GENIX-CN70

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7月12日終値

7月12日 GENIX-CN70は3週連続で上昇し、先週に続き2週連続で指数算出以来の最高値を更新した。日本酸素、岩谷産業、栗本鉄工、前澤工業などが本年高値を更新した。
市況情報

 中東産LPGの日本向け長期契約価格(サウジCP)7月分は、プロパンが6月分と同値の1㌧当たり580㌦、ブタンも6月分と同値の565㌦となった。

 原油市況はこのところ1バレル80㌦台で堅調に推移する一方、中国向けなどLPGの需要は落ち着いているもよう。米国プロパンガス市況も1㌧400㌦をはさんでのもみ合いが続いている。

 なお、中国に次ぐ世界第2位のLPG輸入国インドで総選挙が行われ、このほど与党の勝利が明らかになった。同党はLPG普及政策を強力に推進してきた経緯があり、LPGの国際需給に影響を与えうるとして選挙結果が注目されていた。

 (2024年7月1日配信)

【過去解説記事】

 14日東証 GENIX-CN70は前週末比0.94ポイント高の192.96と2週間ぶりに反発した。指数構成銘柄ではK&Oエナジーグループ、三菱重工業、伊藤忠が上場来高値を更新したほか、岩谷産業、関西電力、東邦ガスなど大手電力・ガス株も根強く物色された。

 K&Oエナジーの株価は今年大きく値上がりし、11日の上場来高値4230円は昨年末終値2041円から2倍を超える上昇になっている。同社は千葉県で天然ガス・ヨウ素を産出しており、ヨウ素が次世代太陽光(ペレブスカイト太陽電池)の材料となることから注目を浴びているようだ。

 経済産業省が5月29日、第1回「次世代型太陽電池の導入拡大及び産業競争力強化に向けた官民協議会」を開催したことも手掛かり材料になっている。同協議会では日本が先行するペレブスカイト太陽電池の普及促進を目指している。日本のヨウ素生産量は世界第2位であり、エネルギー安全保障の観点からも期待が大きい。また、今週は米国でスタートアップがペレブスカイト太陽電池の工場を新設するとの報道も関心を集めたようだ。さらに、同業の伊勢化学工業の株価が昨年末の8590円から、本日の最高値40500円まで実に4.7倍となる大相場を演じていることも刺激になっている。

(2024年6月14日配信)

 米国で天然ガス先物価格(ヘンリーハブ=HH)が上昇している。6月11日の期近終値は百万BTU(英国熱量単位)当たり3.129ドルと、今年1月12日の3.313ドル以来、5カ月ぶりに3ドル大台に乗せた。2~3月には1.5ドル台の安値を付けていた。また1年前のこの時期は2ドル台半ばで推移していた。

 最近の市況動向についてJOGMEC調査部白川裕調査役は、「市況低迷時に掘削井が絞られた影響で、ガス生産量がジワリ減少している。そこに米国南部を中心とした記録的な猛暑による発電用ガス需要増が加わった」と指摘する。また、当面の値動きについては、「ガス発電用の需要は既に限界に達しているため、先物価格がこの先もさらに大きく値上がりする展開は想定しにくい」としている。

(2024年6月13日配信)

 6月7日東証 この週の東証株価は高値圏で伸び悩み、7日の東証株価指数(TOPIX)終値は前週末比0.6%値下がりした。GENIX-CN70も上値が重く2週間ぶりに反落し、前週末比1.9%の下落となった。

 GENIX-CN70構成銘柄の足取りは総じて重いが、その中で異彩を放つ逆行高を演じたのがデンヨーだ。同社は量産型燃料電池式可搬形発電装置を開発するなど水素関連ビジネスを手掛けている。

 同社株価は2020年9月と同年11月に付けた2600円台の高値を一気に払い、2700円台半ばに到達した。約1カ月間で株価は2割を超える上昇となったが、業績は好調で株価指標面に割高感は乏しいと見られる。「チャート上の節目を突破してきたことで、目先妙味が膨らんでいる。また同社は可搬型、非常用発電機を手掛けており、梅雨入りを前に防災関連の切り口にも関心が向いている」(市場関係者)。日本ではゲリラ豪雨が頻発化しているが、同社が強みとする北米ではこの時期ハリケーンの多発が警戒されている。シーズン性を発揮する場面も期待されているようだ。

(2024年6月7日配信)

 中東産LPGの日本向け長期契約価格(サウジCP)6月分は、プロパンが1トン当たり580ドルと前月分と同値だった。ブタンは前月比20ドル値下がり(下落率3・42%)して565ドルとなった。ブタンは3カ月連続で下落した。

 先週の米国プロパンスポット市況(MB)はトン当たり400ドル前後で推移。原油先物市況(WTI)は足元の堅調な在庫状況や長期金利の高止まりなどを受けて、1バレル70ドル台後半では上値が重くなっている。

(2024年6月3日配信)

 5月31日東証 GENIX-CN70は3週間ぶりに最高値を更新した。次世代太陽光発電(ペレブスカイト)関連として注目されるK&Oエネジーが一時未踏の4000円台に乗せたほか、栗本鉄工は18年ぶりの5000円台、川崎重工は9年ぶりの6000円台、ENEOSは6年ぶりの800円台となるなど大台替わりが相次いだ。北海道電力、九州電力などの電力株や、商社、海運株なども根強く物色されている。

 三浦工業が急伸し、およそ3カ月ぶりに本年高値を更新した。同社は5月30日、ダイキンと業務資本提携すると発表。工場向けに空調や蒸気ボイラ、水処理システムなど熱・空気・水に関するトータルソリューションをワンストップで提案する。それぞれの強みを生かして工場のカーボンニュートラル化のニーズに応える。三浦工業は国内の工場に、ダイキンは海外に強固なネットワークを有しており、市場はメリットを発揮しやすい組み合わせと受け止めているようだ。また、ダイキンは三浦工業の発行済み株式4.67%を三浦工業の自社株から購入する。三浦工業はその売却代金でダイキン子会社の株式49%を取得する。株式価値の希薄化や当面の株式需給悪化を招かない資本提携スキームも好感されたようだ。関連記事(https://www.gas-enenews.co.jp/gijutsu-shinseihin-hoan/40495/

(2024年5月31日)

 米国の天然ガス市況が上昇している。ヘンリーハブ(HH)先物期近価格は5月23日、百万BTU(英国熱量単位)当たり一時2.9ドル台に上昇した。3ドルは今年1月以来となる高値水準。「米国ガス市況は2~3月に1ドル台半ばまで大きく下げた経緯があり、その際に生産リグの稼働台数が削減された。その影響がここにきて出始めている」(JOGMEC調査部白川裕調査役)という。また、米国南部を中心にこの夏の気温が高めになるとの予報や、米フリーポートLNG輸出プロジェクトが本格生産に復帰したことなども材料視されているという。

(2024年5月24日配信)

 5月17日 GENIX-CN70は前週末比2.35ポイント安の192.12と4週ぶりに下落した。総じて利益確定売りに押される展開となったが、その中で13日に決算を発表した岩谷産業、14日に決算・大規模な自社株買いを発表したENEOSの株価が急伸した。どちらも一時本年高値を更新するなど人気付いた。

 岩谷産業の決算について市場関係者は、「前期実績も今期予想も2桁増益の好決算。ただ今期の配当金予想額が据え置かれたため、株価は急伸後伸び悩んだが、持分法対象のコスモエネルギーの寄与分も見込め、今後増配期待から見直される可能性がある」とする。

 ENEOSの自社株買いは上限が発行済み株式総数の2割強におよぶ大規模なもので、市場にサプライズを与えた。「経営陣の資本効率・株主還元への意識の高さを感じる内容。大型投資がなく、JX金属がIPOに向けて資産売却を進める中、財務体質が良好になっていることが背景にある」(大手証券アナリスト)と見ている。

(2024年5月17日)

 GENIX-CN70は10日、前週末比2.33ポイント高い194.47ポイントと3週連続で値上がりし、前週に続いて過去最高値を更新した。

 指数構成銘柄では大阪ガス、北海道ガスなどが過去20年来の高値を更新。大阪ガスは8日発表の自社株買いが好感されている。「3月発表の中期計画で株主資本配当率に基づく増配方針が打ち出されたばかりの株主還元策で、サプライズとして受け止められた」(アナリスト)。北海道ガスは4月30日発表の株式分割(1対5)や今期実質増配を手掛かりに人気化している。PBRは0.8倍台に上昇し、課題の1倍割れ解消が現実味を帯びてきた。

 岩谷産業も急伸し、4月に付けた最高値9311円を射程に捉えてきた。同社の3月期決算は5月13日午後2時半に発表予定だが、同社がさきごろ筆頭株主となったコスモエネルギーホールディングスが昨日決算発表を行い、堅調な業績と自社株買い、年間300円配当を維持する方針が明らかになった。コスモエネの株価は本日、一気に高値を更新、岩谷産業の株価支援材料になっている。

(2024年5月10日配信)

