【文化】「良寛」を感じる 【10面】
江戸時代の後期に越後(新潟県)の出雲崎で生まれ、岡山などの禅寺で修行したあと故郷に帰り、小さな庵に住み、托鉢・施しによる生活を続け74歳で亡くなった良寛。人生の後半で作ったたくさんの和歌、漢詩は、現代を生きる人々にも愛される。天真爛漫な人柄がにじみ出た書は、芸術的かつ上品。中年になって良寛を知った私は、年齢とともに彼の作品と生き方に対する思い(憧憬)は増すばかりだ。
私が読んだ良寛に関する最初の一冊は『外は、良寛。』(松岡正剛著)。書店で見た時、モダニストの臭いもする松岡がなぜ今、良寛について書くのか、解せなかった。3千円という値段も購入を躊躇させた。