GENIX-CN70

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7月12日終値

7月12日 GENIX-CN70は3週連続で上昇し、先週に続き2週連続で指数算出以来の最高値を更新した。日本酸素、岩谷産業、栗本鉄工、前澤工業などが本年高値を更新した。
市況情報

 中東産LPGの日本向け長期契約価格(サウジCP)7月分は、プロパンが6月分と同値の1㌧当たり580㌦、ブタンも6月分と同値の565㌦となった。

 原油市況はこのところ1バレル80㌦台で堅調に推移する一方、中国向けなどLPGの需要は落ち着いているもよう。米国プロパンガス市況も1㌧400㌦をはさんでのもみ合いが続いている。

 なお、中国に次ぐ世界第2位のLPG輸入国インドで総選挙が行われ、このほど与党の勝利が明らかになった。同党はLPG普及政策を強力に推進してきた経緯があり、LPGの国際需給に影響を与えうるとして選挙結果が注目されていた。

 (2024年7月1日配信)

【過去解説記事】

 14日東証 GENIX-CN70は前週末比0.94ポイント高の192.96と2週間ぶりに反発した。指数構成銘柄ではK&Oエナジーグループ、三菱重工業、伊藤忠が上場来高値を更新したほか、岩谷産業、関西電力、東邦ガスなど大手電力・ガス株も根強く物色された。

 K&Oエナジーの株価は今年大きく値上がりし、11日の上場来高値4230円は昨年末終値2041円から2倍を超える上昇になっている。同社は千葉県で天然ガス・ヨウ素を産出しており、ヨウ素が次世代太陽光(ペレブスカイト太陽電池)の材料となることから注目を浴びているようだ。

 経済産業省が5月29日、第1回「次世代型太陽電池の導入拡大及び産業競争力強化に向けた官民協議会」を開催したことも手掛かり材料になっている。同協議会では日本が先行するペレブスカイト太陽電池の普及促進を目指している。日本のヨウ素生産量は世界第2位であり、エネルギー安全保障の観点からも期待が大きい。また、今週は米国でスタートアップがペレブスカイト太陽電池の工場を新設するとの報道も関心を集めたようだ。さらに、同業の伊勢化学工業の株価が昨年末の8590円から、本日の最高値40500円まで実に4.7倍となる大相場を演じていることも刺激になっている。

(2024年6月14日配信)

 米国で天然ガス先物価格(ヘンリーハブ=HH)が上昇している。6月11日の期近終値は百万BTU(英国熱量単位)当たり3.129ドルと、今年1月12日の3.313ドル以来、5カ月ぶりに3ドル大台に乗せた。2~3月には1.5ドル台の安値を付けていた。また1年前のこの時期は2ドル台半ばで推移していた。

 最近の市況動向についてJOGMEC調査部白川裕調査役は、「市況低迷時に掘削井が絞られた影響で、ガス生産量がジワリ減少している。そこに米国南部を中心とした記録的な猛暑による発電用ガス需要増が加わった」と指摘する。また、当面の値動きについては、「ガス発電用の需要は既に限界に達しているため、先物価格がこの先もさらに大きく値上がりする展開は想定しにくい」としている。

(2024年6月13日配信)

 6月7日東証 この週の東証株価は高値圏で伸び悩み、7日の東証株価指数(TOPIX)終値は前週末比0.6%値下がりした。GENIX-CN70も上値が重く2週間ぶりに反落し、前週末比1.9%の下落となった。

 GENIX-CN70構成銘柄の足取りは総じて重いが、その中で異彩を放つ逆行高を演じたのがデンヨーだ。同社は量産型燃料電池式可搬形発電装置を開発するなど水素関連ビジネスを手掛けている。

 同社株価は2020年9月と同年11月に付けた2600円台の高値を一気に払い、2700円台半ばに到達した。約1カ月間で株価は2割を超える上昇となったが、業績は好調で株価指標面に割高感は乏しいと見られる。「チャート上の節目を突破してきたことで、目先妙味が膨らんでいる。また同社は可搬型、非常用発電機を手掛けており、梅雨入りを前に防災関連の切り口にも関心が向いている」(市場関係者)。日本ではゲリラ豪雨が頻発化しているが、同社が強みとする北米ではこの時期ハリケーンの多発が警戒されている。シーズン性を発揮する場面も期待されているようだ。

(2024年6月7日配信)

 中東産LPGの日本向け長期契約価格(サウジCP)6月分は、プロパンが1トン当たり580ドルと前月分と同値だった。ブタンは前月比20ドル値下がり(下落率3・42%)して565ドルとなった。ブタンは3カ月連続で下落した。

 先週の米国プロパンスポット市況(MB)はトン当たり400ドル前後で推移。原油先物市況(WTI)は足元の堅調な在庫状況や長期金利の高止まりなどを受けて、1バレル70ドル台後半では上値が重くなっている。

(2024年6月3日配信)

 5月31日東証 GENIX-CN70は3週間ぶりに最高値を更新した。次世代太陽光発電(ペレブスカイト)関連として注目されるK&Oエネジーが一時未踏の4000円台に乗せたほか、栗本鉄工は18年ぶりの5000円台、川崎重工は9年ぶりの6000円台、ENEOSは6年ぶりの800円台となるなど大台替わりが相次いだ。北海道電力、九州電力などの電力株や、商社、海運株なども根強く物色されている。

 三浦工業が急伸し、およそ3カ月ぶりに本年高値を更新した。同社は5月30日、ダイキンと業務資本提携すると発表。工場向けに空調や蒸気ボイラ、水処理システムなど熱・空気・水に関するトータルソリューションをワンストップで提案する。それぞれの強みを生かして工場のカーボンニュートラル化のニーズに応える。三浦工業は国内の工場に、ダイキンは海外に強固なネットワークを有しており、市場はメリットを発揮しやすい組み合わせと受け止めているようだ。また、ダイキンは三浦工業の発行済み株式4.67%を三浦工業の自社株から購入する。三浦工業はその売却代金でダイキン子会社の株式49%を取得する。株式価値の希薄化や当面の株式需給悪化を招かない資本提携スキームも好感されたようだ。関連記事(https://www.gas-enenews.co.jp/gijutsu-shinseihin-hoan/40495/

(2024年5月31日)

 米国の天然ガス市況が上昇している。ヘンリーハブ(HH)先物期近価格は5月23日、百万BTU(英国熱量単位)当たり一時2.9ドル台に上昇した。3ドルは今年1月以来となる高値水準。「米国ガス市況は2~3月に1ドル台半ばまで大きく下げた経緯があり、その際に生産リグの稼働台数が削減された。その影響がここにきて出始めている」(JOGMEC調査部白川裕調査役)という。また、米国南部を中心にこの夏の気温が高めになるとの予報や、米フリーポートLNG輸出プロジェクトが本格生産に復帰したことなども材料視されているという。

(2024年5月24日配信)

 5月17日 GENIX-CN70は前週末比2.35ポイント安の192.12と4週ぶりに下落した。総じて利益確定売りに押される展開となったが、その中で13日に決算を発表した岩谷産業、14日に決算・大規模な自社株買いを発表したENEOSの株価が急伸した。どちらも一時本年高値を更新するなど人気付いた。

 岩谷産業の決算について市場関係者は、「前期実績も今期予想も2桁増益の好決算。ただ今期の配当金予想額が据え置かれたため、株価は急伸後伸び悩んだが、持分法対象のコスモエネルギーの寄与分も見込め、今後増配期待から見直される可能性がある」とする。

 ENEOSの自社株買いは上限が発行済み株式総数の2割強におよぶ大規模なもので、市場にサプライズを与えた。「経営陣の資本効率・株主還元への意識の高さを感じる内容。大型投資がなく、JX金属がIPOに向けて資産売却を進める中、財務体質が良好になっていることが背景にある」(大手証券アナリスト)と見ている。

(2024年5月17日)

 GENIX-CN70は10日、前週末比2.33ポイント高い194.47ポイントと3週連続で値上がりし、前週に続いて過去最高値を更新した。

 指数構成銘柄では大阪ガス、北海道ガスなどが過去20年来の高値を更新。大阪ガスは8日発表の自社株買いが好感されている。「3月発表の中期計画で株主資本配当率に基づく増配方針が打ち出されたばかりの株主還元策で、サプライズとして受け止められた」(アナリスト)。北海道ガスは4月30日発表の株式分割(1対5)や今期実質増配を手掛かりに人気化している。PBRは0.8倍台に上昇し、課題の1倍割れ解消が現実味を帯びてきた。

 岩谷産業も急伸し、4月に付けた最高値9311円を射程に捉えてきた。同社の3月期決算は5月13日午後2時半に発表予定だが、同社がさきごろ筆頭株主となったコスモエネルギーホールディングスが昨日決算発表を行い、堅調な業績と自社株買い、年間300円配当を維持する方針が明らかになった。コスモエネの株価は本日、一気に高値を更新、岩谷産業の株価支援材料になっている。

(2024年5月10日配信)

  中東産LPG日本向け長期契約価格(サウジCP)5月分は、プロパンが1㌧当たり580ドルと前月比35ドル下落した(下落率5・69%)。値下がりは4月分に続いて2カ月連続。

  ブタンは前月比35ドル値下がりして(下落率5・65%)1トン当たり585ドルとなった。ブタンも2カ月連続で下落した。

(2024年4月26日配信)

 中国税関が18日に発表した3月のLNG輸入量は前年同月比24・1%増の665万㌧となり、3月としては2021年の564万㌧を上回り3年ぶりに過去最高を更新した。1~3月の累計輸入量は同20・4%増の1985万㌧と、年間輸入量が過去最高だった21年同期を0・8%上回った。