  中東産LPG日本向け長期契約価格(サウジCP)5月分は、プロパンが1㌧当たり580ドルと前月比35ドル下落した(下落率5・69%)。値下がりは4月分に続いて2カ月連続。

  ブタンは前月比35ドル値下がりして(下落率5・65%)1トン当たり585ドルとなった。ブタンも2カ月連続で下落した。

(2024年4月26日配信)

 中国税関が18日に発表した3月のLNG輸入量は前年同月比24・1%増の665万㌧となり、3月としては2021年の564万㌧を上回り3年ぶりに過去最高を更新した。1~3月の累計輸入量は同20・4%増の1985万㌧と、年間輸入量が過去最高だった21年同期を0・8%上回った。

 今年第1四半期の国内総生産は5・5%増と昨年第4四半期の5・2%増を上回った。輸出産業を中心に二酸化炭素排出削減のためのガスシフトも進んでいる。同期間のLNGスポット市況が前年同期を4割下回るなど割高感が薄れたことも需要喚起につながったようだ。今後の見通しについてエネルギー・金属鉱物資源機構調査部竹原美佳部長は、「国際市況はこのところ上昇に転じており、LNGスポット調達は目先一服しそうだが、地方政府のガス火力建設推進や船舶燃料のグリーン転換などもありガス需要そのものは高まる方向」としている。

(2024年4月18日配信)

 東証4月12日 東京ガスの株価が一時前日比54円高の3899円と前日に続いて上場来高値を更新した。同社株は今週に入って騰勢を強め、年初からの株価上昇率は20%に達した。3月中旬、大阪ガスの時価総額が一時、東京ガスを逆転したが、東京ガスが再び首位に立ちリードを広げている。4月19日に全国知事会が東京ガス横浜ステーションを視察し、e‐メタン製造実証の説明を受ける予定となっている。カーボンニュートラルに向けた同社の技術力に注目が集まりそうだ。株価上昇により、株価純資産倍率(PBR)は0.94倍へと上昇。1倍乗せが視野に入ってきた。

 都市ガス株では、北海道ガスの株価も上昇基調にあり、この日も前日マークした上場来高値2960円まで一時買い進まれる場面があった。年初からの上昇率は34%に達するが、同社株のPBRはいまだ0.7倍台にとどまり、依然割安感が漂う。北海道では半導体工場の新設で電力消費の大幅な伸びが予想され、北海道電力の株価もこのところ大幅に上昇している。

(2024年4月12日配信)

 4月3日 米原油先物(WTI)は前日比28セント高の85.43ドルと3日続伸、本年の高値を更新した。ウクライナによるロシア主要製油所への無人機攻撃や、イラン大統領によるイスラエルへの報復表明など地政学的リスクの高まりが背景にある。また週間統計で米国原油在庫が前年同期比18.5%減と減少が目立ったことも材料視されている。

 注目されたOPECプラス合同閣僚監視委員会は、生産目標維持を決定。また、米連邦準備理事会パウエル議長は講演で利下げを急がない姿勢を示したとされる。三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部・芥田知至主任研究員は、「中東、ウクライナ情勢は今後一段と動向が注視される。また、米金融政策、中国当局による経済運営、産油国の生産方針なども引き続き注目される。ただ、米中の景気は石油需要を上振れさせるほどには強くないとみられ、相場の上昇傾向を決定づける材料は出にくいと思われる。相場は再び一進一退の推移となりやすい」と指摘。もっとも、今年後半にかけて米利下げを受けてドル安が進む展開となれば、ドル建ての原油価格には割安感が生じ上昇圧力がかかりやすくなるとし、今年度は1バレル95ドル程度の上値が見込めるとしている。

(2024年4月4日配信)

 GENIX-CN70は年度内最終売買日となった3月29日、前週末比0.55ポイント上昇し189.41と、2週続けて最高値を更新した。3月末割り当てで1対10の大幅な株式分割を実施した三菱重工業は権利落ち後も堅調で、修正株価は連日の最高値となった。GENIX-CN70構成銘柄では他に理研計器が1対2、川崎汽船が1対3の株式分割を3月末割り当てで実施した。

 岩谷産業の株価が3連騰で、連日の上場来高値更新。3月28日にコスモエネHD株式を追加取得し、持ち分法適用会社にしたと発表したことが材料視されている。コスモエネの今期純利益予想は780億円、岩谷産業は335億円。持ち分比率2割相当の利益が来期以降、上乗せされるインパクトの大きさが期待されているようだ。また、会社側は本件株式取得に要する資金を借り入れで賄うとしており、「増資による一株当たり利益の希薄化が回避される見通しになったことも好感されている」(国内証券調査部)という。

(2024年3月29日配信)

 米国3月26日、米パイプラインガス(ヘンリーハブ=HH)先物価格が終値で5日続落し、百万BTU(英国熱量単位)当たり1.575ドルに下落。2月20日に付けた本年安値1.576ドルを1カ月ぶりに割り込んだ。ザラ場安値は1.4㌦台まであった。

 米エネルギー情報局(EIA)が3月21日に発表した週間データによると、米国の地下ガス在庫量は3月15日時点で前年比21%増、過去5年間の平均値に対しては41%上回っている。エネルギー・金属鉱物資源機構・白川裕調査役は、「気温が上がり需要が低下して、在庫がさらに積み上がったことと、生産がすぐには低下しないことが主要因」と指摘する。こうした在庫の荷余り感が先物市況の上値を重くしているようだ。

 HH先物価格の過去15年間の値動きを振り返ると、期近先物価格が1ドル台まで下落した年は2012年、16年、20年の3回あり、当該年の安値形成月はそれぞれ、4月(1.9ドル)、3月(1.6ドル)、6月(1.4ドル)となっている。春に安値を付ける習性と、この間の価格水準が切り下がる傾向が見て取れる。

(2024年3月27日配信)

 3月22日、ガスエネ株価指数カーボンニュートラル70(GENIX‐CN70)は2週間ぶりに過去最高値を更新した。GENIX‐CN70構成銘柄はほぼ全面高となり、K&Oエナジー、三菱重工、岩谷産業、大阪ガスなどが最高値を更新した。

 なお、三菱重工(1株→10株)、理研計器(1株→2株)、川崎汽船(1株→3株)は3月28日付で株式分割の権利を落とす。株式分割のメリットとしては、単位投資額の引き下げによる投資家層のすそ野拡大、流動性の向上などが指摘される。昨年以降で、株式分割を実施したリンナイ、NTT、三菱商事、京セラは、権利落ち後も堅調な値動きを保っている。

(2024年3月22日配信)

 3月15日 ENEOSHD(GENIX―CN70構成銘柄)の株価が朝方から買い進まれ、5年3カ月ぶりに700円台に乗せてきた。他にもINPEXや石油資源開発、コスモエネルギーHDなどの石油関連株、資源高が利益に結び付く商社株も軒並み値上がりしている。コスモエネルギーは国内大手証券が投資格付けを引き上げたことも好感され、株価は上場来高値を更新した。

 株式市場は、米原油先物(WTI)が14日、期近4月渡し終値で1バレル81.26ドルと続伸し、昨年11月6日の80.82ドル以来の80ドル台乗せとなったことを材料視しているようだ。国際エネルギー機関(IEA)が同日公表した市場レポートでは、今年の石油需給は供給不足になるとの予測が示されている。産油国の自主減産延長による供給減や、紅海におけるタンカー襲撃で海上輸送距離が延びておりバンカー燃料の需要増加を織り込んだという。もっとも原油市況は過去1年余りにわたって、おおむね70ドルから80ドルのレンジで推移しており、80ドル台では上値の重さも意識されそうだ。

(2024年3月15日配信)

 3月8日 大阪ガス(GENIX CN‐70構成銘柄)の株価が前日比153円高の3350円で寄り付き、直後に230円高の3427円まで上昇。1月11日に付けた上場来高値3242円を一気に更新した。同社は7日、3カ年中期経営計画を策定し、配当を原則減配せず維持または増配する累進配当制度を導入すると発表し、好感された。

 2024年3月期の配当金は前期比12円50銭増配して72円50銭(従来予想65円)に、25年3月期は95円を目指す方針も示した。株主資本配当率を3%とする方針を掲げ、機動的な自己株取得も検討するとした。この他、自己資本利益率(ROE)の目標は26年度に8%程度、投下資本利益率(ROIC)は5%程度を目指す。「株価を意識した経営姿勢に変化していると株式市場が受け止めており、都市ガス株の中でも相対的な値上がりが目立ってきている」(中堅証券)という。この日前場終値での時価総額は、大阪ガスが1.43兆円、東京ガスは1.41兆円となり、大阪ガスが東京ガスを逆転した。

(2024年3月8日配信)

 2月22日 東証では朝方から買いが先行し、日経平均株価は大幅に反発した。終値は初の3万9000円台で、1989年12月以来の史上最高値更新となった。注目された米エヌビディアの決算が市場関係者の事前予想を上回り、3連休控えにもかかわらず、マーケットのセンチメントは強気に傾いた。半導体関連株をリード役に、主力株を中心に幅広く買い進まれた。

