手続きを行っている。

○LNG燃料船普及に貢献、トラックツーシップガステスト事業

西部ガスはLNG燃料船の普及拡大に資するTracktoShip(トラックツーシップ)ガステスト事業を2023年10月に初実施以降、注力している。ひびきLNG基地(福岡県北九州市)から長崎市の公共岸壁「小ヶ倉柳埠頭」まで複数のローリー車を使用し、LNGを輸送。そこで福岡造船(福岡市)が同社長崎工場(長崎市)で建造した国内初のLNG燃料ケミカルタンカーに試運転(ガステスト)および燃料チャージ用にLNGを供給した。

新造LNG燃料船はLNGタンクや配管に窒素を充てんして気密試験を行う。試験後、窒素を天然ガスに置換する。その後、少しずつLNGを充てんしてタンクや配管、その他機器を均一に冷却し、最終的にLNGを充てんする必要がある。

西部ガス広域産業エネルギー開発部LNG開発グループの高田研磨マネジャーは「LNG燃料ケミカルタンカーを受注した福岡造船さまから、LNGの供給の相談を受けた。当社も初の試みだったので、供給方法や作業手順などを検討しながら実現した」と説明する。

LNGの輸送距離は約228キロ、時間は約3時間半掛かる。14㌧積のLNGローリー車延べ17台を使用し、延べ人数約60人で、約1週間作業した。ローリー、乗務員の手配や、置換用にローリーから長時間天然ガスを供給するための技術的課題のほか、長崎県庁へのLNGの貯蔵許可申請など数々の課題をクリアしたという。

同社は今年4月にも同じ福岡造船のLNG燃料ケミカルタンカー向けのトラックツーシップガステストを実施した。今年度中には、さらに2隻分のガステストも予定している。

同グループの前﨑春太氏は「初回に陸側と船側との間で、無線でやり取りしながらバルブの開閉など細かく作業した状況を手順書に落とし込んだ。その作業手順を2隻目で、ブラッシュアップしている。今後は九州管内のほかの造船事業者さまへのLNG供給を目指していく」と話している。

◆【GX特集】団体・企業のグリーントランスフォーメーションへの取り組み

都市ガス事業者だけでなく、メーカーや団体もカーボンニュートラルに取り組んでいる。

積極的な取り組みを展開する6者のメッセージを紹介する。

●水素混焼大型貫流ボイラ「Ifrit」誕生~段階的なカーボンニュートラルへの備えに~/川重冷熱工業問い合わせ営業・サービス企画部マーケティンググループ電話03-3645-8251

水素混焼大型貫流ボイラ『Ifrit』誕生

川重冷熱の水素混焼大型貫流ボイラ『Ifrit(イフリート)』は、高温・高圧の熱利用ニーズや整備途上である水素供給体制の課題を解決し低炭素化に向け段階的な準備を可能とした高効率・大容量の貫流ボイラです。

【水素混焼大型貫流ボイラIfritの特長】

(1)3モード燃焼バーナ搭載

水素とLNGの混焼モードと二つの燃料を個々に燃焼する専焼モードを切り替えることができる3モード燃焼(水素専焼・水素/LNG混焼・LNG専焼)のバーナを搭載し、混焼時は水素を熱量比0~30%までの任意の割合で利用可能としました。

水素供給開始前や供給中断時の場合にはLNG専焼モードで、少量でも水素供給がある場合にはLNGとの混焼モードで運転が可能なシステムとなっており、これらのモードは簡単な操作で切り替えが可能です。

(2)水素専焼仕様もラインアップ

水素の導入初期段階から普及後までを見据え水素専焼仕様もラインアップし、水素供給体制の進捗に合わせたカーボンニュートラルへの備えを提供します。

(3)大容量対応混焼仕様・専焼仕様とも

換算蒸発量毎時3000キロ㌘、毎時4000キロ㌘の大容量対応で、少缶設置により、工事費削減、メンテ負担軽減、省スペース設置などのメリットを提供しています。

(4)ボイラ効率98%達成

これまでのIfritシリーズ同様、高性能エコノマイザー搭載により、ボイラ効率98%を達成しました。

さらに連続PID燃焼制御・給水PID制御により、部分負荷効率も高めています。これにより燃料消費量・二酸化炭素(CO2)排出量を削減するとともに、押込送風機・給水ポンプにインバータを標準装備し、運転時の消費電力も大幅に削減しています。