 今年第1四半期の国内総生産は5・5%増と昨年第4四半期の5・2%増を上回った。輸出産業を中心に二酸化炭素排出削減のためのガスシフトも進んでいる。同期間のLNGスポット市況が前年同期を4割下回るなど割高感が薄れたことも需要喚起につながったようだ。今後の見通しについてエネルギー・金属鉱物資源機構調査部竹原美佳部長は、「国際市況はこのところ上昇に転じており、LNGスポット調達は目先一服しそうだが、地方政府のガス火力建設推進や船舶燃料のグリーン転換などもありガス需要そのものは高まる方向」としている。

(2024年4月18日配信)

 東証4月12日 東京ガスの株価が一時前日比54円高の3899円と前日に続いて上場来高値を更新した。同社株は今週に入って騰勢を強め、年初からの株価上昇率は20%に達した。3月中旬、大阪ガスの時価総額が一時、東京ガスを逆転したが、東京ガスが再び首位に立ちリードを広げている。4月19日に全国知事会が東京ガス横浜ステーションを視察し、e‐メタン製造実証の説明を受ける予定となっている。カーボンニュートラルに向けた同社の技術力に注目が集まりそうだ。株価上昇により、株価純資産倍率(PBR)は0.94倍へと上昇。1倍乗せが視野に入ってきた。

 都市ガス株では、北海道ガスの株価も上昇基調にあり、この日も前日マークした上場来高値2960円まで一時買い進まれる場面があった。年初からの上昇率は34%に達するが、同社株のPBRはいまだ0.7倍台にとどまり、依然割安感が漂う。北海道では半導体工場の新設で電力消費の大幅な伸びが予想され、北海道電力の株価もこのところ大幅に上昇している。

(2024年4月12日配信)

 4月3日 米原油先物(WTI)は前日比28セント高の85.43ドルと3日続伸、本年の高値を更新した。ウクライナによるロシア主要製油所への無人機攻撃や、イラン大統領によるイスラエルへの報復表明など地政学的リスクの高まりが背景にある。また週間統計で米国原油在庫が前年同期比18.5%減と減少が目立ったことも材料視されている。

 注目されたOPECプラス合同閣僚監視委員会は、生産目標維持を決定。また、米連邦準備理事会パウエル議長は講演で利下げを急がない姿勢を示したとされる。三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部・芥田知至主任研究員は、「中東、ウクライナ情勢は今後一段と動向が注視される。また、米金融政策、中国当局による経済運営、産油国の生産方針なども引き続き注目される。ただ、米中の景気は石油需要を上振れさせるほどには強くないとみられ、相場の上昇傾向を決定づける材料は出にくいと思われる。相場は再び一進一退の推移となりやすい」と指摘。もっとも、今年後半にかけて米利下げを受けてドル安が進む展開となれば、ドル建ての原油価格には割安感が生じ上昇圧力がかかりやすくなるとし、今年度は1バレル95ドル程度の上値が見込めるとしている。

(2024年4月4日配信)

 GENIX-CN70は年度内最終売買日となった3月29日、前週末比0.55ポイント上昇し189.41と、2週続けて最高値を更新した。3月末割り当てで1対10の大幅な株式分割を実施した三菱重工業は権利落ち後も堅調で、修正株価は連日の最高値となった。GENIX-CN70構成銘柄では他に理研計器が1対2、川崎汽船が1対3の株式分割を3月末割り当てで実施した。

 岩谷産業の株価が3連騰で、連日の上場来高値更新。3月28日にコスモエネHD株式を追加取得し、持ち分法適用会社にしたと発表したことが材料視されている。コスモエネの今期純利益予想は780億円、岩谷産業は335億円。持ち分比率2割相当の利益が来期以降、上乗せされるインパクトの大きさが期待されているようだ。また、会社側は本件株式取得に要する資金を借り入れで賄うとしており、「増資による一株当たり利益の希薄化が回避される見通しになったことも好感されている」(国内証券調査部)という。

(2024年3月29日配信)

 米国3月26日、米パイプラインガス(ヘンリーハブ=HH)先物価格が終値で5日続落し、百万BTU(英国熱量単位)当たり1.575ドルに下落。2月20日に付けた本年安値1.576ドルを1カ月ぶりに割り込んだ。ザラ場安値は1.4㌦台まであった。

 米エネルギー情報局(EIA)が3月21日に発表した週間データによると、米国の地下ガス在庫量は3月15日時点で前年比21%増、過去5年間の平均値に対しては41%上回っている。エネルギー・金属鉱物資源機構・白川裕調査役は、「気温が上がり需要が低下して、在庫がさらに積み上がったことと、生産がすぐには低下しないことが主要因」と指摘する。こうした在庫の荷余り感が先物市況の上値を重くしているようだ。

 HH先物価格の過去15年間の値動きを振り返ると、期近先物価格が1ドル台まで下落した年は2012年、16年、20年の3回あり、当該年の安値形成月はそれぞれ、4月(1.9ドル)、3月(1.6ドル)、6月(1.4ドル)となっている。春に安値を付ける習性と、この間の価格水準が切り下がる傾向が見て取れる。

(2024年3月27日配信)

 3月22日、ガスエネ株価指数カーボンニュートラル70(GENIX‐CN70)は2週間ぶりに過去最高値を更新した。GENIX‐CN70構成銘柄はほぼ全面高となり、K&Oエナジー、三菱重工、岩谷産業、大阪ガスなどが最高値を更新した。

 なお、三菱重工(1株→10株)、理研計器(1株→2株)、川崎汽船(1株→3株)は3月28日付で株式分割の権利を落とす。株式分割のメリットとしては、単位投資額の引き下げによる投資家層のすそ野拡大、流動性の向上などが指摘される。昨年以降で、株式分割を実施したリンナイ、NTT、三菱商事、京セラは、権利落ち後も堅調な値動きを保っている。

(2024年3月22日配信)

 3月15日 ENEOSHD(GENIX―CN70構成銘柄)の株価が朝方から買い進まれ、5年3カ月ぶりに700円台に乗せてきた。他にもINPEXや石油資源開発、コスモエネルギーHDなどの石油関連株、資源高が利益に結び付く商社株も軒並み値上がりしている。コスモエネルギーは国内大手証券が投資格付けを引き上げたことも好感され、株価は上場来高値を更新した。

 株式市場は、米原油先物(WTI)が14日、期近4月渡し終値で1バレル81.26ドルと続伸し、昨年11月6日の80.82ドル以来の80ドル台乗せとなったことを材料視しているようだ。国際エネルギー機関(IEA)が同日公表した市場レポートでは、今年の石油需給は供給不足になるとの予測が示されている。産油国の自主減産延長による供給減や、紅海におけるタンカー襲撃で海上輸送距離が延びておりバンカー燃料の需要増加を織り込んだという。もっとも原油市況は過去1年余りにわたって、おおむね70ドルから80ドルのレンジで推移しており、80ドル台では上値の重さも意識されそうだ。

(2024年3月15日配信)

 3月8日 大阪ガス(GENIX CN‐70構成銘柄)の株価が前日比153円高の3350円で寄り付き、直後に230円高の3427円まで上昇。1月11日に付けた上場来高値3242円を一気に更新した。同社は7日、3カ年中期経営計画を策定し、配当を原則減配せず維持または増配する累進配当制度を導入すると発表し、好感された。

 2024年3月期の配当金は前期比12円50銭増配して72円50銭(従来予想65円)に、25年3月期は95円を目指す方針も示した。株主資本配当率を3%とする方針を掲げ、機動的な自己株取得も検討するとした。この他、自己資本利益率(ROE)の目標は26年度に8%程度、投下資本利益率(ROIC)は5%程度を目指す。「株価を意識した経営姿勢に変化していると株式市場が受け止めており、都市ガス株の中でも相対的な値上がりが目立ってきている」(中堅証券)という。この日前場終値での時価総額は、大阪ガスが1.43兆円、東京ガスは1.41兆円となり、大阪ガスが東京ガスを逆転した。

(2024年3月8日配信)

 2月22日 東証では朝方から買いが先行し、日経平均株価は大幅に反発した。終値は初の3万9000円台で、1989年12月以来の史上最高値更新となった。注目された米エヌビディアの決算が市場関係者の事前予想を上回り、3連休控えにもかかわらず、マーケットのセンチメントは強気に傾いた。半導体関連株をリード役に、主力株を中心に幅広く買い進まれた。

 GENIX‐CN70構成銘柄も軒並み上伸した。三菱重工業が上場来高値を更新し、日本酸素HD、川崎汽船は最高値をうかがう動き。原油市況の上昇を背景に石油資源開発など石油関連株も値上がりした。

(2024年2月22日配信)

 米国パイプラインガス市場価格(ヘンリーハブ先物)が2月15日、8日連続安となり、百万BTU(英国熱量単位)当たり1.5㌦台まで下落、2020年6月以来の安値水準となった。在庫の積み上がりが背景にあるという。

 エネルギー・金属鉱物資源機構の白川裕調査役は「原油市況が1バレル80㌦弱と堅調なことから、パーミアン盆地を中心にシェールオイルの生産が盛んで、随伴ガスの生産量も増えている。気温が高めに推移していることもあり、地下在庫は過去5年間の最高水準に到達している」と指摘。

 先物市場の中心商いが春の需要閑散期に移りつつあることから、市況は当面弱含みで推移しそうだ。
(2024年2月16日配信)