 GENIX‐CN70構成銘柄も軒並み上伸した。三菱重工業が上場来高値を更新し、日本酸素HD、川崎汽船は最高値をうかがう動き。原油市況の上昇を背景に石油資源開発など石油関連株も値上がりした。

(2024年2月22日配信)

 米国パイプラインガス市場価格(ヘンリーハブ先物)が2月15日、8日連続安となり、百万BTU(英国熱量単位)当たり1.5㌦台まで下落、2020年6月以来の安値水準となった。在庫の積み上がりが背景にあるという。

 エネルギー・金属鉱物資源機構の白川裕調査役は「原油市況が1バレル80㌦弱と堅調なことから、パーミアン盆地を中心にシェールオイルの生産が盛んで、随伴ガスの生産量も増えている。気温が高めに推移していることもあり、地下在庫は過去5年間の最高水準に到達している」と指摘。

 先物市場の中心商いが春の需要閑散期に移りつつあることから、市況は当面弱含みで推移しそうだ。
(2024年2月16日配信)

2月12日 米国で天然ガス市場価格(ヘンリーハブ先物価格=HH)が5日続落し、期近終値は百万BTU(英国熱量単位)当たり1.768ドルに下落した。1.7ドル台は2020年7月以来の安値となる。市中在庫が高水準にあり、市場のセンチメントを圧迫している。

HHは昨年11月以降、3ドルを割り込むなど市況の低迷が続いているが、生産量が落ち込む兆しはいまだ見えないという。エネルギー・金属鉱物資源機構の白川裕調査役は「原油市況が1バレル80ドル弱と堅調に推移していることから、オイルリッチなパーミアン盆地を中心に油狙いの生産が盛んになっている。このため副産物であるガスの生産も増加している」と指摘する。

(2024年2月13日配信)

米国市場でガス市場価格(ヘンリーハブ先物価格)が続落している。7日に心理的な下値めどと見られていた百万BTU(英国熱量単位)当たり2ドルを割り込むと、8日終値は一段安となり1.917ドルまで下落した。およそ3年5カ月ぶりの安値水準となる。

市況下落の背景には、マーケットの荷余り感があるようだ。「このところの気温上昇で暖房用需要が低下しており、地下在庫量は過去5年間の上限レベルに到達している。当面は上値の重い展開が続きそうだ」(エネルギー・金属鉱物資源機構・白川裕調査役)。

ヘンリーハブ価格の下落に伴い、米国産LNGの輸出価格も低下しており、現状は世界の主要輸出国の中でも最も安価な水準となっている。

(2024年2月9日配信)

2月6日 東証後場 三菱重工業の株価が昨日の1万円初登頂に続いて一段高となった。この日午後、同社は3月末割り当てで株式1株を10株に分割すると発表。合わせて発表された今2024年3月期第3四半期連結決算は、売上高が前年同期比11%増、純利益は同倍増となるなど好調ぶりが明らかになった。通期の受注見通しを6兆円とし、従来予想に4000億円上積みした。これら大幅な株式分割と好調な業績動向が素直に好感され、買いが買いを呼ぶ好循環となっている。

同社株は1年前の2月には5000円前後で推移しており、そこから株価水準はちょうど2倍になっている。

(2024年2月6日配信)

1月31日 サウジアラムコがこのほど日本のLPガス輸入事業者に通知したプロパン2月分出荷価格(サウジ2月CP)は、前月比10ドル値上がりして630ドルとなった。値上がりは昨年8月分(470ドル)以降、12月分の変わらずを挟んで8カ月連続。

LPガス市況に影響する原油市況が、12月初旬を底に水準を切り上げているほか、世界最大のLPガス輸出国である米国において、プロパン在庫の取り崩しが進み、市況が上昇したことが背景にある。米国ではLPガスの一大輸出地域であるメキシコ湾で濃霧が観測されており、輸出作業への影響も警戒されたという。サウジCP2月ブタンも、前月比10ドル値上がりして640ドルとなった。

(2024年2月1日配信)

1月26日GENIX-CN70は前週比0.64ポイント値上がりして169.36ポイントとなった。7週間連続の上昇で、3週続けて統計開始来の最高値を更新した。一方、東証株式市場全体としては、このところの上げピッチの速さから利食いが広がり、東証株価指数(TOPIX)は7週ぶりに値下がりした。

GENIX-CN70の構成銘柄で値上がりが目立ったのは、25日に2023年12月期決算を発表したHIOKI。24年12月期も増収増益を見込み、配当金を年200円に連続増配する方針が好感されたようだ。

このほか、三菱重工業、三菱化工機が高値圏で頑強な値動き。SMBC日興証券が目標株価を引き上げたウエストホールディングスも下値を切り上げている。

(2024年1月26日配信)

 欧州パイプラインガス先物価格が17日、百万BTU(英国熱量単位)当たり8ドル台まで下落し、昨年8月以来の安値水準となった。北東アジアLNGスポット価格も続落しており、17日は昨年6月以来の9ドル台を付けている。先物の決済期日が2月から3月に移り冬場の需要期を過ぎることで、足取りが弱くなっている。昨年の安値は欧州ガス先物価格が7ドル台、スポットLNGは8ドル台だった。

 当面の市況動向についてエネルギー・金属鉱物資源機構の白川裕調査役は、「カタールから欧州にLNGが年間1500万トン供給されており、スエズ運河の通航リスクが警戒されているものの、それでも欧州の在庫水準が依然として高いため、中東からの輸送に支障が生じても当面の供給は何とかなると見られている。昨年10月から輸出を再開したエジプトLNGもまだ量は少ないとはいえ心理的な支えになっている。不需要期の相場は数年前なら3~4ドルもありえたが、安価になったスポットLNGを中国が仕込む動きも見られるため、今回はそこまで下がらないだろう」とする。また、「足元のスポット需要は弱いが、供給力に余裕があるほどの状況でもない。幸いにして供給設備のトラブルは昨年から起きていないが、いつ起きても不思議はない。先行きを楽観視するわけにはいかない」と指摘する。

(2024年1月18日配信)

東京株式市場は年末・年始と値上がり基調を強めており、GENIX-CN70も12月15日から1月12日終値まで5週連続で上昇した。1月12日の終値は167.67ポイントとなり、昨年9月15日にマークした指数算出以来の最高値165.83ポイントを4カ月ぶりに更新した。

GENIX-CN70構成銘柄では、商社株の値上がりが目立ち、伊藤忠商事、住友商事が最高値を更新。海運株も高値圏でしっかり。個別銘柄では、三菱重工業、愛知時計電機が最高値を付けた。本日午前、2024年8月期第1四半期決算を発表し、大幅な増収増益が確認されたウエストホールディングスが急伸した。

(2024年1月12日配信)

中東産LPGの日本向け長期契約価格(サウジCP)1月分は、プロパンが前月比10㌦高い1トン620㌦。ブタンも同じく10㌦値上がりして630㌦となった。小幅高ながら、極東マーケットは足元で強弱感が交錯しており、先行きの方向感は乏しい状況。米国のプロパンスポット市況(モントベルビュー)は12月分が1トン357㌦と、前月から約25㌦値上がりした。依然として近年の安値圏での値動きではあるが、市中の在庫水準は過去5年平均並みまで減少しており、底堅さも見られる。

(2024年1月10日配信)

1月5日 2024年の年明けの東京株式市場は、能登半島地震を受けて4日の大発会は売り物先行でスタートしたが、新NISA開始に伴う投資資金流入などによる先高期待から押し目買いが優勢となり、結局、東証株価指数(TOPIX)は4日、5日と続伸した。

GENIX-CN70も12月最終週に続いて上昇し、5日終値は164ポイントと、5週ぶりに160ポイント台を回復。昨年9月15日にマークした最高値165.83に急接近した。指数構成銘柄では、大阪ガスが大幅高となり、5日に一時3111円まで上昇。12月13日に付けた最高値3077円を上回った。4日以降終値ベースでも初めてとなる3000円台を維持している。このほかでは、海運株が人気を集めており、日本郵船、商船三井が最高値を更新した。

(2024年1月5日配信)

12月29日 東京証券取引所最終売買日(大納会)は、今年1年の相場を象徴するような堅調な展開だった。その中でGENIX-CN70は前週に続いて上昇し、3週連続高で今年を締めくくった。GENIX-CN70の年間騰落率はプラス25%となり、東証株価指数の上昇率と互角の好成績だった。

GENIX-CN70構成銘柄の中で値上がりが目立ったのは、川崎汽船、日本酸素、栗本鉄工、愛知時計電機、関電工など。一方、不調だったのは、イーレックス、レノバ、テスHD、ウエストHDなどだった。なお12月末割り当てで、京セラが1株を4株、三菱商事は1株を3株に株式分割した。GENIX-CN70もこれに合わせて、株式分割の影響を考慮した修正株価指数を算出している。

(2023年12月29日配信)

12月22日 GENIX-CN70は前週に続いて上伸した。全般は高安まちまちだが、値がさ株の海運3社(日本郵船、商船三井、川崎汽船)がそろって本年高値を更新し、CN70を押し上げた。また、工場新設で恩恵を受ける理研計器が12月20日上場来高値を更新した。

