![第12回ウィズガス全国親子クッキングコンテスト 親子で作ろう! わが家のごはん](https://www.gas-enenews.co.jp/wp-content/uploads/2019/02/20190225-tokusyu-part-51024_1.jpg)
ウィズガスCLUB(住宅生産団体連合会、キッチン・バス工業会、日本ガス石油機器工業会、日本ガス体エネルギー普及促進協議会の4団体で構成)は1月27日、東京ガス新宿ショールームで「第12回ウィズガス全国親子クッキングコンテスト全国大会」(総務省、文部科学省、農林水産省、全国小学校家庭科教育研究会後援)を開催し、応募総数6万747組から地区代表に選ばれた11組の親子が自慢の腕を競った。グランプリの「ウィズガスCLUB賞」に選ばれたのは、岡山市の青井姫奈さん(小5)・恵理さん親子。中国地区代表として初の栄冠に輝いた。
●青井さん(中国地区)が優勝、丁寧な調理で食材生かす
大会当日、開会式で出場親子を代表し、東海地区代表の三浦大知くん(小5)・美紀さんが「私たちは各地区の代表として日ごろのチームワークを発揮し、より親子の絆を深め、この全国大会の場でわが家の自慢メニューを楽しく料理することを誓います」と選手宣誓すると、会場の熱気が一気に高まった。
クッキングコンテストは、炎を使った調理で五感を研ぎ澄まし、子供の心と体の成長を促すとともに、親子で料理の楽しさ、食の大切さを知ることで家庭における食育を推進することを目的に2007年にスタート。「わが家のおいしいごはん〜家族で一緒に作ろう、うちの自慢メニュー〜」をテーマに、食材費2000円程度で4人分(上限5品)を60分以内に作る。
審査委員は、服部学園理事長・服部栄養専門学校校長・医学博士の服部幸應氏(審査委員長)、帝国ホテル総料理長・料理ボランティアの会代表の田中健一郎氏、全国小学校家庭科教育研究会会長の曽我部多美氏の3人。親子のチームワーク、おいしさ、わが家ならではの工夫、ガスならではの調理方法—の四つの観点で審査し、グランプリ、準グランプリ3組、審査委員特別賞3組、炎のクッキング賞4組を選出した。
グランプリの青井さん親子は昨年に続き2度目の全国大会出場とあって、声を掛け合いながらリラックスした雰囲気。姫奈さんがおろしたアジとレンコンを揚げ、ネギソースや岡山名産パクチーをかけた竜田揚げ、春巻きの皮に油揚げやチーズ、シソ、岡山名産の黄ニラと白みそなどを混ぜた「黄ニラみそ」をくるりと巻いて食感よく焼き上げた独創的メニューなど5品を、抜群の連携プレーで作っていった。1年で5㎝以上身長が伸びた姫奈さんは料理の腕もワンランクアップ。「今日は時間に余裕があり、味付けもこれまでで一番おいしくできた。去年のリベンジで挑戦したけれど、まさか優勝できるとは思わなかった」と優勝の喜びを語った。
準グランプリの「住宅生産団体連合会賞」には、四国地区(高知県高知市)代表の氏原陽月さん(小5)・詩子さん、「キッチン・バス工業会賞」には北陸地区(富山県魚津市)代表の大森清良さん(小5)・百合子さん、「日本ガス石油機器工業会賞」には近畿地区(大阪府堺市)代表の岡田凱くん(小6)・さと子さん親子が選ばれた。
氏原さん親子は、陽月さんが川で捕まえたアユをメイン料理にした。食べやすいように小骨を取り去り、米粉の衣で揚げ、高知名産のユズをベースにしたドレッシングを添えた。陽月さんは「わが家の定番メニュー」と話す。祖父の影響で保育園の頃からアユを捕まえ、アユ料理に親しんできた。コンテストの料理は、最近川に行けない祖父に食べてもらいたいと作った。調理中は詩子さんとしっかりコミュニケーションを取って、笑顔でやりきった。