2月12日 米国で天然ガス市場価格(ヘンリーハブ先物価格=HH)が5日続落し、期近終値は百万BTU(英国熱量単位)当たり1.768ドルに下落した。1.7ドル台は2020年7月以来の安値となる。市中在庫が高水準にあり、市場のセンチメントを圧迫している。

HHは昨年11月以降、3ドルを割り込むなど市況の低迷が続いているが、生産量が落ち込む兆しはいまだ見えないという。エネルギー・金属鉱物資源機構の白川裕調査役は「原油市況が1バレル80ドル弱と堅調に推移していることから、オイルリッチなパーミアン盆地を中心に油狙いの生産が盛んになっている。このため副産物であるガスの生産も増加している」と指摘する。

(2024年2月13日配信)

米国市場でガス市場価格(ヘンリーハブ先物価格)が続落している。7日に心理的な下値めどと見られていた百万BTU(英国熱量単位)当たり2ドルを割り込むと、8日終値は一段安となり1.917ドルまで下落した。およそ3年5カ月ぶりの安値水準となる。

市況下落の背景には、マーケットの荷余り感があるようだ。「このところの気温上昇で暖房用需要が低下しており、地下在庫量は過去5年間の上限レベルに到達している。当面は上値の重い展開が続きそうだ」(エネルギー・金属鉱物資源機構・白川裕調査役)。

ヘンリーハブ価格の下落に伴い、米国産LNGの輸出価格も低下しており、現状は世界の主要輸出国の中でも最も安価な水準となっている。

(2024年2月9日配信)

2月6日 東証後場 三菱重工業の株価が昨日の1万円初登頂に続いて一段高となった。この日午後、同社は3月末割り当てで株式1株を10株に分割すると発表。合わせて発表された今2024年3月期第3四半期連結決算は、売上高が前年同期比11%増、純利益は同倍増となるなど好調ぶりが明らかになった。通期の受注見通しを6兆円とし、従来予想に4000億円上積みした。これら大幅な株式分割と好調な業績動向が素直に好感され、買いが買いを呼ぶ好循環となっている。

同社株は1年前の2月には5000円前後で推移しており、そこから株価水準はちょうど2倍になっている。

(2024年2月6日配信)

1月31日 サウジアラムコがこのほど日本のLPガス輸入事業者に通知したプロパン2月分出荷価格(サウジ2月CP)は、前月比10ドル値上がりして630ドルとなった。値上がりは昨年8月分(470ドル)以降、12月分の変わらずを挟んで8カ月連続。

LPガス市況に影響する原油市況が、12月初旬を底に水準を切り上げているほか、世界最大のLPガス輸出国である米国において、プロパン在庫の取り崩しが進み、市況が上昇したことが背景にある。米国ではLPガスの一大輸出地域であるメキシコ湾で濃霧が観測されており、輸出作業への影響も警戒されたという。サウジCP2月ブタンも、前月比10ドル値上がりして640ドルとなった。

(2024年2月1日配信)

1月26日GENIX-CN70は前週比0.64ポイント値上がりして169.36ポイントとなった。7週間連続の上昇で、3週続けて統計開始来の最高値を更新した。一方、東証株式市場全体としては、このところの上げピッチの速さから利食いが広がり、東証株価指数(TOPIX)は7週ぶりに値下がりした。

GENIX-CN70の構成銘柄で値上がりが目立ったのは、25日に2023年12月期決算を発表したHIOKI。24年12月期も増収増益を見込み、配当金を年200円に連続増配する方針が好感されたようだ。

このほか、三菱重工業、三菱化工機が高値圏で頑強な値動き。SMBC日興証券が目標株価を引き上げたウエストホールディングスも下値を切り上げている。

(2024年1月26日配信)

 欧州パイプラインガス先物価格が17日、百万BTU(英国熱量単位)当たり8ドル台まで下落し、昨年8月以来の安値水準となった。北東アジアLNGスポット価格も続落しており、17日は昨年6月以来の9ドル台を付けている。先物の決済期日が2月から3月に移り冬場の需要期を過ぎることで、足取りが弱くなっている。昨年の安値は欧州ガス先物価格が7ドル台、スポットLNGは8ドル台だった。

 当面の市況動向についてエネルギー・金属鉱物資源機構の白川裕調査役は、「カタールから欧州にLNGが年間1500万トン供給されており、スエズ運河の通航リスクが警戒されているものの、それでも欧州の在庫水準が依然として高いため、中東からの輸送に支障が生じても当面の供給は何とかなると見られている。昨年10月から輸出を再開したエジプトLNGもまだ量は少ないとはいえ心理的な支えになっている。不需要期の相場は数年前なら3~4ドルもありえたが、安価になったスポットLNGを中国が仕込む動きも見られるため、今回はそこまで下がらないだろう」とする。また、「足元のスポット需要は弱いが、供給力に余裕があるほどの状況でもない。幸いにして供給設備のトラブルは昨年から起きていないが、いつ起きても不思議はない。先行きを楽観視するわけにはいかない」と指摘する。

(2024年1月18日配信)

東京株式市場は年末・年始と値上がり基調を強めており、GENIX-CN70も12月15日から1月12日終値まで5週連続で上昇した。1月12日の終値は167.67ポイントとなり、昨年9月15日にマークした指数算出以来の最高値165.83ポイントを4カ月ぶりに更新した。

GENIX-CN70構成銘柄では、商社株の値上がりが目立ち、伊藤忠商事、住友商事が最高値を更新。海運株も高値圏でしっかり。個別銘柄では、三菱重工業、愛知時計電機が最高値を付けた。本日午前、2024年8月期第1四半期決算を発表し、大幅な増収増益が確認されたウエストホールディングスが急伸した。

(2024年1月12日配信)

中東産LPGの日本向け長期契約価格(サウジCP)1月分は、プロパンが前月比10㌦高い1トン620㌦。ブタンも同じく10㌦値上がりして630㌦となった。小幅高ながら、極東マーケットは足元で強弱感が交錯しており、先行きの方向感は乏しい状況。米国のプロパンスポット市況(モントベルビュー)は12月分が1トン357㌦と、前月から約25㌦値上がりした。依然として近年の安値圏での値動きではあるが、市中の在庫水準は過去5年平均並みまで減少しており、底堅さも見られる。

(2024年1月10日配信)

1月5日 2024年の年明けの東京株式市場は、能登半島地震を受けて4日の大発会は売り物先行でスタートしたが、新NISA開始に伴う投資資金流入などによる先高期待から押し目買いが優勢となり、結局、東証株価指数(TOPIX)は4日、5日と続伸した。

GENIX-CN70も12月最終週に続いて上昇し、5日終値は164ポイントと、5週ぶりに160ポイント台を回復。昨年9月15日にマークした最高値165.83に急接近した。指数構成銘柄では、大阪ガスが大幅高となり、5日に一時3111円まで上昇。12月13日に付けた最高値3077円を上回った。4日以降終値ベースでも初めてとなる3000円台を維持している。このほかでは、海運株が人気を集めており、日本郵船、商船三井が最高値を更新した。

(2024年1月5日配信)

12月29日 東京証券取引所最終売買日(大納会)は、今年1年の相場を象徴するような堅調な展開だった。その中でGENIX-CN70は前週に続いて上昇し、3週連続高で今年を締めくくった。GENIX-CN70の年間騰落率はプラス25%となり、東証株価指数の上昇率と互角の好成績だった。

GENIX-CN70構成銘柄の中で値上がりが目立ったのは、川崎汽船、日本酸素、栗本鉄工、愛知時計電機、関電工など。一方、不調だったのは、イーレックス、レノバ、テスHD、ウエストHDなどだった。なお12月末割り当てで、京セラが1株を4株、三菱商事は1株を3株に株式分割した。GENIX-CN70もこれに合わせて、株式分割の影響を考慮した修正株価指数を算出している。

(2023年12月29日配信)

12月22日 GENIX-CN70は前週に続いて上伸した。全般は高安まちまちだが、値がさ株の海運3社(日本郵船、商船三井、川崎汽船)がそろって本年高値を更新し、CN70を押し上げた。また、工場新設で恩恵を受ける理研計器が12月20日上場来高値を更新した。

海運株が動意付いたのは先週末。紅海で武装組織による商業船への攻撃が相次いだことで、海運会社がスエズ運河の航行を見合わせ、迂回経路による輸送距離の延長などで海運市況が上昇するとの思惑が働いた格好。海運株はコロナ禍前後の市況高騰局面で株価が5倍以上に跳ね上がっており、その記憶がまだ新しいだけに思惑が先行しやすいようだ。

(2023年12月22日配信)

12月15日 GENIX-CN70は3週ぶりに反発した。指数構成銘柄では、理研計器の株価が13日に上場来高値を更新。大阪ガスも同日最高値を更新し、未踏の3000円台に一時到達した。

岩谷産業の株価はコスモエネルギーホールディングスの筆頭株主になると発表した12月1日以降、大きく値下がりしたが、15日終値は7日ぶりにプラスに転じた。

14日に一時5996円まで下げ、4月初旬以来8カ月ぶりとなる6000円大台割れを見たことで、値ごろ妙味が台頭したようだ。9月高値からこの安値までの下落率は26%に達し、一株当たり純資産5249円も意識される水準となっていた。チャート面から当面の戻りめどを探ると、25日移動平均線の6866円、9月高値から直近安値までの下げ幅の半値戻し6770円など、6800円あたりが意識されそうだ。

(2023年12月15日配信)

12月13日 GENIX-CN70構成銘柄の大阪ガスが4日続伸し、一時3077円の高値を付けた。3000円台に乗せたのは上場来初。12日大引け後に、日本経済新聞が「伊藤忠と大阪ガス、世界最大級の水素生産に最大4割出資」と報じ、これを材料視する買い注文が朝方から集まった。