海運株が動意付いたのは先週末。紅海で武装組織による商業船への攻撃が相次いだことで、海運会社がスエズ運河の航行を見合わせ、迂回経路による輸送距離の延長などで海運市況が上昇するとの思惑が働いた格好。海運株はコロナ禍前後の市況高騰局面で株価が5倍以上に跳ね上がっており、その記憶がまだ新しいだけに思惑が先行しやすいようだ。

(2023年12月22日配信)

12月15日 GENIX-CN70は3週ぶりに反発した。指数構成銘柄では、理研計器の株価が13日に上場来高値を更新。大阪ガスも同日最高値を更新し、未踏の3000円台に一時到達した。

岩谷産業の株価はコスモエネルギーホールディングスの筆頭株主になると発表した12月1日以降、大きく値下がりしたが、15日終値は7日ぶりにプラスに転じた。

14日に一時5996円まで下げ、4月初旬以来8カ月ぶりとなる6000円大台割れを見たことで、値ごろ妙味が台頭したようだ。9月高値からこの安値までの下落率は26%に達し、一株当たり純資産5249円も意識される水準となっていた。チャート面から当面の戻りめどを探ると、25日移動平均線の6866円、9月高値から直近安値までの下げ幅の半値戻し6770円など、6800円あたりが意識されそうだ。

(2023年12月15日配信)

12月13日 GENIX-CN70構成銘柄の大阪ガスが4日続伸し、一時3077円の高値を付けた。3000円台に乗せたのは上場来初。12日大引け後に、日本経済新聞が「伊藤忠と大阪ガス、世界最大級の水素生産に最大4割出資」と報じ、これを材料視する買い注文が朝方から集まった。

株価は11月初旬、自社株買いの発表を契機に大きく上放たれ、過去16年来の上値抵抗線となっていた2600円前後の節を突き抜けてきた直後とあって、しこり感のないチャート妙味も好感されているようだ。

12日に発表された欧州の水素企業Everfuelのニュースリリース

(2023年12月13日配信)

12月8日 GENIX-CN70は前週に続いて下落した。急速な円高進行や世界的な景気減速懸念を受けて、東京株式市場はこの日、ほぼ全面安となった。GENIX-CN70構成銘柄にも利益確定の売りが先行した。中でも、原油先物市況の下落を受けて、石油、造船、商社、海運株などが大きく値を下げた。

12月1日引け後にコスモエネルギーホールディングス株式大量取得を発表した岩谷産業は、週明け4日から株価が大きく下げ、発表前の終値7141円から8日安値6388円まで5日間で10%を超える下げとなった。9月の本年高値8040円からの下落率は20%に達している。アナリストからは「コスモエネ株取得に1千億円を超える大金を投じることについて、どのようなリターンを見込んでいるのか、できる限り定量的な説明が欲しい。株価の下げは合理的な反応。投資家は追加情報を待っている」との声が聞かれる。コスモエネ株が取得価格を割り込んでいることも嫌気されているようだ。

(2023年12月8日配信)

米原油先物価格(WTI)は12月6日、前日比2.94ドル安の69.38ドルと5日連続で値下がりした。節目と見られた1バレル70ドル台を5カ月ぶりに割り込んだ。9月に付けた本年高値93.68ドルからの下落率は26%に拡大するなど下値を模索する動きとなっている。

注目された11月30日のOPECプラス会合は、各国から自主減産(来年1~3月期に日量約220万バレル)が発表されたものの、想定の範囲内と受け止められたようで、相場の下落基調を反転させるには至らなかった。

相場が弱含んでいるのは、世界的な景況悪化に伴う需要減少への警戒があると見られる。「不動産不況が続く中国経済の停滞や、ここまでの利上げで減速が見込まれる米国景気などを考慮すると石油需要は伸び悩み、自主減産してもなお需給は引き締まらないのではないか」(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部芥田知至シニアアナリスト)との指摘がある。当面は今週末発表される米雇用統計をはじめ、主要な経済指標を横目にみながら神経質な値動きが続きそうだ。

(2023年12月7日配信)

12月1日 岩谷産業(GENIX‐CN70構成銘柄)はこの日、コスモエネルギーホールディングスの株式を追加取得すると発表した。旧村上ファンド系と見られる既存株主から計約1740万株を1053億円で取得する。取得済みの持ち株と合わせた保有比率は19.93%となり、同社の筆頭株主になる。

1株当たりの取得価格は約6051円で、この日の東証終値5616円を約8%上回るが、価格の算定根拠については明らかにしていない。今後については、「より一層連携を深め、新たなシナジーを創出する」としているが、具体的な方向性はまだ示されていない。また、今3月期連結業績への影響については「精査中」としている。

サウジCP12月分は、前月と同価格の1バレル610ドル、ブタンも変わらずの620ドルとなった。

(2023年12月1日配信)

11月24日 東京証券取引所で三菱重工業(GENIX‐CN70構成銘柄)の株価が前日比529円高と大幅続伸し、およそ2カ月ぶりに8800円台まで水準を切り上げた。

同社は11月22日に防衛事業説明会を開催し、来年度からの3カ年は防衛力整備計画の大幅な拡充を受けて同社の事業規模は2倍以上になると発表した。過去長期にわたり同事業規模は5,000億円弱で推移していたが、来年度からの3カ年は1兆円規模になるとした。祝日をはさんでこの日は朝方から買いが先行、業績拡大への期待感を織り込む動きを見せた。株価が1万円に近づいていることから、株式分割を催促する値動きにも映る。

ガスエネルギー新聞が注目する同社のカーボンニュートラル実現に向けた取り組みも続いている。弊紙11月20日付では三菱重工エンジン&ターボチャージャの「水素混焼50%で安定燃焼、5700キロワット級ガスエンジン」を技術面トップで紹介している。また、同日付紙面には「水素特集」を掲載しており、三菱重工の高砂水素パークなどを詳しく紹介している。

(2023年11月24日配信)

11月14日の東京証券取引所で大阪ガスが4日続伸し、ザラ場の高値は2920.5円まで買い進まれた。11月7日にマークした上場来高値2914.5円を5営業日ぶりに更新した。10月27日発表の中間決算が好感されているほか、同日発表の自社株買いも歓迎されているようだ。マーケットでは、大阪ガスの株価格付けを従来から「買い」としていたみずほ証券が、目標株価を2600円から3300円に引き上げたとの情報もこの日伝わった。

大阪ガスの株価をローソク足(日足)で見ると、11月9日から10日にかけて、さらに10日から13日、13日から14日にかけても連続して窓「空」ができた。4本の陽線と「三空」で形成される高値圏でのこの形は「三空踏み上げ」と呼ばれ、チャートを投資判断のよりどころとする投資家は、空売りを仕掛ける急所とみる。同社株の信用買い残は、売り残が買い残を超過した状態にある。確かに目先は急伸した後だけに強弱感が対立しやすい場面と言えるが、この日の株価は株価純資産倍率が0.7倍台と依然として割安な状態にあることから、むしろ売り方の手仕舞い(買い戻し)による一段の上昇を読む向きもある。

関連記事 大阪ガスが上昇率首位、愛知時計は最高値を更新/GENIX―CN70 - ガスエネルギー新聞 (gas-enenews.co.jp)

(2023年11月14日配信)

 11月2日のGENIX‐CN70は3週ぶりに反発した。自社株買いを発表した大阪ガスが急伸し、最高値を更新したほか、業績好調の日本酸素、愛知時計も高値を更新した。

 中東産LPGの日本向け長期契約価格(サウジCP)の11月分は、プロパンが1トン当たり前月比10㌦値上がりして610㌦(前月比1.67%高)となった。ブタンは同5㌦値上がりして620㌦(同0.81%高)。プロパン、ブタンともに4カ月連続で値上がりした。

 LPG市況に影響を与える原油相場の値動きはこのところ重くなっているが、LPG市況はこれから需要期を迎える季節性もあって、先高観が根強いようだ。日本向け米国産LPGの航路に当たる中南米パナマ運河が、渇水の影響で渋滞解消に時間がかかるとの見通しも強気の見方を支えているようだ。

 CPのこの1年間の価格推移を振り返ると、プロパンは2月に790㌦のピークを迎え、その後は大きく値下がりして、7月に400㌦のボトムを付けている。ブタンも同様に2月の790㌦でピークを打ち、7月には375㌦の安値を付けている。

(2023年11月2日配信)

10月27日 GENIX-CN70は前週末終値から0.2ポイント下落して155.81と2週連続で下落した。東証株価も0.06ポイント下がって142.76となった。

10月以降、株式市場は調整色を強めており、9月最終週との比較ではGENIX-CN70、東証株価ともに約3%下落している。

GENIX-CN70の構成銘柄のうち9月末比で上昇したのは全体の2割16銘柄にとどまる。その中で愛知時計が本年高値を更新したほか、日本酸素、栗本鉄工、川崎汽船などが高値圏で頑強な値動きを見せている。

(2023年10月27日配信)