※ボイラ効率条件

蒸気圧力0・49メガパスカル、給水温度15℃、吸気温度35℃

(5)高圧対応かつ安定した蒸気供給圧力

最高使用圧力3・2メガパスカルまでの高圧対応が可能で、PID制御を採用したことにより蒸気の負荷変動があっても蒸気圧力変動幅±0・005メガパスカルと安定した蒸気圧を保ちます。

(6)蒸気乾き度99・8%以上

燃費や生産品の品質に大きな影響を与える蒸気の乾き度を、蒸気の流れに旋回力を持たせる構造の気水分離器を採用したことで急激な負荷変動時においても、高い乾き度を維持します。

川重冷熱は、今後も川崎重工グループの一員として、水素利活用製品の技術開発を継続し、水素利活用製品の提供を通じカーボンニュートラルの実現に貢献してまいります。

●「GX社会を支えるコージェネレーションシステム」/コージェネレーション・エネルギー高度利用センター問い合わせ普及促進部電話03-3500-1612

2050年カーボンニュートラル社会実現に向け、最初に取り組むべき課題は徹底した「省エネルギーの推進」であると考えられます。「省エネルギー」すなわち「エネルギーの高度利用」は、現時点で即効性のある脱炭素技術で、再生可能エネルギー導入と併せて両輪で推進する必要があります。

そのような中、コージェネは、省エネの推進はもちろんのこと、天候等に左右される再エネ導入拡大に伴う電力変動を補完する調整力の提供、激甚化する自然災害に対するエネルギー強じん性向上など、喫緊の社会的課題を解決する優れたエネルギーシステムとして期待を高めています。

脱炭素成長型経済構造移行(GX)を目的とした「GX実現に向けた基本方針」(23年2月閣議決定)や「GX推進戦略」(23年7月閣議決定)においても、需要サイドにおける徹底した省エネの推進が、エネルギー安定供給の大前提と位置付けられています。

コージェネは、多様な脱炭素燃料に対応可能であり電力だけでなく熱の脱炭素も同時に達成するエネルギー変換ツールであるとともに、調整力や強じん性の強化の面でもGX社会に大きく貢献していきます。

コージェネ財団では「コージェネ大賞2024」を募集中。応募期間は7月1日~8月30日です。詳しくは財団ホームページをご参照ください。

●豊かな暮らしと地球への貢献を両立できる社会の実現に向けて/ノーリツ問い合わせ電話0120-911-026

ノーリツグループが製品や事業活動を通じて排出する二酸化炭素(CO2)は日本全体の約1・6%に及びます。ガスエネルギーを燃焼させる機器メーカーの責任として、今年2月に発表した中期経営計画「Vプラン26」では、カーボンニュートラルや資源循環促進への取り組みを最重要課題のひとつに設定しました。

2050年カーボンニュートラルの実現に向けたロードマップを策定し、まずは、30年までを「低炭素化フェーズ」と位置づけています。現フェーズでは、既存インフラの活用を想定し、エコジョーズやハイブリッド給湯システムなどの環境配慮型商品の開発・拡販を促進しています。特に、既築住宅での非エコタイプからの取り換えに向け、高効率な環境配慮型商品に、生活の悩みや社会課題を解決する機能をあわせて提案しています。

昨年には、“キレイなお湯を使いたい”、“心地よく眠りたい”などの身近な課題を解決するため、業界初のオゾン水を使った除菌機能「AQUAOZONE(アクアオゾン)」と、快眠に向けた入浴を提案する「HIITO(ヒート)」の二つの技術を搭載した給湯器「GT―C72シリーズ」を発売しました。また、コンロでは“楽しく調理をしたい”という声に応え、調理中の現在温度を見える化した独自の「温度クック機能」を搭載したビルトインコンロ「Orche」も発売しました。社会課題に寄り添う付加価値によって環境配慮型商品の価値をさらに高め、製品を通じて排出されるCO2削減に貢献していきます。

また、今後のエネルギー開発を視野に入れて、CO2排出ゼロの水素100%燃焼の給湯器の開発に成功しています。水素インフラが整ったあとの実用化に向けて、国内での実証実験や、各国のインフラ整備や規制に合わせて製品化の準備を進めています。