大森さん親子は魚津市の夏の風物詩「たてもん祭り」のユネスコ無形文化遺産登録を受け、学校給食に出された「たてもん汁」をアレンジして工夫を凝らした。漁師飯「バイ飯」もバイ貝にゴボウやニンジンなどの野菜を加え、富山のブランド米「富富富(ふふふ)米」と炊き込み、わが家の味に仕上げた。清良さんは昨年12月に右手小指を骨折し、「満足に練習できなかった」(百合子さん)そうだが、全くその影響を感じさせずに親子息の合ったところを見せた。
岡田さん親子は地元堺市の歴史にちなみ、南蛮貿易や与謝野晶子、千利休などから発想したアイデア満載の5品を調理。緊張感ある会場でお互いを気遣い、声を掛け合いながら調理を進めた。
メイン料理は凱くんが担当したアナゴ丼。生のアナゴを臭みなくおいしく調理しようと、練習の過程で近所の鮮魚店にコツを教わったという。本番でも練習通りに丁寧に下処理してグリルで焼き、甘辛いタレに漬けて、ご飯が進む一品を完成させた。
●各賞7組も健闘
僅差で団体賞を逃した7組も地元の食材を生かし、健闘した。審査委員特別賞は、北海道地区(北斗市)代表の伊藤百花さん(小6)・綾子さん、関東中央地区(長野県松本市)代表の森優風さん(小6)・しず枝さん、同じく関東中央地区(神奈川県小田原市)代表の西海泉樹さん(小5)・直樹さん親子が受賞した。
伊藤百花さんはサンマを三枚におろし、包丁の先で血合いを掃除。さらに大きなホッキ貝の身をきれいに外すなど大人顔負けの腕を披露した。北斗産のトマトやカボチャ、隣町の七飯町の牧場の作りたてモッツァレラチーズなど、北海道の特産物をたっぷり使って、栄養バランスのとれた5品を仕上げた。調理を終えた綾子さんは「サンマやカボチャは旬を過ぎ、ホッキ貝も海が荒れていたため、地元の料亭やホテル、漁協さんの協力がなければ食材を集められなかった。本当に感謝しています」と話した。
森さん親子は信州ならではの食材と創意工夫あふれるレシピが光った。審査委員の注目を集めたのはそば粉のクレープ「ガレット」だ。そば粉は自宅に常備してあるという。ガレットは優風さんが専用フライパンを使って、ガスコンロで一枚一枚焼き上げ、具材のキノコや信州サーモンを添えた。松本一本ねぎのポタージュスープはしず枝さんの自慢の一品。豆乳を使って、乳製品アレルギーの子も食べられるよう工夫した。
西海さん親子は「お米が進む」をテーマにした和食を作った。泉樹さんはアジの三枚おろしを担当。父直樹さんにさばき方を教わってコンテストに向けて何度も練習した。本番では落ち着いた手つきで2匹をさばいた。土鍋で炊いたご飯にハチミツを入れてつやを出す一工夫には、審査委員の注目が集まった。今回の全国大会では、唯一のお父さんと娘のコンビ。あうんの呼吸で、1時間を乗り切った。
炎のクッキング賞は、東海地区(愛知県田原市)代表の三浦大知くん(小5)・美紀さん、関東中央地区(千葉県千葉市)代表の新田栞さん(小6)・聖子さん、東北地区(岩手県盛岡市)代表の齋藤璃子さん(小6)・悠子さん、九州地区(長崎県佐世保市)代表の宿利茉央さん(小2)・雅子さん親子が受賞した。
三浦さん親子は、新鮮な野菜をはじめ卵や豆腐など田原産の食材を5品全てにふんだんに使った。美紀さんは自分の作業を進めながら大知くんに目を配り、ブロッコリーを小分けにする仕方などを教えながら調理を進めていた。大知くんは家族が大好きな里芋グラタンのホワイトソースや、サラダにトッピングするゆで卵を細かくした「ミモザ」作りを黙々とこなした。
新田さん親子は、おじいちゃんとおばあちゃんの思い出の味をメニューに盛り込んだ。おじいちゃんの得意メニューのいわしのたたき揚げに、豆腐を練りこんでわが家流にアレンジ。栞さんが一つずつ丁寧に油で揚げた。おばあちゃんお手製の梅干しはドレッシングにして、切り干し大根のサラダにあえた。スープにはホンビノス貝を使った。潮干狩りシーズンになると地元の稲毛海岸に採りに行くこともあるなじみ深い食材。貝のうまみに牛乳とみそを合わせてチャウダー仕立てにした。息の合った動きで余裕を持って調理を終えた。