株価は11月初旬、自社株買いの発表を契機に大きく上放たれ、過去16年来の上値抵抗線となっていた2600円前後の節を突き抜けてきた直後とあって、しこり感のないチャート妙味も好感されているようだ。

12日に発表された欧州の水素企業Everfuelのニュースリリース

(2023年12月13日配信)

12月8日 GENIX-CN70は前週に続いて下落した。急速な円高進行や世界的な景気減速懸念を受けて、東京株式市場はこの日、ほぼ全面安となった。GENIX-CN70構成銘柄にも利益確定の売りが先行した。中でも、原油先物市況の下落を受けて、石油、造船、商社、海運株などが大きく値を下げた。

12月1日引け後にコスモエネルギーホールディングス株式大量取得を発表した岩谷産業は、週明け4日から株価が大きく下げ、発表前の終値7141円から8日安値6388円まで5日間で10%を超える下げとなった。9月の本年高値8040円からの下落率は20%に達している。アナリストからは「コスモエネ株取得に1千億円を超える大金を投じることについて、どのようなリターンを見込んでいるのか、できる限り定量的な説明が欲しい。株価の下げは合理的な反応。投資家は追加情報を待っている」との声が聞かれる。コスモエネ株が取得価格を割り込んでいることも嫌気されているようだ。

(2023年12月8日配信)

米原油先物価格(WTI)は12月6日、前日比2.94ドル安の69.38ドルと5日連続で値下がりした。節目と見られた1バレル70ドル台を5カ月ぶりに割り込んだ。9月に付けた本年高値93.68ドルからの下落率は26%に拡大するなど下値を模索する動きとなっている。

注目された11月30日のOPECプラス会合は、各国から自主減産(来年1~3月期に日量約220万バレル)が発表されたものの、想定の範囲内と受け止められたようで、相場の下落基調を反転させるには至らなかった。

相場が弱含んでいるのは、世界的な景況悪化に伴う需要減少への警戒があると見られる。「不動産不況が続く中国経済の停滞や、ここまでの利上げで減速が見込まれる米国景気などを考慮すると石油需要は伸び悩み、自主減産してもなお需給は引き締まらないのではないか」(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部芥田知至シニアアナリスト)との指摘がある。当面は今週末発表される米雇用統計をはじめ、主要な経済指標を横目にみながら神経質な値動きが続きそうだ。

(2023年12月7日配信)

12月1日 岩谷産業(GENIX‐CN70構成銘柄)はこの日、コスモエネルギーホールディングスの株式を追加取得すると発表した。旧村上ファンド系と見られる既存株主から計約1740万株を1053億円で取得する。取得済みの持ち株と合わせた保有比率は19.93%となり、同社の筆頭株主になる。

1株当たりの取得価格は約6051円で、この日の東証終値5616円を約8%上回るが、価格の算定根拠については明らかにしていない。今後については、「より一層連携を深め、新たなシナジーを創出する」としているが、具体的な方向性はまだ示されていない。また、今3月期連結業績への影響については「精査中」としている。

サウジCP12月分は、前月と同価格の1バレル610ドル、ブタンも変わらずの620ドルとなった。

(2023年12月1日配信)

11月24日 東京証券取引所で三菱重工業(GENIX‐CN70構成銘柄)の株価が前日比529円高と大幅続伸し、およそ2カ月ぶりに8800円台まで水準を切り上げた。

同社は11月22日に防衛事業説明会を開催し、来年度からの3カ年は防衛力整備計画の大幅な拡充を受けて同社の事業規模は2倍以上になると発表した。過去長期にわたり同事業規模は5,000億円弱で推移していたが、来年度からの3カ年は1兆円規模になるとした。祝日をはさんでこの日は朝方から買いが先行、業績拡大への期待感を織り込む動きを見せた。株価が1万円に近づいていることから、株式分割を催促する値動きにも映る。

ガスエネルギー新聞が注目する同社のカーボンニュートラル実現に向けた取り組みも続いている。弊紙11月20日付では三菱重工エンジン&ターボチャージャの「水素混焼50%で安定燃焼、5700キロワット級ガスエンジン」を技術面トップで紹介している。また、同日付紙面には「水素特集」を掲載しており、三菱重工の高砂水素パークなどを詳しく紹介している。

(2023年11月24日配信)

11月14日の東京証券取引所で大阪ガスが4日続伸し、ザラ場の高値は2920.5円まで買い進まれた。11月7日にマークした上場来高値2914.5円を5営業日ぶりに更新した。10月27日発表の中間決算が好感されているほか、同日発表の自社株買いも歓迎されているようだ。マーケットでは、大阪ガスの株価格付けを従来から「買い」としていたみずほ証券が、目標株価を2600円から3300円に引き上げたとの情報もこの日伝わった。

大阪ガスの株価をローソク足(日足)で見ると、11月9日から10日にかけて、さらに10日から13日、13日から14日にかけても連続して窓「空」ができた。4本の陽線と「三空」で形成される高値圏でのこの形は「三空踏み上げ」と呼ばれ、チャートを投資判断のよりどころとする投資家は、空売りを仕掛ける急所とみる。同社株の信用買い残は、売り残が買い残を超過した状態にある。確かに目先は急伸した後だけに強弱感が対立しやすい場面と言えるが、この日の株価は株価純資産倍率が0.7倍台と依然として割安な状態にあることから、むしろ売り方の手仕舞い(買い戻し)による一段の上昇を読む向きもある。

関連記事 大阪ガスが上昇率首位、愛知時計は最高値を更新/GENIX―CN70 - ガスエネルギー新聞 (gas-enenews.co.jp)

(2023年11月14日配信)

 11月2日のGENIX‐CN70は3週ぶりに反発した。自社株買いを発表した大阪ガスが急伸し、最高値を更新したほか、業績好調の日本酸素、愛知時計も高値を更新した。

 中東産LPGの日本向け長期契約価格(サウジCP)の11月分は、プロパンが1トン当たり前月比10㌦値上がりして610㌦(前月比1.67%高)となった。ブタンは同5㌦値上がりして620㌦(同0.81%高)。プロパン、ブタンともに4カ月連続で値上がりした。

 LPG市況に影響を与える原油相場の値動きはこのところ重くなっているが、LPG市況はこれから需要期を迎える季節性もあって、先高観が根強いようだ。日本向け米国産LPGの航路に当たる中南米パナマ運河が、渇水の影響で渋滞解消に時間がかかるとの見通しも強気の見方を支えているようだ。

 CPのこの1年間の価格推移を振り返ると、プロパンは2月に790㌦のピークを迎え、その後は大きく値下がりして、7月に400㌦のボトムを付けている。ブタンも同様に2月の790㌦でピークを打ち、7月には375㌦の安値を付けている。

(2023年11月2日配信)

10月27日 GENIX-CN70は前週末終値から0.2ポイント下落して155.81と2週連続で下落した。東証株価も0.06ポイント下がって142.76となった。

10月以降、株式市場は調整色を強めており、9月最終週との比較ではGENIX-CN70、東証株価ともに約3%下落している。

GENIX-CN70の構成銘柄のうち9月末比で上昇したのは全体の2割16銘柄にとどまる。その中で愛知時計が本年高値を更新したほか、日本酸素、栗本鉄工、川崎汽船などが高値圏で頑強な値動きを見せている。

(2023年10月27日配信)

10月19日の米原油先物(WTI)価格は3日続伸。中東地域の紛争拡大への懸念が市況を押し上げた。

国際ガス市況も値上がりしており、欧州パイプラインガス先物価格(TTF)は13日に百万BTU(英国熱量単位)当たり16ドル台、スポットLNG価格は18日に19ドル台へと上昇している。

イスラエル沖の海洋ガス田(タマル)が操業を停止したと報じられており、このガスを原料とするエジプト産LNGの出荷に影響が及ぶ恐れが指摘されている。

(2023年10月20日配信)

 10月9日の米原油先物(WTI)市況は2日続伸し、1バレル前日比3.59㌦高の86.38㌦に上昇した。6日の米雇用統計は市場の予想を上回る数値で、長期金利上昇を促したが、原油市場は底固い動きを見せた。そこに、イスラエル・パレスチナ間で大規模な武力衝突が発生。中東の地政学的リスクが高まったことで、買い気が優勢となったようだ。また、本年高値を付けた9月27日以降の下げが急だったこともあり、買い戻しも入りやすかったと見られる。

 一方、連休明け10月10日の東京株式市場は、朝方から買い戻しの動きが広がりほぼ全面高でスタート。GENIX‐CN70構成銘柄もこのところ下げがきつかった石油株などが買い気配で始まるなど総じてしっかりした動き。

 三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部の芥田知至主任研究員は当面の原油相場について、「今回の武力衝突にイランの関与があるのかどうかなど中東情勢には不透明な部分があり、不安定要素が増えた格好だ。他方、このところの米長期金利上昇やドル高が原油相場を下押しするとの見方や、米欧の金融引き締め効果で石油需要が鈍化するとの懸念も根強い。さらに中国の不動産不況、全米自動車労組(UAW)のストライキ、米予算審議の難航なども需要を鈍化させる要因として意識されている。当面は地政学的リスクや需給などの強弱材料が交錯する中で、不安定な推移が見込まれる」としている。(了)

(2023年10月9日配信)