10月19日の米原油先物(WTI)価格は3日続伸。中東地域の紛争拡大への懸念が市況を押し上げた。

国際ガス市況も値上がりしており、欧州パイプラインガス先物価格(TTF)は13日に百万BTU(英国熱量単位)当たり16ドル台、スポットLNG価格は18日に19ドル台へと上昇している。

イスラエル沖の海洋ガス田(タマル)が操業を停止したと報じられており、このガスを原料とするエジプト産LNGの出荷に影響が及ぶ恐れが指摘されている。

(2023年10月20日配信)

 10月9日の米原油先物(WTI)市況は2日続伸し、1バレル前日比3.59㌦高の86.38㌦に上昇した。6日の米雇用統計は市場の予想を上回る数値で、長期金利上昇を促したが、原油市場は底固い動きを見せた。そこに、イスラエル・パレスチナ間で大規模な武力衝突が発生。中東の地政学的リスクが高まったことで、買い気が優勢となったようだ。また、本年高値を付けた9月27日以降の下げが急だったこともあり、買い戻しも入りやすかったと見られる。

 一方、連休明け10月10日の東京株式市場は、朝方から買い戻しの動きが広がりほぼ全面高でスタート。GENIX‐CN70構成銘柄もこのところ下げがきつかった石油株などが買い気配で始まるなど総じてしっかりした動き。

 三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部の芥田知至主任研究員は当面の原油相場について、「今回の武力衝突にイランの関与があるのかどうかなど中東情勢には不透明な部分があり、不安定要素が増えた格好だ。他方、このところの米長期金利上昇やドル高が原油相場を下押しするとの見方や、米欧の金融引き締め効果で石油需要が鈍化するとの懸念も根強い。さらに中国の不動産不況、全米自動車労組(UAW)のストライキ、米予算審議の難航なども需要を鈍化させる要因として意識されている。当面は地政学的リスクや需給などの強弱材料が交錯する中で、不安定な推移が見込まれる」としている。(了)

(2023年10月9日配信)

米原油先物が10月4、5日と続落し、1バレル82㌦台まで下落、8月30日以来の安値水準となった。4日は下落率が5・61%に達する大幅な下げで、下落率が5%を超えるのは5月2日以来5カ月ぶり。9月27日に付けた本年高値93・68㌦から5日までの下落率は12%強に広がった。市場では、米ガソリン在庫の急増や強含んでいる長期金利の動向を警戒。今晩の米雇用統計の発表を注視している。

一方、米天然ガス先物(HH)価格は3日続伸し、今年3月以来となる百万BTU(英国熱量単位)当たり3ドル台に乗せてきた。

(2023年10月6日配信)

米原油先物が10月4日、前日比5.01㌦安の1バレル84.22㌦と急反落し、8月31日以来の安値水準に後退した。1日の下落率の大きさは5.61%に達した。5%を超える大幅な下げは5月2日の5.29%以来、5カ月ぶり。市場では、同日発表された米石油在庫統計でガソリン在庫の急増が明らかになり、これが利益確定売りを誘ったとの見方が出ている。

JOGMECの首席エコノミスト・野神隆之氏は、「統計で明らかになった米ガソリン需要の低迷は、この時期としては2000年以来の低水準。他にもロシアの軽油輸出禁止の一部解除検討の報道、サプライズのないOPECプラス産油国共同閣僚監視委員会の内容などの弱気材料がそろって現れた。このため、市場は狼狽売りの様相を呈しているが、今年第4四半期に供給不足に陥るとの認識に変化はなく、市場のセンチメントが根本的に変化したとは言い切れない。原油市況は売られ過ぎ気味の領域に入りつつあり、値頃感から買い戻しが発生しやすい状況ではあるが、まずは明日6日発表予定の米国雇用統計が注目される」としている。

10月5日の東証は朝方、昨日までの大幅安に対する自律反発の動きとなり、TOPIXが6日ぶりに反発するなど全般に買い物優勢の始まりとなったが、原油の急落を受けて、GENIX‐CN70構成銘柄のINPEXや石油資源開発など石油関連株は売り気配のスタートとなった。

(2023年10月5日配信)

中東産LPGの日本向け長期契約価格(サウジCP)の10月分は、プロパンがトン当たり前月比55㌦値上がりして600㌦(前月比9.09%高)、ブタンは同50㌦値上がりして 615㌦(同9.82%高)となった。プロパン、ブタンともに3カ月連続で値上がりした。背景には原油市況の上昇が指摘されている。

(2023年9月29日配信)

東証9月28日前場の寄り付きは、GENIX‐CN70構成銘柄のINPEX、石油資源開発、日揮など石油株が大幅高でスタートした。朝方は全般に利益確定売りが先行する中で、石油関連株の値動きの強さが目立った。石油資源開発は2008年以来、13年振りとなる6000円台に到達した。

 前夜27日の米原油先物(WTI)価格は前日比3.29㌦値上がりして1バレル93.68㌦となり、7営業振りに今年の高値を更新した。また、当面の戻りのめどと見られていた昨年10、11月に付けた92㌦台の高値を一気に上抜いてきたことで、市場関係者の間では先高ムードが一層強まっている。

(2023年9月28日配信)

9月22日の東証株価は前夜の米国株式下落を受けて、朝方から売り先行で始まった。GENIX-CN70構成銘柄も商社、海運株など総じて下落した。半面、INPEX、石油資源開発、ENEOSなど石油株の一角は底固い動き。GENIX-CN70は前週末比2.08ポイント下落して164.04ポイントと5週ぶりに下落した。

21日の米原油先物市場は、米金融政策の引き締め長期化懸念が台頭し、利益確定売りに押された。期近終値は前日比0.65㌦安い89.63㌦と、3日続落し、6営業日ぶりに1バレル90㌦台を割り込んだ。

9月25日付紙面の関連記事「原油100ドルが視界に サウジ減産の影響を注視」

(2023年9月22日配信)

9月14日の米商品先物市場では、原油先物(WTI)価格が2日ぶりに反発し、終値は前日比1.64㌦値上がりして1バレル90.16㌦と、当面の節目と見られていた90㌦大台を突破した。90㌦に乗せるのは2022年11月7日の91.79㌦以来、10カ月ぶり。市場関係者の間では、原油需給の引き締まり感から先高を予想する声が強まっている。

原油市況の上昇を受けて、15日の東証ではGENIX-CN70構成銘柄のINPEX、石油資源開発、日揮、ENEOS、三井物産、三菱商事といった、石油やエンジニアリング、商社など資源関連株が一斉に買い進まれた。INPEXは2008年以来、この週急伸した日揮は2018年以来の高値水準。

(2023年9月15日配信)

9月13日の東京証券取引所では、朝方からINPEX、石油資源開発、ENEOSなどGENIX-CN70構成銘柄の石油株が買い先行でスタートし、本年高値を更新した。前夜12日の米原油先物価格(期近終値)が前日比1.55㌦高の1バレル88.84㌦と反発し、約1週間ぶりに本年高値を更新したことが買いの手掛かりになっていると見られる。

原油市場では需給に引き締まり感が指摘されるなど、市況は当面強含むとの見方に傾斜しているようだ。ENEOSのこの日の株価は4年8か月ぶりとなる600円台を目前に捉えている。INPEXは2008年10月以来、石油資源開発は2009年6月以来の高値水準に来ている。

米原油先物は2008年に145㌦の最高値を付け、2011年から2014年にかけて100㌦前後で推移していた。最近の石油株は原油100㌦時代の再来をあたかも織り込むかのような値動きを見せている。

(2023年9月13日配信)

9月8日の東京株式市場は、前夜の米国株式市場の下落を受けて、朝方から利益確定売りが先行する展開となったが、この週のGENIX-CN70は前週末比1.67ポイント上昇して161.86と3週連続値上がりし、前週に続いて指数算出以来の高値を更新した。この週は三菱重工、川重重工、三井物産、石油資源開発などが指数をけん引した。

原油先物価格(米WTI)は9月7日、前日比0.67㌦安い1バレル86.87㌦と、10日ぶりに値下がりし、前日まで値上がりが目に付いたINPEX、石油資源開発、日揮、ENEOS、三井物産、三菱商事などの資源関連株には利食い売りが広がった。

また、個別では、このところ物色人気を集めていた三菱重工も6日ぶりに反落した。半面、三菱重工の急上昇に対して出遅れ感が台頭していた川崎重工はこの日も買いが途切れず逆行高、10連騰となった。

三菱重工の本紙最新ニュース:長崎で脱炭素基盤技術 既存拠点連携し開発推進/三菱重工

川崎重工の本紙最新ユース:世界初ドライ式水素タービン、NOx抑制と高効率を両立/川崎重工
(2023年9月8日配信)

市況情報

第13回ウィズガスCLUBシンポジウム「近未来、その先の住まいと暮らし」

第13回ウィズガスCLUBシンポジウム「近未来、その先の住まいと暮らし」

ウィズガスCLUB(住宅生産団体連合会、キッチン・バス工業会、日本ガス石油機器工業会、日本ガス体エネルギー普及促進協議会=コラボ)は6月14日、東京都千代田区のホテルグランドパレスで「ウィズガスCLUBシンポジウム」を開催した。テーマは、「近未来、その先の住まいと暮らしについて〜変わる豊かな暮らしのカタチを求めて〜」だ。エネファームの普及拡大を目指す「エネファームパートナーズ」も同日、同ホテルで総会を開き、補助金に頼らない市場の自立化を2020年代に目指す方針を確認した。主催するウィズガスCLUBの活動も紹介する。