齋藤さん親子は昨年に続き、2年連続の出場となった。地元の岩手県に思いを寄せて、「岩手の恵みにありがとう」をテーマに一つ一つの料理に地元食材や郷土食を取り入れた。わが家ならではの工夫として、しょうゆこうじや塩こうじ、みそなどの自家製発酵調味料を使った。健康のために普段から使っているという。2人で料理を分担し、璃子さんは南部鶏の梅じそ蒸しなどを担当。食材を丁寧に扱って、見栄え良く仕上げる姿が光った。
宿利さん親子は、茉央さんが今大会最年少の2年生。笑顔ながらも「緊張する」と話す母雅子さんと、声を掛け合いながら元気いっぱい調理した。97歳のひいおばあちゃんに長生きしてほしいと、タンパク質を意識したメニューを考えた。長崎県産の「焼きあご」だしも味付けのポイントだ。茉央さんは、メイン料理に添える生野菜のドレッシングを担当した。何度も味見しながら納得いく味に完成させた。
●ご当地お菓子を交換
全国大会前日の1月26日夕、東京ガス新宿ショールームに代表の親子が集まり、「コミュニケーションタイム」が催された。各親子が薦めるご当地のお菓子と、親子それぞれの名刺を事務局が用意。これらを交換し合うことで、出場者同士の親睦を深めてもらおうという初の企画だった。
司会者から、北海道の「マルセイバターサンド」(六花亭)や岡山の「桃太郎伝説」(山脇山月堂)など全国9地区計11種類のお菓子の紹介が済むと、前後に着席していた親子からお菓子の交換が始まった。
子供たちは名刺にオリジナルメッセージを添え、初めての名刺交換を楽しんだ。出場者に付き添う家族も加わり、あちこちで話の輪が咲いた。同じ目的に向かって練習を重ねてきた親子同士、明日の健闘を誓い合い、楽しいひと時を共有した。
<11組の賞・レシピ>
〇ウィズガスCLUB賞、中国地区代表(岡山県岡山市)
青井姫奈さん(小5)・恵理さん
黄ニラ、パクチーなど岡山食材満載!
がんばるけぇな!岡山!瀬戸内のめぐみたっぷり栄養満点!我が家の元気ごはん
・青井さん親子の話/3匹のアジを器用にさばいた姫奈さん。書類選考を通過してから、釣り好きのお父さんに習って練習を重ねた。「今日はアジが小ぶりだったので練習では2匹のところを3匹使いましたが、手際よくさばいてくれました。姫奈はもう大きなタイでもへっちゃら。確実に私より上手にさばきます」と恵理さんは目を細める。
青井さん親子は昨年の全国大会の悔しさをバネに練習に励んだ。昨年は固いタコ飯を炊いてしまったという恵理さんは「昨年は私のミスで残念な結果に終わってしまったので、夏休みから何度も練習を重ね、家族にもたくさん味見をしてもらいました。支えてくれた皆さまに感謝です」と表彰式で声を詰まらせた。
実技審査直後は調理の反省点を挙げていた姫奈さんも「今日は特に緊張せず、時間も余裕を持てて、味付けも今までで一番おいしくできた」と笑顔を見せた。
夢はプロゴルファーという姫奈さん。お父さんと妹と一緒に練習に通う。「賞金で家族旅行に行きたい」と声を弾ませた。
・どんなメニュー/アジとレンコンの竜田揚げネギソースかけはレンコンの食感が楽しく、上に散らした岡山産パクチーとの相性もバッチリ。煮干しと昆布でだしを取り、根菜をたっぷり使った豚汁は青井家定番の味。岡山特産の黄ニラは細かく切って白みそとみりん、砂糖と炒めて「黄ニラみそ」にし、油揚げとチーズ、シソと春巻きの皮で巻いてカラッと揚げ焼きに。サワラの炊き込みご飯は鯛めしを岡山風にアレンジした。
〇準グランプリ、住宅生産団体連合会賞