米原油先物が10月4、5日と続落し、1バレル82㌦台まで下落、8月30日以来の安値水準となった。4日は下落率が5・61%に達する大幅な下げで、下落率が5%を超えるのは5月2日以来5カ月ぶり。9月27日に付けた本年高値93・68㌦から5日までの下落率は12%強に広がった。市場では、米ガソリン在庫の急増や強含んでいる長期金利の動向を警戒。今晩の米雇用統計の発表を注視している。

一方、米天然ガス先物(HH)価格は3日続伸し、今年3月以来となる百万BTU(英国熱量単位)当たり3ドル台に乗せてきた。

(2023年10月6日配信)

米原油先物が10月4日、前日比5.01㌦安の1バレル84.22㌦と急反落し、8月31日以来の安値水準に後退した。1日の下落率の大きさは5.61%に達した。5%を超える大幅な下げは5月2日の5.29%以来、5カ月ぶり。市場では、同日発表された米石油在庫統計でガソリン在庫の急増が明らかになり、これが利益確定売りを誘ったとの見方が出ている。

JOGMECの首席エコノミスト・野神隆之氏は、「統計で明らかになった米ガソリン需要の低迷は、この時期としては2000年以来の低水準。他にもロシアの軽油輸出禁止の一部解除検討の報道、サプライズのないOPECプラス産油国共同閣僚監視委員会の内容などの弱気材料がそろって現れた。このため、市場は狼狽売りの様相を呈しているが、今年第4四半期に供給不足に陥るとの認識に変化はなく、市場のセンチメントが根本的に変化したとは言い切れない。原油市況は売られ過ぎ気味の領域に入りつつあり、値頃感から買い戻しが発生しやすい状況ではあるが、まずは明日6日発表予定の米国雇用統計が注目される」としている。

10月5日の東証は朝方、昨日までの大幅安に対する自律反発の動きとなり、TOPIXが6日ぶりに反発するなど全般に買い物優勢の始まりとなったが、原油の急落を受けて、GENIX‐CN70構成銘柄のINPEXや石油資源開発など石油関連株は売り気配のスタートとなった。

(2023年10月5日配信)

中東産LPGの日本向け長期契約価格(サウジCP)の10月分は、プロパンがトン当たり前月比55㌦値上がりして600㌦(前月比9.09%高)、ブタンは同50㌦値上がりして 615㌦(同9.82%高)となった。プロパン、ブタンともに3カ月連続で値上がりした。背景には原油市況の上昇が指摘されている。

(2023年9月29日配信)

東証9月28日前場の寄り付きは、GENIX‐CN70構成銘柄のINPEX、石油資源開発、日揮など石油株が大幅高でスタートした。朝方は全般に利益確定売りが先行する中で、石油関連株の値動きの強さが目立った。石油資源開発は2008年以来、13年振りとなる6000円台に到達した。

 前夜27日の米原油先物(WTI)価格は前日比3.29㌦値上がりして1バレル93.68㌦となり、7営業振りに今年の高値を更新した。また、当面の戻りのめどと見られていた昨年10、11月に付けた92㌦台の高値を一気に上抜いてきたことで、市場関係者の間では先高ムードが一層強まっている。

(2023年9月28日配信)

9月22日の東証株価は前夜の米国株式下落を受けて、朝方から売り先行で始まった。GENIX-CN70構成銘柄も商社、海運株など総じて下落した。半面、INPEX、石油資源開発、ENEOSなど石油株の一角は底固い動き。GENIX-CN70は前週末比2.08ポイント下落して164.04ポイントと5週ぶりに下落した。

21日の米原油先物市場は、米金融政策の引き締め長期化懸念が台頭し、利益確定売りに押された。期近終値は前日比0.65㌦安い89.63㌦と、3日続落し、6営業日ぶりに1バレル90㌦台を割り込んだ。

9月25日付紙面の関連記事「原油100ドルが視界に サウジ減産の影響を注視」

(2023年9月22日配信)

9月14日の米商品先物市場では、原油先物(WTI)価格が2日ぶりに反発し、終値は前日比1.64㌦値上がりして1バレル90.16㌦と、当面の節目と見られていた90㌦大台を突破した。90㌦に乗せるのは2022年11月7日の91.79㌦以来、10カ月ぶり。市場関係者の間では、原油需給の引き締まり感から先高を予想する声が強まっている。

原油市況の上昇を受けて、15日の東証ではGENIX-CN70構成銘柄のINPEX、石油資源開発、日揮、ENEOS、三井物産、三菱商事といった、石油やエンジニアリング、商社など資源関連株が一斉に買い進まれた。INPEXは2008年以来、この週急伸した日揮は2018年以来の高値水準。

(2023年9月15日配信)

9月13日の東京証券取引所では、朝方からINPEX、石油資源開発、ENEOSなどGENIX-CN70構成銘柄の石油株が買い先行でスタートし、本年高値を更新した。前夜12日の米原油先物価格(期近終値)が前日比1.55㌦高の1バレル88.84㌦と反発し、約1週間ぶりに本年高値を更新したことが買いの手掛かりになっていると見られる。

原油市場では需給に引き締まり感が指摘されるなど、市況は当面強含むとの見方に傾斜しているようだ。ENEOSのこの日の株価は4年8か月ぶりとなる600円台を目前に捉えている。INPEXは2008年10月以来、石油資源開発は2009年6月以来の高値水準に来ている。

米原油先物は2008年に145㌦の最高値を付け、2011年から2014年にかけて100㌦前後で推移していた。最近の石油株は原油100㌦時代の再来をあたかも織り込むかのような値動きを見せている。

(2023年9月13日配信)

9月8日の東京株式市場は、前夜の米国株式市場の下落を受けて、朝方から利益確定売りが先行する展開となったが、この週のGENIX-CN70は前週末比1.67ポイント上昇して161.86と3週連続値上がりし、前週に続いて指数算出以来の高値を更新した。この週は三菱重工、川重重工、三井物産、石油資源開発などが指数をけん引した。

原油先物価格(米WTI)は9月7日、前日比0.67㌦安い1バレル86.87㌦と、10日ぶりに値下がりし、前日まで値上がりが目に付いたINPEX、石油資源開発、日揮、ENEOS、三井物産、三菱商事などの資源関連株には利食い売りが広がった。

また、個別では、このところ物色人気を集めていた三菱重工も6日ぶりに反落した。半面、三菱重工の急上昇に対して出遅れ感が台頭していた川崎重工はこの日も買いが途切れず逆行高、10連騰となった。

三菱重工の本紙最新ニュース:長崎で脱炭素基盤技術 既存拠点連携し開発推進/三菱重工

川崎重工の本紙最新ユース:世界初ドライ式水素タービン、NOx抑制と高効率を両立/川崎重工
(2023年9月8日配信)

市況情報

健康・快適住宅の実現を目指して/暮らし創造研究会

健康・快適住宅の実現を目指して/暮らし創造研究会

日本ガス体エネルギー普及促進協議会は、超高齢・高度省エネ社会への移行を見据え、「暮らし創造研究会」を2014年3月に立ち上げた。暮らしにおける(1)健康・快適、(2)安全・安心、(3)省エネ・省CO2—を推進するための適切な設備と暮らし方を研究し、成果の発表・啓発を通じて豊かな暮らしの実現に貢献するための組織だ。健康・快適住宅の実現を目指す同研究会の活動と、国土交通省の「スマートウェルネス住宅等推進モデル事業」で取り組む実証実験の中間報告のほか、ヒートショックなど高齢者の住宅事故を防ぐためのベターリビングや都市ガス事業者の取り組み、国が進める住宅政策などを紹介する。

<床暖房の優位性を検証、省エネ改修促すツール作成/第6回会合>

暮らし創造研究会は、建築環境・省エネルギー機構の村上周三理事長、住環境計画研究所の中上英俊会長、ベターリビングの井上俊之理事長が幹事を務め、9団体で構成する。オブザーバーとして厚生労働省、経済産業省、国土交通省、環境省、日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会が参加する。

14年度から16年度までは、(1)ヒートショック対策をテーマとする効果・効能研究部会(主査・高橋龍太郎多摩平の森の病院院長)、(2)省エネ型ライフスタイル実現をテーマとする暮らしの意識・行動研究部会(坊垣和明東京都市大学名誉教授)、(3)地域コミュニティー活性化をテーマとする超高齢社会の居住環境研究部会(園田眞理子明治大学教授)—の3部会が研究を実施。17年度からは(1)健康・快適な暖房利用方法の追求をテーマとした暖房の健康影響研究部会(主査・伊香賀俊治慶応大学教授)、(2)省エネリフォーム推進をテーマとしたストック住宅の省エネ化推進手法研究部会(前真之東京大学大学院准教授)—の2部会が研究に取り組んでおり、今年度は3カ年の研究期間の2年目に当たる。

11日、東京・霞が関で行われた第6回会合では、2部会の主査が研究成果を発表した。伊香賀主査の部会は、断熱性能と暖房方法の違いが、特に長期間居住の際の健康などに与える影響について研究を行っている。具体的には主居室で主にエアコン暖房を使う「気流式暖房群」と床暖房を用いる「放射式暖房群」をアンケートと実測で比較する。

17年度はアンケートと実測調査を実施。18年度は被験者を追加し、暖房の運転頻度も指定した実測調査を行った。19年度は17年度の対象者にアンケートを再度行い、経年変化に着目した分析を行うと同時に、実測調査の結果をとりまとめる予定だ。