〇基調講演「アンチエイジングな暮らしと住まい」岩前篤近畿大学建築学部長

建築家やハウスメーカーなどは自ら手掛けた家を「快適な家」と表現する傾向がある。ある関西の有名建築家も、出世作となったコンクリート打ちっぱなしの構造の建物について、「夏は暑くて冬は寒い」と説明する一方、快適だとも表現する。従来いわれた快適は「室温二十数℃、湿度何%」という明確な数値があったが、そこから大きくかけ離れている。

もちろん、温度や湿度とは関係なく、独特な形状の建物に暮らす満足感が快適につながるという側面もある。一方で、快適な家に住めば、健康になるという全く根拠のない思い込みを、われわれはしていないだろうか。

快適と健康は一致する場合もあるが、本質的に快適と健康は違うものであるとの認識を持つことが必要だと思う。

快適は数量化できないが、健康は医療費などで明確に数量化できる。何か努力して去年に比べ医療費が下がったのであれば、それは健康改善効果として表現できる。

こうした理由から、私は「家作りにおいて、快適という言葉を使うのをしばらくやめて、健康という言葉を使いませんか」と提案している。

ちなみに医療の世界では、快適と健康は別種のものであるということが常識となっている。特に私が健康の観点で注目しているのは家の中で発生するカビだ。年に200軒くらいの家からほこりをサンプリングしてきて、そのほこりからカビを抽出する。どのような家にカビが多いのかを調べたところ、(1)締め切ってエアコンをかけている部屋と、(2)風を通して拭き掃除をする部屋、(3)締め切ってほったらかしの部屋の中では、(3)の部屋が最もカビが多いという明確な答えが出た。

◇低温による死亡者数は年間最大で12万人

厚生労働省の人口動態統計によると、家庭内での死亡者数で最も多いのは溺死の年間約5000人、次に転落・転倒の約3000人、熱中症の約1000人と続く。熱中症についてはメディアに取り上げられる機会が多いが、人数の多い溺死や転落・転倒の危険性はあまり指摘されない。

一方で低温が原因の死亡者の数は年間最大12万人という。3年ほど前に英国の医療専門誌で取り上げられた論文によると、世界13カ国で気温と死亡の関連を調べた結果、7・3%が低気温が原因であることが分かった。世界の約7500万例のデータを分析したところ、日本については、高気温による死亡率が0・3%である一方、低気温による死亡率は9・8%となった。日本の年間死者数に9・8%を掛けると、およそ年間12万人になる。

日本の月別の死亡割合を見ると、1950年以降、夏場に少なく、冬場に増える傾向がある。循環器系を原因とする死亡者も夏に減って冬に増えている。これらのデータについてはいろいろな専門家も注目しており、ヒートショック(急激な温度変化で血圧が変動し、心筋梗塞や脳梗塞などを起こすこと)が原因だろうという見方がされている。

月別死亡率の最も古いデータを見ると、現在とはかなり異なる。1910年のデータでは冬場よりも夏場に多くの人が亡くなっている。このデータを20年ごとに見ていくと、明確に一つの方向性がある。夏に亡くなる人が減少し冬に亡くなる人が増えている。つまり日本人の死因が変わったといえる。

明治より以前は夏に多くの人が亡くなる夏リスク社会だったが、今は冬に多くの人が亡くなる冬リスク社会に変わったと考えられる。昔と今では状況が大きく変わったと認識すると、吉田兼好が『徒然草』で残した「家の作りようは夏を旨とすべし」という表現は当時は正しかった。しかし今はそうではないといえる。

◇断熱改修で居住者の血圧が低下

スマートウェルネス住宅という住宅がある。エネルギー効率の良いスマートな住宅と、安心で安全、健康に暮らせるウェルネス住宅の二つの性能を持ち合わせた住宅を指す。2014年度から住宅の断熱化が居住者の健康に与える影響を検証する調査事業「スマートウェルネス住宅等推進事業」が、国土交通省の補助事業として実施されており、かなりはっきりとした結果が出ている。その事例を紹介する。慶応大学の伊香賀俊治教授を中心に、医療と建築の専門家が協力して、屋内環境と健康状態を調査したもので、わが国では類を見ない先進的な調査だ。

調査では、部屋と廊下の温度差をなくすなど一定レベルの省エネ基準を満たす断熱改修を実施した住宅で居住者の血圧変化などを測定。室内の温度が上昇したことで、居住者の血圧が下がったという結果が得られた。年代ごとの血圧の変動率も報告されている。室温が20℃から10℃に下がると80歳では血圧が11・2mmHG上昇する。60歳では8・5mmHG、30歳では4・5mmHG上昇する。現在、日本のほとんどの家では10℃の室温で暮らしており、20℃に上げることで、どの年代でも血圧の低下が期待される。

昨年度、既存住宅で断熱改修を実施した三十数軒の住宅を訪ねて、改修前後で屋内環境と健康状態がどう変わったのかを調査した。ヒアリングを実施した結果、「寝つきがよくなり、朝の目覚めがよくなった」「風邪をひかなくなった」「以前は暖房用エアコンを24時間連続でつけていたが、現在は就寝中は切っている」「室内で暑さ、寒さを感じることがなくなった」などの感想が得られた。

断熱効果を高めるために開口部を極力少なくした住宅もあった。直射日光をできるだけ入れないようにし、間接光の取り入れを施主が工夫した事例だ。高気密高断熱住宅は今まで一部の人だけに受け入れられてきたが、そういう状況は変わりつつある。高断熱にすることで快適を追求する生活から、健康を支援する生活に変わった。高断熱によって、健康寿命を延ばす「アンチエイジングな暮らし」を普及促進することが可能だと分かったからだ。

世の中がデータに基づき、健康ベースの家作りを進めていくようになれば幸いだ。

〇特別講演「IoT技術等を活用した次世代住宅の普及の促進」山下英和国土交通省住宅局住宅生産課建築環境企画室長

次世代住宅の実用化に向けた国土交通省の取り組みについて説明する。まず住宅政策を進めていく上での基本となる住生活基本計画は5年ごとに見直しをしており、直近では2016年に見直した。同計画では、住生活関連の新たなビジネス市場の創出や拡大を進めていくことを打ち出している。

17年6月に閣議決定された未来投資戦略2017では、さらに一歩進んであらゆるモノがネットにつながるIoT技術などを活用した次世代住宅の普及促進を盛り込んだ。

次世代住宅の展開イメージとして、電力使用量や発電量などの見える化によるスマートハウスの実現などを考えている。温度、湿度、風速をセンサーで測定するなどIoT化を通じて、ホームオートメーション化を進める。さらに人の活動データや住環境データを収集・蓄積、それを分析活用することで見守りや健康セキュリティーなど生活関連のサービスを提供し、暮らしの質を向上させていく。

国土交通省は住まい方の変化について調査している。それによると、世帯類型別の世帯数は、2010年に単独世帯が夫婦と子供の世帯を上回った。すでに世帯の半分以上が単身か2人暮らしとなり、小世帯化が進んでおり、50年には全体の約4割が単独世帯となる見込みだ。

働き方や暮らし方、ライフサイクルの変化も分析している。働き方の変化については、女性の就業率が上昇し、共働き世帯が片働き世帯より200万世帯以上多い状態になっており、働くシニア層も増加している。暮らし方では、女性の家事時間が減り男性が家事に関わる割合・時間が増加している。

ライフサイクルの変化では、リタイアしてからの時間が長くなり、シニア層が働きながら、介護に直面する状況も増加している。一方で介護や宅配分野における人手不足が顕在化しつつある。

住宅に関する消費者ニーズについての調査結果を踏まえ、国土交通省は16〜17年に住生活関連サービスの提供事業者や消費者代表らによる「IoT技術等を活用した次世代住宅懇親会」を設け、論点を取りまとめた。そこでは、高齢者の自立支援や防犯対策の充実、働く世代の家事負担の軽減や時間短縮、コミュニティーの維持・形成などが必要とされ、国土交通省が支援すべきテーマとして挙げられた。

次世代住宅の実用化に向けてはサステナブル建築物等先導事業等で、健康管理の支援や家事負担の軽減を図るプロジェクト等を補助している。

〇「ロボットと暮らす未来のデザイン」松井龍哉フラワー・ロボティクス代表ロボットデザイナー

去年から今年にかけて、新聞などのメディアで人工知能(AI)という言葉を見ない日はないと言えるほどAIは社会的に話題になっている。この状況は欧米やアジアも同様だ。

今後、AIとロボットが私たちの生活にどのような影響をもたらすのか、世界中で注目されている。当社は少し先の未来の新しいライフスタイルや産業を見据えたビジネスモデルの構築に取り組んでいる。これから先の暮らし方を考えるヒントにしてほしい。