脱炭素型の資源循環の推進に向けては、11年からノーリツ独自モデルの給湯器リサイクル「“人に笑顔”プロジェクト」に取り組んでいます。特例子会社エスコアハーツのグループ会社であるリハーツが、ビジネスパートナーから使用済みの給湯器を回収し、福祉事業者に分解・分別を委託することで、障がい者の就労機会を創出しています。22年には給湯器リサイクル累計50万台を達成し、23年は7万台をリサイクルしました。今後も取り組みの輪を拡大していきます。

ノーリツでは、GX推進に向けた潮流を機会と捉えています。豊かで快適な暮らしを提供するとともに、持続可能な社会の構築に貢献してまいります。

●純水素型燃料電池のグローバル展開でGXを加速/パナソニック問い合わせエレクトリックワークス社電材&くらしエネルギー事業部電話06-6908-1131

パナソニックは、純水素型燃料電池事業によりGXの取り組みを強化しております。

2021年10月に5キロワット純水素型燃料電池「H2KIBOU」を発売しました。さらに22年4月には、当社の滋賀県草津拠点内にある燃料電池工場の製造部門の全使用電力を100%再生可能エネルギーと水素で賄うことを目指す「RE100化ソリューション」の実証施設「H2KIBOUFIELD」を稼働。99台の純水素型燃料電池(495キロワット)と太陽電池(約570キロワット)、蓄電池(約1100キロワット時)の三つの電池を組み合わせ、天候変動や需要変化に追従したエネルギーの地産地消の実現に向け、当社独自のエネルギーマネジメントシステム(EMS)を用いた電力需給運用の技術開発・検証を行い、燃料電池工場で使用する電力の約98%を自前で賄えることを確認できました。

国内外から900以上の企業や政府・自治体などが同施設を見学し関心を持っていただき、英国やドイツからは政府要人にも訪問いただきました。ウクライナ危機以降、この2カ国では電力料金が一時約6倍になるなど、エネルギーの価格と安定供給に課題がありました。また、現地ではカーボンニュートラルに向けた地域分散型エネルギーを導入する機運が高まっています。

そこで当社では24年度中に英国やドイツの自社拠点で概念実証(PoC)を開始する予定です。特に英国は再エネを活用したグリーン水素利活用に積極的で、導入に向けた英国政府による初期投資や水素価格に対する補助金も存在しておりRE100化ソリューションを実証するには適しています。

24年1月には英国のグレーターマンチェスター市とCN化に向けてMOUを締結しました。同市は38年までにCN達成を目指しており、グリーン水素サプライチェーンの構築が喫緊の課題となっています。今回のMOU締結により、工場や病院などに純水素型燃料電池の活用が期待されています。

パナソニックでは、純水素型燃料電池を中心としたRE100化ソリューションを強みに現地のさまざまなパートナーとGXの取り組みを加速してまいります。

●パナソニック空質空調社のGXの取り組み/パナソニック空質空調社問い合わせ住宅システム機器事業部日本事業ビジネスユニット特販営業部電話03-5470-2355

パナソニックグループは、「より良いくらし」と「持続可能な地球環境」の両立に向け、長期環境ビジョン「PanasonicGREENIMPACT」を掲げ、2030年までに自社の事業に伴う二酸化炭素(CO2)排出量を実質ゼロに、また50年に向けては、現時点の全世界の排出総量約330億㌧の「約1%」にあたる3億㌧以上の削減貢献インパクトの創出を目指し、事業活動に取り組んでいます。

当グループは、工場で製品を生産する過程などの事業活動を通じて年間約220万㌧ものCO2を排出しています。当社製品使用時の消費電力によるCO2排出量は年間約8600万㌧と試算されます。それらを含めた自社バリューチェーン全体で排出されるCO2はおよそ1・1億㌧もの膨大な量です。私たちは、この現実に真摯に向き合い、まずは30年までに全事業会社のCO2排出量を実質ゼロにします。

さらに、自社バリューチェーン全体のCO2排出をゼロにするためには、製品の省エネ化だけでなく、再生可能エネルギーへの移行やCO2削減につながる製品やソリューションの提供が必要です。これらの取り組みは、一般の生活者に負担を強いることなく、豊かな生活を送りながら社会のCO2削減に貢献することを目指しています。その取り組みとして、ペロブスカイト太陽電池や純水素型燃料電池などの製品・技術を活用して社会のエネルギー変革に貢献しています。