11日は17年度の暖房使用時期に行った調査結果を報告した。アンケートはエアコン358世帯684人、床暖房261世帯517人の計1201人、実測はエアコン43世帯82人、床暖房46世帯88人の計170人を対象に実施。住まいの評価に関しては、居間の「寒さ」「足元の冷え」について床暖房の方が寒さを感じる頻度が、統計上有意に少ないことが分かった。高血圧、肩こり、手足の冷えなどの症状も床暖房の方が少なく、「暖房方式が一部の疾病・自覚症状に影響を及ぼす可能性」や「特に高齢者において大きく影響を受ける可能性」があることが分かった。

起床後すぐの血圧(高い方の値)と居間の床からの高さ1mの温度の関係性も調べた。1m温度が10℃高いと血圧は6・2㎜Hg低くなるという有意な関連が確認された。また、血圧比較では床暖房の方がどの年齢層でも男性は1・6㎜Hg、女性では1・9㎜Hg低かった。伊香賀主査は「今回の調査ではどの年齢でも血圧差は同じだったが、サンプル数を増やすと高齢者ほど血圧差が大きくなる結果がおそらく出ると思う。次年度にその報告ができることを期待している」と述べた。

一方、前主査の部会は、リフォーム事業者が提案時に省エネや温熱環境の改善について定量的に効果を提示することにより、施主に省エネリフォームを促すツールの開発を行っている。11日は、17〜18年度に行ったアンケートを踏まえて作成した「健康で快適な暮らしのためのリフォーム読本」の試作版を配布した。前主査は「安くて住みながらできる簡便なリフォームも必要。事業者と施主の理解を深めるコミュニケーションツールとして活用してもらいたい」と述べた。今後、リフォーム事業者の活用を通じて読本の効果を検証し、来年度の完成を目指す。

リフォーム読本は、(1)リフォームする人のホンネ、(2)「暖かい家」の基礎知識、(3)「暖かい家」のつくり方と効果を知ろう、(4)もっと暖かく、快適な家をつくるには—の4部構成とする予定。(1)では18年度の調査を基に、「冬の寒さ」「床の冷たさ」「温度差」など住宅に対する不満を紹介。(2)では寒い家に住むことによる健康上の危険を伝えることで読者が自分事と認識するよう促す。その上で暖かい家をつくるためには断熱と暖房の選択が重要と訴える。(3)は断熱リフォームのレベルによって効果や費用が変わる事をシミュレーションで示した。(4)では床暖房とエアコンの暖まり方の違いや水回りの温熱環境改善策を紹介した。

18年度のアンケート調査も振り返った。81〜99年築の2階建て(延べ床面積80〜160㎡)で断熱リフォームを行っていない住宅に住み、リフォームを検討または強い興味がある1031人を対象に行った。リフォームを決断する上での不安として、費用や依頼先探しのほか工事中に転居の必要があることなどが挙がった。ヒートショックについては約9割が認知していたものの、現在の住まいで危険性を感じている人は約6割にとどまった。

アンケートの中で、断熱(窓・床・天井)や暖房方式(床暖房・エアコン)に応じて複数の改修パターンを設定し、省エネ性や工事費、光熱費、工事期間、温熱環境等の情報を提示した。その結果、窓だけではなく床・天井と断熱レベルを上げるほど実施意欲は下がり、工事費や工期が足かせとなる可能性が分かった。

一方、暖房リフォームに関しては情報提供前後で実施意欲が倍以上になり、特に「上下温度差」「工事費」「床表面温度」「設定温度への到達時間」に対して魅力的・印象的との回答が多かった。

参加者からは「伊香賀主査の住宅の屋内環境と健康影響の報告は大変意義深い。また、リフォーム読本ならば省エネ改修が進められるのではないか」(村上建築環境・省エネルギー機構理事長)、「エネルギーは使用量ばかりでなく本来の目的である快適など生活の質の追求が重要だ。より消費者に分かりやすい形の情報発信を求める」(中上住環境計画研究所会長)、「放射暖房の優位性を示す伊香賀主査の今後の研究に期待したい」(井上ベターリビング理事長)、「省エネは身近な一方、具体的な行動には結び付かない。住宅分野では健康や快適性が重要なキーワードであり、省エネとこれらの情報を結び付けて分かりやすく提供することが必要」(吉田健一郎経産省資源エネルギー庁省エネルギー課長)、「今年度まとめている高齢者住宅のガイドラインでは配慮事項の一つに温熱環境を挙げた。周知に関しても研究会と連携して進めたい」(多田治樹国交省住宅局安心居住推進課長)、「建築物省エネ法改正の説明義務制度について建築士が施主に説明する際に、コスト面に加えて省エネや健康・快適性も併せて伝えられるとよいと思う。前主査の研究データは既存ストック対策に役立てていきたい」(長谷川貴彦国交省住宅局住宅生産課長)、「省エネ改修は業界横断的に取り組んでいきたい」(小田広昭住宅生産団体連合会専務理事)などの意見が寄せられた。

<研究成果を教材に活用、省エネ行動を後押し>

暮らし創造研究会は、研究成果を教材や営業ツールなどの形にして、消費者に発信する普及活動にも力を入れている。小中高向けの教材には、(1)省エネ行動スタートBOOK、(2)エコな住まい方すごろく、(3)省エネ行動トランプ—がある。いずれも「暮らしの意識・行動研究部会」の成果物だ。

(1)は、省エネ行動に関する17のテーマについてワークシート(生徒用)と指導案(教師用)をセットにしたものだ。環境教育の要素を体系化し、学校現場での指導がしやすいように工夫した。教育現場等での活用も進み、18年10月には改定版を発行している。横浜国立大学の松葉口玲子教授が監修した。

(2)は、主に中学や高校の家庭科補助教材としての使用を想定。日常生活における省エネ行動の重要性や省エネ行動が地球環境にどのように結び付くかを学ぶ。住環境の抱える問題点や改善方法を知り住宅リフォームの意義を理解してもらう。慶応大学の杉浦淳吉教授が監修した。

(3)は、省エネ行動の認知・理解の向上と実践につなげることを目的に開発した。さまざまな省エネ行動をリビング・キッチン・お風呂・ライフスタイルの四つに分類し、年間削減金額とCO2削減量をそれぞれのカードに記した。(2)と同じく杉浦教授が監修した。

これらは実際の授業でも活用が進む。写真は昨年11月、千葉県茂原市の県立長生高校2年生が家庭科の授業で省エネ行動トランプを使い、7並べを行った様子。東京ガスと住環境計画研究所が環境省の受託事業「学校における省エネ教育プログラムの開発・実証」の一環として行った。生徒たちはカードに書かれた省エネ行動の文面を読み上げることで新たな知識を得ながら、ゲームを楽しんた。

<断熱化で健康改善へ、全国調査第3回中間報告会/日本サステナブル建築協会>

住宅性能と健康の関連の調査は国も進めている。その経過報告として日本サステナブル建築協会は2月1日、「住宅の断熱化と居住者の健康への影響に関する全国調査第3回中間報告会」を東京都内のホテルで開催した。

この調査は同協会が国から委託を受けて2014年度から18年度までの5年間、国土交通省の「スマートウェルネス住宅(SWH)等推進モデル事業」で断熱改修した住宅を対象に居住者の改修前後の家庭での血圧や活動量などを測定し、健康への影響を検証している。SWHとは高齢者、障害者、子育て世帯等の多様な世代が安心して健康に暮らすことができる住宅のこと。

生活空間の温熱環境を良くすることで居住者の健康状態が改善した検証結果(エビデンス)を多く収集し、その成果を普及させることでSWHの整備を図り、国民の健康状態を向上させることが調査の目的だ。比較対象として改修しない世帯のデータも収集している。改修前に2307件・4131人の調査を行い、改修後の679件・1194人のデータを収集した。今回は昨年度の冬期までの分析結果の発表で、調査は継続中。当初の調査期間終了後も長期間にわたり追跡調査を行うことを検討している。

国土交通省住宅局の長谷川貴彦住宅生産課長は冒頭のあいさつで「この調査で取り扱っている住宅の断熱と居住者の健康との関係の研究は住宅政策上重要なテーマだ。断熱化と健康の関係は十分なエビデンスが整っていないという指摘がある。エビデンスを積み上げ、どう使うかが今後重要になる」と述べた。

調査やデータ分析を行うSWH等推進調査委員会は東京大学名誉教授で建築環境・省エネルギー機構理事長の村上周三委員長をはじめ、建築学や医学などの専門家で構成されている。

同委員会幹事で調査解析小委員会の伊香賀俊治委員長(慶応大学理工学部システムデザイン工学科教授)らが室温と血圧・活動量・諸症状の関連を分析し、得られつつある知見を発表した。発表内容を紹介する。

夏季よりも冬季のほうが死者数は増加する。その増加率は欧州では寒冷地のフィンランドに比べ、温暖なポルトガルのほうが約3倍も高くなる。日本でも栃木県は北海道より約2・5倍増加率が高い。これは寒冷地のほうが断熱住宅の普及率が高いことと相関があると推測される。

冬季の死因の6割は呼吸器系疾患、脳血管疾患、心疾患の三つが占める。このうち脳血管疾患、心疾患などの循環器系疾患は血圧の上昇と密接な関係がある。厚生労働省は循環器系疾患の予防のために国民の最高血圧(収縮期血圧)を低下させることを推奨しているが、最高血圧を下げるためには生活習慣の改善だけが言及されている。

例えば英国で実施されているイングランド防寒計画では、呼吸器系や循環器系の疾患の予防のために住宅の断熱改修により室内環境を最低18℃以上に維持することが推奨されている。ニュージーランドで1200件、3300人を対象に断熱改修とその後の短期的変化を調査した先行事例もあるが、それは質問調査と小規模な温度測定にとどまっており、今回の調査のように大規模かつ居住者の活動量や血圧を測定し、健康診断の結果まで盛り込んだ調査は世界的にも珍しい。