フラワー・ロボティクスは2001年に設立したベンチャー企業だ。人々の暮らしに自然と溶け込むロボット製品の開発・販売を行っており、人が違和感を覚えないデザインを重視している。

当社の事業目的は、ロボットにより21世紀の産業を創ること。20世紀に人間の生活を大きく変えた新しい産業に自動車産業と情報産業がある。それと同様にこれから100年の前半はロボット産業が人類の力になると考えている。後半は遺伝子技術の発達で、バイオテクノロジー系の産業が発展するだろう。

当社は自動車やパソコン、スマートフォンと同じく、日常生活にロボットがある世界を目指している。10年前は日常生活でスマートフォンを見かけることはなかった。しかし、たった10年でスマートフォンを見ない日はなくなった。このようにロボットも急速に普及すると考えている。

ロボットという言葉の語源は労働を意味するチェコ語の「ロボッタ」と言われている。人がロボットに求めるのは生産性の向上と労働からの解放だろう。

わが国は他国に先駆けて、自動車製造用のロボットアームの技術開発が進んだおかげで、ロボット製造に関係する特許の数が多く、人材も豊富だ。

ロボットの定義は、コンピュータ—のような知能制御系とセンサー、駆動系の三つの要素技術がシステムとして統合されていることとされている。ロボットは、センサーで周辺の環境を認識し、知能系で最適な選択を行い、行動に移す。

二足歩行ロボットは、最初はうまく歩けないが、データを蓄積し、最適なバランスを学習することで、スムーズに歩行できるようになる。そのようなロボットをわれわれは「目的を持った第三者」と呼んでいる。周囲の環境の中から情報を得て、行動基準を作る自立型ロボットの製造に力を入れている。

まず人間の生活があり、そこにロボットが適応して、人間と共存共栄することが重要。ロボットが人間の生活に入り込んでいる「21世紀の自然」を作りたいと考えている。

世界規模でロボットの研究者が参加する自立型ロボットのサッカー大会「ロボカップ」が年1回開催されている。

この大会の最終目標は、2050年に人間の世界チャンピオンチームに勝てる自律型ロボットのチームを作ること。ロボット同士だけでなく、ロボット対人間のゲームも試験的に行われている。

当社の家庭用ロボット「Patin(パタン)」は、人工知能を持った靴をイメージして設計した。台車型ロボットで、扇風機や照明、スピーカーなど上部に接続する。スマートフォンとアプリケーションのように、当社はパタンを提供し、ほかの企業が上部に接続するさまざまな機器を開発・販売することを考えている。

ほかの機器と同様、自立型ロボットもインターネットと接続されたコネクテッドロボットが今後の技術的トレンドになる。単に生産性を高める機械ではなく、新しい人工生命としてのロボットに取り組んでいる。10年先には大きく普及するだろう。

〇「『ライフスタイルを編集する』暮らしとは」川島蓉子伊藤忠ファッションシステム取締役ifs未来研究所所長

私は「広義におけるファッションの位置付け」を考えながら30年以上仕事してきた。広義におけるファッションとは、街と店と人のトレンドがもっとも早い段階で現象化したものと考えている。例えばパンケーキのブームや工芸的な雑貨を暮らしに取り込む動きもファッションになる。衣食住などのライフスタイルはすべてファッションだ。

これからのライフスタイルの提案には、(1)最先端と伝統的な技術の融合、(2)ものの美しさとともに、それが使われるシーンやユーザーの気分を考慮すること、(3)ブランドや製品が目指す価値を顧客に正確に伝えること—の三つが欠かせない。特に3番目は単に「伝える」ではだめで、「伝わる」のが重要。顧客が共感して購買するまでが「伝わる」といえる。顧客にリピーターになってもらうのが目的だ。老舗のブランドほど「伝わる」ことに力を入れている。

買い物を合理性だけで判断するとインターネット販売が圧倒的に有利だ。そのような状況でリアルな店舗はどうすればいいのか。その答えが講演テーマのライフスタイルの編集だ。

例えば、デパートの伊勢丹新宿店は、5階にある生活雑貨や台所用品売り場の中心にカウンターキッチンを設置している。顧客は調理や盛り付けの体験ができ、暮らしの中でどのように使うかを想像できる。

土地代や人件費を考慮すると販売効率は悪いが、このような施策を実行しないとリアルな店舗は生き残れない。

服飾ブランドのYAECA(ヤエカ)の東京都港区白金のブティックは閑静な住宅街にあり、顧客は駅から歩く過程も買い物の一環として楽しむ。同様な店舗が最近、人気を集めている。新潮社は東京都新宿区の神楽坂にあった書庫をリノベーションし、「lakagu」(ラカグ)というライフスタイルショップをオープンした。洋服や雑貨、家具などを取り扱い、カフェもある。顧客に自分の生活にも取り入れられるというリアリティーを感じさせることが重要だ。

均質化したチェーン店ではなく、ライフスタイルが発信される場所は注目を浴びる。実験的な取り組みが必要だ。ようかんで有名な和菓子店の虎屋は「伝統は革新の連続」という理念に基づき、チャレンジを繰り返している。同社が東京都港区のミッドタウンに出店する際、当時25歳の女性社員がリーダーとなり、若手社員中心のプロジェクトチームで店舗のコンセプトを作り上げた。

経営会議で役員に何十回も企画案を却下される過程で、若手は伝統を学ぶとともに、役員もチャレンジの必要性を学んだという。

ようかんを食べる人が減少しつつあるなかで、同社は新しい製品作りにも取り組んでいる。和菓子研究のため静岡県御殿場市に設置している「とらや工房」では実験的な和菓子を製造・販売している。根本(伝統)を守りつつ新たなチャレンジをする、このような機関(場所)をつくることは、企業が強くなっていくための必要要件だと考える。

フランスのファッションブラントのエルメスを3年にわたって取材した時も、虎屋と同じく、伝統に頼らず創造に挑む企業姿勢を感じた。同社社員は、ものだけでなく使う豊かさを提供することを自覚している。

価値観が多様化する時代、企業にはまず、いろんな実験を始めてほしい。

〇あいさつ

開会あいさつは、事務局を代表し日本ガス体エネルギー普及促進協議会(コラボ)の高松勝会長(東京ガス副社長)が行った。◇ウィズガスCLUBは、豊かで潤いのある生活の実現を目指し、住環境のさらなる充実・整備を進めていくことを掲げ、住宅関連事業者、キッチン・バスメーカー、機器メーカー、ガス体エネルギー事業者の4団体により、2006年6月に設立された。これまで政策提言、情報発信、社会貢献、環境貢献の四つの柱を軸に活動をしてきた。具体的には、ウィズガスCLUBシンポジウムと、全国親子クッキングコンテストの開催が主な活動だ。シンポジウムは毎回、時節に応じたテーマを設定し、有識者の知見をいただきながら、政策提言、情報発信を行っている。クッキングコンテストについては、食育活動を通じた社会への貢献を目指している。環境貢献活動としては、エネファームやエコジョーズなど高効率給湯器の普及促進を図り、植樹活動の支援を行うブルー&グリーンプロジェクトにも協賛している。

今回のシンポジウムは「近未来、その先の住まいと暮らしについて」と題して4人の方から講演いただく。モノのインターネット(IoT)、ビッグデータ、人工知能(AI)などのデジタル技術が進化する中、近未来に求められる住まい、暮らしとサービスは何か、生活者のライフスタイルはどう変化していくのか。未来の大きな潮流を踏まえ、ウィズガスCLUBを構成する住宅業界、住宅設備業界、エネルギー業界の今後の活動や取り組みに生かせる機会にしたいと考えている。

閉会あいさつは、日本ガス石油機器工業会の内藤弘康副会長(リンナイ社長)が行った。◇本日の講演ではアンチエイジング、IoT、ロボット、ライフスタイルと、住まいとの関連についてさまざまな大変深い示唆をいただいた。今後の住まいづくりに求められる課題やニーズを聞くことができ、給湯器、ガスコンロ、暖房機等を扱う機器メーカーの団体としての責任の重さと期待の大きさを改めて認識した。

講演の中に断熱とカビに言及した部分があった。数年前にわが家をリフォームして以来、1階の奥の部屋に湿気がたまるようになってしまった。エアコンを作動させて除湿しているにもかかわらず効果が低く、カビが発生している。

ドイツにはどんなに貧しい人にも最低限の住環境を提供する制度があると聞いた。ドイツには結露するような部屋がある住宅はほとんどないそうだ。わが家はドイツではありえないほど劣悪な環境かと残念な気持ちになった。このように日本の住宅はまだ改善する余地があり、われわれが活躍する場は多い。

日本ガス石油機器工業会は高効率給湯器エコジョーズや床暖房、浴室暖房乾燥機、全口に安全装置を搭載したSiセンサーコンロの普及促進に努めている。今後も安全・安心な機器、高効率機器の普及促進を進めていく。〇ウィズガスCLUBとは