四国地区代表(高知県高知市)氏原陽月さん(小5)、詩子さん
は畑(ばたけ)、高知!!川も海も
・氏原さん親子の話/メイン料理は「私が獲った鮎のゆずマリネ」。炊き込みご飯はショウガを効かせて高知産のかんきつ「ぶしゅかん」を添えて香り豊かに。ナスはグリルで直火焼きにしてだしのゼリーを合わせた。ピーマンもグリルで焼いて特産のシラスをたっぷりのせた。ニラとミョウガの卵スープでバランスよい5品を作った。
陽月さんは「いつも通りできた。来年も参加したい」と意欲的。詩子さんは「いつも、母親の私を引っ張ってくれる。コンテストでも頼もしさを発揮してくれた」と話す。
〇準グランプリ、キッチン・バス工業会賞
北陸地区代表(富山県魚津市)大森清良さん(小5)・百合子さん
魚津から発信!!わが家流富山めし
・大森さん親子の話/大森さん母娘は前回、北陸地区決勝まで進み、あと一歩のところで全国大会出場を逃した。「お母さんと一緒に料理するのが楽しかったから今回もやってみたいと私から言った」と清良さん。百合子さんは「練習を重ねるうちに料理が上手になり、お手伝いもよくしてくれるようになりました」と娘の成長を振り返る。
5品に魚津の魚介と文化も詰め込んだ。イチ押しはとろろ昆布をはさんだ揚げ出し豆腐とたてもん汁。おじいちゃんの畑のネギと里芋を使った豆乳グラタンもお薦め。
〇準グランプリ、日本ガス石油機器工業会賞
近畿地区代表(大阪府堺市)岡田凱くん(小6)・さと子さん
古今の堺の魅力をあますことなく伝える「左海御膳」
・岡田さん親子の話/アナゴ丼とおかず、吸い物とデザートを作った。カボチャの南蛮煮は豆板醤やゴマ油でアクセント。小松菜の利休あえは、白みそやゴマで風味よく。とろろ昆布の吸い物は与謝野晶子の著書『みだれ髪』の表紙をイメージした。凱くんは今回初めてコンテストに挑戦。「料理の奥深さを知った。お母さんの帰りが遅いときは一人で簡単な料理ができるようになった」という。さと子さんは「これまではほとんど料理をすることはなかったが、今はガスコンロを任せても大丈夫。本人も自信が付いたはず」と話す。
〇審査委員特別賞
・北海道地区代表(北斗市)伊藤百花さん(小6)、綾子さん
北の国から愛をこめて「まごはやさしい」ごはん
豆、ゴマ、ワカメ、野菜、魚、シイタケ、芋(まごはやさしい)を使った栄養バランスの良い和食膳。おじいちゃんとおばあちゃんに食べてもらい、長生きしてほしいと考案した。ホッキ貝、スルメ、昆布、サンマなど函館の海産物と、ジャガ芋やカボチャなど北斗産の野菜、七飯産のチーズなど北海道のおいしい食材をふんだんに使い、いろどり良く仕上げた。
・関東中央地区代表(長野県)
森優風さん(小6)、しず枝さん
信州そば粉のガレットランチ
リンゴのワインで香り付けした信州産そば粉のガレットは、霜降りヒラタケのオイル焼きを包み、信州みそのバーニャカウダ風ソースを添えた。伝統野菜の松本一本ねぎと玉ネギのポタージュは豆乳と塩こうじを使い、乳製品アレルギーの人も食べられるように。ニジマスはマリネしてライスサラダに変身。随所に工夫を凝らした絶品ランチだ。
・関東中央地区代表(神奈川県)西海泉樹さん(小5)、直樹さん
お米が進む御菜(おかず)
土鍋で炊いたご飯は少量のハチミツを入れることで甘みを引き立てた。5種類のキノコを使った汁物は、キノコを手で大きく割くことで食感と風味を残し、鴨と鶏のダブル使いで深みのある味わいに仕上げた。かつお節でだしを引いた厚焼き玉子、小豆を煮るところから作ったぜんざいなど純和風な5品は、いずれも丁寧な仕事ぶりが光る。
〇炎のクッキング賞
・九州地区代表(長崎県)宿利茉央さん(小2)、雅子さん
手軽にたんぱく質♪パクパク食べてパワーアップ!!