また、サーキュラーエコノミーにも注力し、資源効率の向上や地球上の天然資源の消費削減に取り組んでいます。循環型モノづくりの進化やサーキュラーエコノミー型事業の創出に取り組み、お客さまやパートナーと協力して循環志向の経営や製品使用の新しいあり方を実現しています。これにより、持続可能な社会の実現に貢献するとともに、地球環境への負荷を減らすための取り組みを行っています。

空質空調分野では、将来、空調・換気機器のCO2排出量が増加すると予想されます。環境変化に対応するため、省エネ化と室内空気の質のトータルコーディネートを進めます。空質空調社として、30年までにCO2排出量を約40%削減し、20年のレベルに抑えることを目標にしています。空調の温度調節と熱交換気扇を連携運転させるとともに、各種システムの融合やセンサーによる最適な制御運転を行い、エネルギーロスを可能な限り小さくします。

「ガス温水式浴室暖房乾燥機連動タイプ熱交換気システム」は、浴室換気時、熱交換気ユニットの排気量を自動で抑え給気と排気のバランスをコントロールすることで、隙間からの外気侵入を低減するシステムです。室内への花粉の侵入を低減するとともに、換気により失う熱エネルギーを回収し、外気を室温に近づけてから取り込むことで、快適性・省エネ・CO2削減に貢献します。

私たちは、今後もグループ一丸となり環境取り組みを加速していきます。

●カーボンニュートラル社会実現のためさまざまな取り組みを推進しています。/三菱化工機株式会社問い合わせ企画部広報・CSR課電話044-333-5377

脱炭素化に貢献する水素エネルギー社会の実現に向けて、水素を「つくる・ためる・はこぶ・つかう」の各技術開発の推進は不可欠です。これまで三菱化工機、那須電機鉄工、日本フイルコンの3社は水素吸蔵合金配送システムの開発を共同で進めてまいりました。水素吸蔵合金配送システムとは、製造した高純度の水素を専用のタンクに貯蔵し、電気を必要とする利用先まで運搬後、水素を再び取り出し、燃料電池を使って電力を供給・利用する一連のプロセスです。本システムは、水素の貯蔵や運搬が容易なことから、災害時やイベント時など、比較的小規模かつ場所や使用期間が固定されない場所での電力供給に大きな優位点があります。今後3社は、実証実験を重ねると同時に、商業利用の可能性をさらに追及していくことで、水素エネルギーを活用した持続可能な社会の実現に向けて協働してまいります。

さらに、トヨタ自動車および豊田通商と、タイのカーボンニュートラル実現に貢献すべく鶏糞や廃棄食料由来のバイオガスから水素を製造する装置を納入しました。本装置は、当社の保有する水蒸気改質法による水素製造技術に、現地事情を加味した設計変更を加えるとともに、各社およびそれぞれの現地事業体との強固な連携により、2023年11月からタイ現地における水素を「つくる・ためる・はこぶ・つかう」ことの実証を開始することができました。今後も、タイでの脱炭素社会実現を目標とした種々の実証に本装置を活用していく予定です。

国内でも、日本製鉄様より、製鉄プロセスにおけるカーボンニュートラルの実現に向けて、水素還元製鉄実証用水素製造設備「ICI式水素製造設備」を受注しました。これにより製鉄プロセスにおいて排出する二酸化炭素(CO2)を最大50%以上削減することを目指しています。これまで鉄鋼の製造にあたっては、主に炭素(コークス)を用いて鉄鉱石を還元する方法が用いられてきましたが、この製造過程では大量のCO2の排出が避けられず、これを削減するために製鉄プロセスの抜本的な転換が求められています。製造過程でのCO2削減につながる新たな方法として、鉄鉱石の還元に炭素ではなく水素を用いる水素還元製鉄という技術が期待されています。当社は、1964年に天然ガス等を原料とする水素製造装置の国内1号機を手掛けて以来、約60年にわたる納入実績があります。今後も当社は、水素関連技術を通じてクリーンエネルギーの促進に努め、さらに水素サプライチェーンに係る製品の開発を推進してまいります。

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