2006年6月13日、ガス、住宅、キッチン・バス、ガス石油機器の業界4団体によるコンソーシアム「ウィズガスCLUB」が設立され、今年で12年が経つ。ウィズガスCLUBの設立経緯とこれまでの活動内容を振り返ってみよう。

異なる業界団体が業界の垣根を超え、「ガスのある暮らし」の普及に向けて一致団結する動きは、都市ガス・LPガス・旧簡易ガス業界のガス3団体が05年10月20日に立ち上げた日本ガス体エネルギー普及促進協議会(コラボ)が出発点だ。コラボにキッチン・バス業界、日本ガス石油機器工業会、住宅生産団体連合会が加わり、ウィズガスCLUBが発足した。

その基本方針は「人々の豊かで潤いのある暮らし」の実現だ。住環境のさらなる充実や整備に向け、住宅業界団体と連携を図る。(1)政策提言、(2)社会貢献、(3)環境貢献、(4)情報発信—の四つの活動を軸に、これまでさまざまな活動に取り組んできた。

まず、政策提言の一環として「ウィズガス住宅」を提唱した。快適で環境性に優れ、家族に団らんと幸せをもたらす住宅を、最新の省エネ住宅・ガス機器でかなえようという構想だ。

◇食育がテーマ

社会貢献では、食育をテーマに掲げる。中心となる活動は「ウィズガス全国親子クッキングコンテスト」だ。都市ガス・LPガス・簡易ガス事業者が小学生とその保護者に参加を呼び掛ける。今では食育の観点から夏休みの課題に採用し、学校単位で応募する小学校も多い。このため、応募総数は第1回(08年度)の2008組から毎年増え続け、17年度の第11回大会は5万8234組にまで拡大した。

今年も6月19日(食育月間の食育の日)に募集を開始した。9〜12月に全国各地で書類選考と実技予選を行い、来年1月27日、東京ガス・新宿ショールームで全国9地区を代表する11組の親子による全国大会が行われる。

◇高田松原を再生

環境貢献では、ベターリビングが主催する「ブルー&グリーン(B&G)プロジェクト」に協賛する。同プロジェクトは「ガスで森をつくる」を合言葉にした植樹活動で、ブルーはガスの炎、グリーンは樹木を意味する。06年6月、BL—bsガス給湯・暖房エコジョーズ、エネファーム、エコウィルの出荷1台につき、ベトナムに1本の樹木を植樹する取り組みとしてスタートした。「省エネ機器の普及」と「森林増加」のダブル効果を狙うものだった。

14年度まで約8年にわたり約2200haに390万本を植樹し、樹木の成長と機器の普及分を合わせ、年間105万tものCO2削減効果を上げた。これは日本の家庭約21万世帯の年間排出量に相当する。現地では、森林形成による環境改善のほか、林業分野における雇用創出などの効果ももたらした。

15年度からは、東日本大震災で津波の被害にあった岩手県陸前高田市の名勝「高田松原」の再生支援事業に乗り出している。NPO「高田松原を守る会」と協力して、松苗の育成から試験植樹、本植栽に取り組む。16年6月、18年4月には、市民やボランティアに加え、ガス事業者やガス機器メーカー、住宅事業者も協力し、「再生植樹祭」を実施。総勢約300人が、同市の竹で作った苗木の初期生育を促す竹簀(たけず)とともに、1本ずつ心を込めて苗木を植樹した。

同プロジェクトが提供するマツ枯れに強い1万本の松苗は「ブルー&グリーン苗」と呼ばれ、来年までの3年間に2haの植樹が完了する予定だ。

◇シンポジウム開催

「豊かで潤いのある暮らし」を発信する場として年に1度、6月に開催する「ウィズガスCLUBシンポジウム」がある。

「豊かで潤いのある暮らし」の意味合いは、少子高齢化や情報通信技術の発達など、社会の変化に応じて変わっていく。そこで、「ストック時代の『住まいと暮らし』の未来像」「住まいと街の“創り方”」など毎年、時流に合わせたテーマを設定し、官民学の有識者などによる講演やトークセッションが繰り広げられる。ウィズガスCLUBを構成するそれぞれの団体が考えるべきことを確認する貴重な機会となっている。

また、国土交通省が推進し、住宅生産団体連合会が取り組む10月の住生活月間に行われるイベントにも、ブースを出展し、ウィズガスCLUBの活動を紹介している。

〇2030年に530万台へ、業界の枠を超え一致団結/エネファームパートナーズ

ウィズガスCLUBシンポジウムの開催当日、家庭用燃料電池エネファームの普及促進組織「エネファームパートナーズ」の第5回総会が開かれた。同組織は住宅関連業界、エネファーム製造業界、エネルギー業界が、業界の枠を超えて2013年に発足。この日の総会では、20年代に補助金に頼らない市場の自立化、30年に全世帯数の1割に当たる530万台の普及目標に向け、関係者が一致団結して取り組むことを確認した。

エネファームは、家庭用エネルギーシステムの中でも最高クラスのCO2削減効果があり、家庭部門のCO2を削減する重要機器と位置付けられる。09年5月、世界で初めて市場投入され、普及台数(補助金交付ベース)は7月2日に25万台に到達。530万台が達成されると家庭部門のCO2排出量を約4%(年間約800万t)押し下げる効果があるという。

エネファームは、住宅の省エネルギー基準適合義務化やネットゼロエネルギー住宅の推進など、国が進める住宅の省エネ強化の動きに合致する。第5次エネルギー基本計画では最も普及が進んでいる水素関係技術とされた。エネファームパートナーズの会員数は発足当時の2・5倍の158団体・事業者へ拡大している。

総会では、資源エネルギー庁の山影雅良水素・燃料電池戦略室長が「昨年末に策定された水素基本戦略では水素社会を実現する有用なアプリケーションとしてエネファームを位置付けた。現在策定中の第5次エネルギー基本計画でも業務用・産業用を含め広く燃料電池技術を使うことを考えている。皆さんと歩調を合わせ、強力に普及を推し進めていきたい」と語った。

コージェネ財団理事長の柏木孝夫東京工業大学特命教授は「エネファームに追い風が吹いている。省エネの要として太陽光など再生可能エネルギーとエネファームをセットにすれば、調整用電源としても仮想発電所としても機能する。ネットワーク社会が本格化する中、この分野で日本がトップランナーであるのは間違いない」と鼓舞した。

エネファームには電解質の違い等によって、PEFC(固体高分子形燃料電池)とSOFC(固体酸化物形燃料電池)があり、前者はパナソニック、後者はアイシン精機が製造している。

総会でパナソニックは、街区全体でエネファームの電力を融通し、再生可能エネルギーによる不規則な出力変動を調整するスマートタウン構想を紹介。アイシン精機は大阪ガス等が行うエネファームの余剰電力買い取り制度が全国のガス事業者にも広がることを期待した。

住宅生産団体連合会の小田広昭専務理事は「住宅の省エネ化へエネファームは欠かせない。50万円という消費者負担の実現と、既存の集合住宅にも付けられる機器の開発をお願いしたい」と要望した。

〇合同懇親パーティー開催

ウィズガスCLUBシンポジウム、エネファームパートナーズの総会後、会場を移し、両団体合同の懇親パーティーを行った。ウィズガスCLUB構成団体、エネファームパートナーズ総会出席者など約300人が参加した。

主催者を代表し、住宅生産団体連合会の竹中宣雄副会長(ミサワホーム社長)が「ウィズガスCLUBは2006年6月に住宅に関連する4団体が『豊かで潤いのある暮らし』の実現を目的に設立した。一方のエネファームパートナーズは13年5月、エネファームの普及拡大に向けて関連業界が立ち上げたコンソーシアムだ。先ほどのシンポジウムではデジタル技術が進化する中、住まいやライフスタイルがどう変化していくのか、今後住環境に求められる課題や住環境事業の新たな可能性について、期待や市場の展望を伺った。並行して行われたエネファームパートナーズ総会では、ネットゼロエネルギー住宅(ZEH)の実現あるいは省エネ基準適合義務化といった高度省エネ・省CO2社会の対応策としてエネファームの果たす役割の大きさを再確認し、改めて取り組みの重要性を認識した」とあいさつした。

建築環境省エネルギー機構の村上周三理事長は「政府の掲げる家庭用部門の40%省エネの実現に向け、重要な機器の一つがエネファームだ。国際公約に向け、努力してほしい」と乾杯の発声をした。

キッチン・バス工業会の林良佑会長(TOTO取締役常務執行役員)は「シンポジウムでは岩前先生からヒートショックは夜間の寒いトイレが危険との指摘があり、TOTOとしてトイレを空間として進化させなければならないと思った。これまでの『快適』に『健康』を加えて、明日から住宅設備作りに励んでいきたい。TOTOもSOFC(固体酸化物形燃料電池)の開発を続けている。エネファームパートナーズの取り組みを伺い、改めて先行2社の開発力の高さを実感した。当社の開発陣に奮起を促し、当社だからこそできる製品を開発したい。ガス体エネルギーが世界に誇れる日本のエネルギー業界として発展されることを願っている。メーカー側も皆さまのご支援をいただき、頑張っていきたい」とあいさつし、三本締めで締めくくった。

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