昨年実施された第2回中間報告会では冬季の居間の室温が低いほど居住者の血圧が高く、健康診断での心電図異常が多く、夜間頻尿のリスクが高くなるデータが得られており、居間の室温を18℃以上に保つ断熱住宅の普及が死亡率の増加を抑制する効果が報告された。調査に参加した住宅は断熱改修前、18℃未満の家は約6割で、日本全体でみると温度が低い住宅の割合はより高くなると考えられる。

今回の報告会では(1)室温が年間を通じて安定している住宅では居住者の血圧の季節差が顕著に小さい、(2)居住者の血圧は部屋間の温度差が大きく、床近傍の室温が低い住宅で統計学上有意に高い、(3)断熱改修後に居住者の起床時の最高血圧が有意に低下、(4)室温が低い住宅ではコレステロール値が基準を超える人、心電図の異常所見がある人が有意に多い、(5)寝室の室温が低い住宅ほど過活動膀胱(OAB)の人が有意に多い、断熱改修後に就寝前居間室温が上昇した住宅ではOAB症状が有意に緩和、(6)床近傍の室温が低い住宅ではさまざまな疾病・症状の人が有意に多い、(7)断熱改修に伴う室温上昇によって暖房習慣が変化した住宅では住宅内身体活動が有意に増加—などが報告された。

この中で特に注目したい点は(2)と(6)である。(2)では居間だけでなく浴室や寝室など家中を一定の温度に保つ必要があることが指摘された。調査に参加した住宅で脱衣所の平均室温が18℃未満の住宅は89%、同じく寝室が18℃未満の住宅は90%と多く、ほとんどの住宅では部屋間の温度差が大きい結果が示された一方、居室と寝室の両方が18℃以上に保たれている居住者の方が、循環器系疾患が発症しやすい起床時の最高血圧が低くなる結果も示された。こうした傾向は床近傍の室温が1℃低下した場合に血圧への影響がより大きいことも示された。

また(6)では同じ温度の室内でも床に近い箇所の室温が高いことがさまざまな疾病・症状の低下に影響がある可能性が指摘されている。調査対象を温暖群(床上1m16℃以上で床近傍15℃以上の部屋)、中間群(床上1mは16℃以上だが床近傍は15℃未満)、寒冷群(それぞれ16℃、15℃未満)の3群に分けて比較した。その結果、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、骨折、ねんざ、脱臼などほとんどの調査項目で、温暖群がほかの二つに比べ疾病・症状が少ない結果が得られた。

報告会の後半では調査委員会の主要メンバーによるパネルディスカッションも行われ、本調査の背景となった寒冷による血圧上昇が循環器系疾患が発症する引き金になる可能性があるほか、血管の収縮が繰り返されることで血管の老化が進む慢性的な影響の可能性があることが言及された。近年、住宅の温熱環境改善による健康維持効果は数多く示されているが、まだエビデンスとしては低いランクであるため、この調査をベースに10年以上の追跡調査を実施するというコメントもあった。この調査の成果が医療行政や住宅行政に反映されることが望まれる。

<ヒートショック対策を、ガス事業者が啓発活動展開>

ヒートショック対策を促進しようとガス事業者もさまざまな活動に乗り出している。

東京ガスは2018年11月から今年2月までの4カ月間を重点期間とし、ヒートショック対策に関する啓発活動「STOP!ヒートショック」プロジェクトに取り組んだ。17年に行ったキャンペーンを格上げし、コロナ、セコム、TOTO、ノーリツ、パーパス、LIXIL、リンナイ、ダイキン工業・ダイキンHVACソリューション東京、日本気象協会、ベターリビングの11者協働で実施した。

まず、11月にオフィシャルサイト「STOP!ヒートショックSTATION」を開設。「おうちの対策おすすめポイント」「お風呂の安心度チェック」など自宅ですぐに実践できるコンテンツを提供している。「おうちの対策」では玄関、トイレ、浴室といった空間ごとに、暖房機器や内窓など協賛企業の役立つ設備を紹介。「湯はり時に浴室内を暖めておく」「入浴前に水分をとる」など入浴時に心掛けたい七つの対策も解説した。日本気象協会と東京ガスが共同開発したヒートショックのリスクの目安をチェックできる「ヒートショック予報」(10〜3月)も掲載している。

サイトの他にも、ヒートショックに関する情報を掲載したポスターとリーフレットを作成し、協賛企業が開催するイベントなどで活用している。同プロジェクトの幹事を務める東京ガス暮らしサービス事業推進部の濱田結子氏は「来年度以降もイベントなどでの周知活動やサイトのさらなる充実により、一人でも多くの方がヒートショックを回避し、快適な暮らしが送れるように協賛企業とともに努めていきたい」と話す。

●合同キャンペーン

東京ガス山梨は、UTYテレビ山梨グループが昨年10月15日から2カ月間展開した「ヒートショック対策を考えるキャンペーン」に、吉田ガスやLPガス3社、ガス・住設機器メーカー、ハウスメーカー、病院など30社とともに参画した。UTYが月〜金曜日の午後6時15分から放映中のニュース番組「ニュースの星」で、10月15日から4日連続でヒートショックを特集。キャンペーン期間中に3種類のテレビCMも投入し、理解の浸透を図ると同時に東京ガス山梨がヒートショック防止活動に取り組んでいることをアピールした。

11月2日には甲府市の県立図書館で「ヒートショックを知る防げる特別講演会」を開催し、約70人が参加した。東京都健康長寿医療センター研究所の前副所長で暮らし創造研究会の「効果・効能研究部」の主査も務め、現在は多摩平の森の病院院長の高橋龍太郎氏、山梨大学医学部付属病院副病院長で救急集中治療医学講座教授でもある松田兼一氏による講演に、多くの質問が投げ掛けられた。

11月16〜18日に本社などで開催したガス展ではUTYのブースを設置。ポスターを掲示し、パンフレットを配るとともに映像を流してヒートショックの怖さを訴えた。アンケートも行い、他事業者と情報の共有化を図った。機器販売では浴室でのヒートショック事故が多いことから浴室乾燥暖房機や脱衣所に設置するコロナの壁掛型遠赤外線暖房機「ウォールヒート」をPR。家全体の良好な温熱環境に寄与する床暖房やファンヒーターなども提案した。

山本洋史営業企画グループマネージャーは「10月27日に石和温泉近くで行ったミニイベントでは来場者の大半がテレビの特集を見ており、ウォールヒートは用意したリーフレットが全てなくなり、3件の現場調査を依頼された。県民にヒートショックを知ってもらおうという初年度の狙いはまずは達成できた。12月から2月までは、『ニュースの星』の天気予報で県内5地域のヒートショック予報も流した。来年度は東京ガスとの連携を強化し、もう一段踏み込んだ活動としたい」と語る。

●産学官が連携

福岡県の大牟田ガスは、産学官連携でヒートショック事故防止に向けた啓発活動を展開する。大牟田市の人口に占める65歳以上は35・9%を占め、その半分弱が一人暮らし。ヒートショック関連の救急出動・死者が増えており16年11月、同社の呼び掛けで「大牟田ヒートショック予防対策委員会」が結成された。

メンバーは大牟田市、大牟田市消防本部、大牟田警察署、大牟田医師会、帝京大学福岡医療技術学部、福岡県大牟田地区LPガス協会。大牟田ガスが事務局を務め、ヒートショック事故の多い冬季に重点的に啓発チラシの配布や講演会などを行う。

昨年は9月に同委員会後援の下、九州で初めて「健康・省エネシンポジウムinおおむた」が開催された。学識者や医療関係者、住宅会社等で構成する「健康・省エネ住宅を推進する国民会議」が、国土交通省の「スマートウェルネス住宅等推進事業」の一環で行った全国調査の知見「暖かい家は健康に良い」を消費者に伝えるために各地で行っている。11月4日には三川地区公民館で同委員会がヒートショック予防対策講演会を開催。市と医師、設計事務所、消防本部が講演し、100人を超える参加者を集めた。

大牟田ガスは単独でも啓発活動に取り組む。15年に制作したマスコットキャラクター「ぬっかさん」の着ぐるみを作り、幼稚園や老人ホーム等を訪問してヒートショック予防を訴え、ガス展では「健康セミナー」も実施。今年度は大牟田市生涯学習まちづくり推進本部が行う「企業出前講座」に手を挙げ、10月と1月に集合住宅の集会所やデイケア施設で「ヒートショック事故を防ごう豆知識講座」を開催した。

同社の中嶋覚理事は「講演会はこれまで大会場で行ってきたが、今年度から高齢者が足を運びやすい小規模施設でも行っている。委員会では市に七つある公民館を3年かけて回る。初回の三川地区は予想をはるかに上回る参加者でヒートショックに対する関心の高さを実感した。もう一歩進んで効果的な対策をとってもらえるように引き続き啓発活動に注力したい」という。

<賃貸集合を「エコリノベ」、産学連携で断熱性比較実証/日本ガス>

日本ガスは今年度1年間のプロジェクトとして、エネルギーの観点から住宅資産の価値向上を目指す「賃貸マンションエコリノベーション実証実験」に取り組んだ。鹿児島市内の築37年の賃貸マンション1棟を購入、空室2部屋を断熱改修し、改修前後の室内環境の改善効果などを検証した。地域の建築・不動産事業者と今後のエネルギーと住まいの在り方を考察するとともに、今後は賃貸物件オーナーに都市ガス採用を働き掛ける際の営業ツールとしてデータを活用していく。

プロジェクトは3社連携で行った。日本ガスが物件オーナーと事務局、エネルギーまちづくり社(東京都港区)が設計とDIYの技術指導、建設会社の大城(鹿児島市)が工事とDIYワークショップの運営を担務。鉄筋コンクリート造の5階建ての賃貸マンション1棟(住戸15部屋)のうち空き室だった3部屋を(1)DIYで断熱改修(501号室)、(2)プロが断熱改修(502号室)、(3)無断熱(302号室)—とし、同じ間取りの502号室と302号室を比較した。2部屋にはそれぞれ5カ所に温度センサーを取り付けた上で同じ設定でエアコンを運転し、温度と電力量、サーモグラフィーによる熱の分布状況を比較した。

鹿児島大学大学院二宮秀與研究室の分析によると、冬期(12月18〜30日)22℃設定で24時間暖房運転を行ったところ、エアコンの消費電力に1日当たり15〜31%の差が出た。また、窓や壁の表面温度に5℃以上の違いが見られ、アルミフレーム・単板ガラスの無断熱の部屋は冷たい空気が対流を起こし、寒さが感じられた。夏期(9月18〜19日)は502号室の屋根断熱の効果を検証。屋根の表面温度が55℃以上となる中、室内の天井表面温度にはほとんど変化がなく改修の効果が表れた。

501号室は10〜12月の5日間、DIYワークショップを開き、延べ30人が参加。断熱改修に関する座学の後、プロの指導の下、床・壁・天井への断熱材の充填と壁の塗装、木材による内窓作りを体験した。日本ガス家庭用営業グループE—STYLEチームの泊和哉氏は「一般の方にはエコリノベは自分でもできることを、プロには温暖な鹿児島でも一般人の断熱に対する関心は高いことを知ってもらいたかった」と話す。10月には賃貸物件のエコリノベの可能性についてトークセッションを実施。1〜2月には3部屋の見学会も行った。

今回の実証の背景には、総合エネルギー企業として質の高い賃貸物件を増やすことで入居者の退去を防ぎ、入居者、オーナー、日本ガス、地域それぞれにメリットをもたらす好循環を形成する狙いがある。間取り変更や設備の交換にとどまらず、建物本体の性能を向上するエコリノベで快適性向上と光熱費の削減、ヒートショック予防など健康面にも良好な環境を整えられれば空室率が改善できることを示し、賃貸オーナーや建築・不動産事業者にエコリノベを働き掛けようと考えた。

502号室は入居者が決まり、501号室は募集中。今月には1棟売却手続きに入る。泊氏は「購入価格より高く売却できればエコリノベの効果を示せる」と話す。

<高齢者の住宅事故を防げ、温熱環境の向上を目指して/ベターリビング>

優良な住宅部品に対する認定等を行うベターリビングは、住宅ストック(既存住宅)の品質をより良くするというミッションに向け、高齢者のヒートショックなどを防ぐ上で重要な住宅の温熱環境の改善に取り組む。建築学・医学の専門家を含む委員会を設置して実証実験や議論を行い、パンフレットやシンポジウムでその結果を消費者等に周知するとともに、建築・不動産会社や住宅部品メーカー、国・地方公共団体等に提言を行っている。

最初の実証実験は2011年度にさかのぼる。建築系・医療系学識者と東京ガスなど民間企業7社で立ち上げた「健康長寿住宅エビデンス取得委員会」(委員長・高橋龍太郎前東京都健康長寿医療センター研究所副所長、事務局・ベターリビング)が、住環境と居住者の健康との相関関係を証明するため、11年度から4年間にわたり戸建住宅39戸53人の高齢者を対象に断熱改修前と改修1年後の健康指標の変化を検証。断熱改修後は血圧変動が少なくなり、睡眠の質が改善したなどの結果をリーフレット「人は住まいとともに生きる」にまとめ14年に発行し、ホームページでも公表した。15年3月には都内でシンポジウムも開催した。

次に14〜16年度の3年間にわたり、集合住宅についても断熱・気密改修と暖房の違いが身体に与える影響を検証した。前述の高橋氏が主査を務めた暮らし創造研究会の「効果・効能研究会」がこれに当たる。

16年6月には「住宅における良好な温熱環境実現研究委員会」(委員長・村上周三建築環境・省エネルギー機構理事長)が発足。冬場の低室温が健康へ悪影響を及ぼすと考えられることから2年間にわたり、浴室、脱衣所、トイレ等に配慮し、住宅の温熱環境改善のための具体的な対応策を検討。昨年7月のシンポジウムで研究成果を報告した。そして最終年度となる今年度は実証で得た知見の普及を図る。その前段階として「健康に暮らすためのあたたか住まいガイド」や自宅の温度や入浴法をチェックしてもらうチェックシートを作成。建築事業者などに活用を促し、使い勝手を調査している。報告書と各主体への提言書はホームページに公表した。折田信生調査研究部長は「今年度は温度に着目し、特製の温度計も作った。消費者自ら寒いところに住んでいることを自覚してもらおうという狙いだ。消費者、事業者、国や自治体、どこが欠けても良好な温熱環境は実現できない。今後も高齢者が安心して暮らせる住宅ストックの質向上に努めていきたい」と語った。

<住宅の省エネ対策を推進、効果の定量化とツールに期待/国土交通省住宅局住宅生産課・長谷川貴彦課長に聞く>

—日本の住宅政策における省エネ対策について。

住宅政策は非常に幅広い。空き家対策や、低所得者層の住宅をどう確保するかといったことをはじめ、さまざまな問題がある。その中の一つが住宅性能の向上だ。日本の住宅ストック全体の性能は、まだまだ十分ではない。耐震性能や省エネ性能が優れた、暮らしやすく安心・快適な住まいづくりをどう進めていくかが、大きな課題になっている。

—社会資本整備審議会が今年1月に、今後の住宅・建築物の省エネ対策に関する報告書を取りまとめた。

本答申を踏まえて、建築物省エネ法の改正案を提出している。改正案には、新築を中心に、建物の特性に応じて省エネ性能を引き上げるための仕組みがパッケージで盛り込まれている。現在、省エネ基準への適合が義務付けられているのは非住宅の大規模建築物(延べ床面積200㎡以上)だけだが、これを中規模(300㎡以上)まで拡大する。マンションなどを対象とする省エネ基準適合の届け出制度の手続きも合理化する。

小規模の住宅や非住宅建築物については、設計に携わる建築士に対して当該物件が省エネ基準に適合しているかどうかを施主に説明することを義務付ける。また、目標年度において、高い水準の省エネ性能を求める「住宅トップランナー制度」の対象を大規模な建売戸建て事業者だけでなく、注文住宅や賃貸住宅の事業者も加える。

行政庁が認定した高いレベルの省エネ基準に適合している建物には、省エネ性能を高めるための設備が占めているスペースを容積率にカウントしなくてもいい仕組みがある。この仕組みを単独の建物に加え複数の住宅・建築物が連携して省エネを行うケースにも広げる。

こうした内容を盛り込んだ改正案を今後国会で審議する予定だ。

—同報告書は床暖房等の省エネ基準やヒートショックの防止にも言及している。

床暖房に関しては「快適性等の観点から市場に流通している床暖房等の省エネ基準における取り扱いについて検討を進める必要がある」という記述が盛り込まれた。

審議の過程では「増エネになるけれども健康のためには大事な技術もある。省エネという一つの物差しだけでみてしまうことで、そうした技術が消えることがないよう配慮が必要」という意見があった。一方で「快適性という言葉で多様な手法を認めることはかなり慎重になるべきである」との意見もある。これらの意見を踏まえて、床暖房等の省エネ基準の取り扱いについて検討を進めていく。

ヒートショックに関しては、2016年に改訂された現行の住生活基本計画で初めて言及された。今回の報告書では、住宅・建築物の省エネ性能向上を進めるうえで、断熱化による室内の温熱環境の改善がヒートショックや結露・カビの発生を防止し、居住者の健康維持等につながることについて、消費者の理解を促す必要性が指摘されている。本法案が順調に可決成立された場合には、建築士が施主に省エネ基準への適否を説明する際に、断熱性能を高めると健康にも良いことを併せて説明してもらえるような取り組みも今後考えていきたい。

—国交省は省エネで健康に暮らせる「スマートウェルネス住宅」を提唱し、補助事業を行っている。どのような成果が出ているのか。

スマートウェルネス住宅事業では、今年度までの5カ年事業で断熱改修が健康に与える影響に関するデータ、エビデンスを集めている。例えば、断熱改修をすると居住者の起床時の血圧が低下する傾向があることが明らかになってきている。室温が低い家では、コレステロール値が基準範囲を超える人や、心電図の異常所見のある人が多いというデータも出ている。

ほかにも生活空間の温熱環境の改善が、さまざまな側面で健康に良い影響を与えるというエビデンスが積み上がってきている。「断熱性能が高い住宅は、エネルギーコストが軽減できるだけでなく健康にも良い」ということを消費者に理解してもらい、省エネと健康増進を同時に実現するような効果を期待している。

—暮らし創造研究会の活動をどう評価しているか。

健康については、経験的なデータを積み上げていくことが重要なので、暖房方法の違いが血圧に与える影響についてもエビデンスを積み上げていく取り組みは意義深いと考えている。来年度、どのような形で効果の定量化が図れるのか注目したい。

もう一つの消費者向けの省エネリフォームの分析等については、政策的にも大きな課題になっている分野であり、大変興味深い分析を進めていただいている。分析結果等が今後の省エネリフォーム促進につながる提案ツールの整備等につながることを期待している。

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