ひいおばあちゃんに長生きしてもらいたくて、タンパク質が豊富なメニューを考案。メインはササミを梅でさっぱり食べさせる丼ぶりと、豚バラ肉をニンニクで炒めて栄養の吸収を良くした豚肉のオクラ巻き。長崎の特産品の焼きアゴは、みそ汁のほかに、ナスとピーマンのおひたしにも活用。焼き野菜とゆで卵はグリルで時短調理を心掛けた。
・東北地区代表(岩手県)齋藤璃子さん(小6)、悠子さん
わが家の岩手ふるさとごはん〜岩手の恵みにありがとう〜
手作りのしょうゆこうじ、塩こうじ、みそ、酒かすを使い、だしを引いて、素材の味が生きるシンプルな味付けを心掛けた。三陸いか飯は、下味を付け細かく切ったイカを使い、調理時間を短縮。発酵調味料で仕上げた齋藤家の納豆汁は素朴でやさしい味わい。南部鶏、一関曲がりねぎ、盛岡りんごなど、岩手の食材をフルに活用した。
・関東中央地区代表(千葉県)新田栞さん(小6)、聖子さん
千葉の!じいちゃんばあちゃんなつかしごはん
おじいちゃんが作るイワシのたたき揚げに豆腐を加え、わが家風にアレンジ。大好きなおばあちゃんの梅干しは刻んでドレッシングに仕立てた。近くの稲毛海岸でも収穫されるホンビノス貝は、シイタケの戻し汁とみそを使って和風チャウダーに。房総でとれるヒジキは炊き込みごはんの具に活用。おじいちゃんとおばあちゃんへの思いが詰まった献立だ。
・東海地区代表(愛知県)三浦大知さん(小5)、美紀さん
田原の「大地」の恵みを丸ごと食べちゃうぞ!
地元の「あつみポーク」「どうまい牛乳」や、近所からよくもらう里芋、トマト、ブロッコリー、卵など田原の地産の食材をたくさん使った5品で勝負。ご飯の上に里芋やネギ、キノコ、豚肉などを具材に入れたホワイトソースを掛けて焼き上げたグラタンは、上に添えたわが家の甘みそがポイント。栄養バランスと見た目にも気を配った。
●参加者に聞く(11組の親子にアンケート)/子供の成長を実感
書類選考と地区の実技予選を突破し、全国大会に出場した11組の親子に、全国大会の感想や料理で工夫した点、コンテストを通じて感じた子供の成長ぶりなどを聞いた(アンケートの回答を基に構成した)。
〇いい思い出に、料理の関心高まる/北海道地区代表:伊藤百花さん(小6)・綾子さん
「お母さんがりんごのキャラメリゼを焦がしたけれどちゃんと挽回して、全てうまくできて良かった」と百花さん。サンマは骨まで揚げて食べさせるなど、全てのメニューに工夫を凝らした。
綾子さんは「地元のたくさんの方に協力いただけて幸せに思います。コンテストを通じ娘の料理に対する興味・関心が高まり、将来の夢もできたようです」という。
〇悔しさと楽しさ料理を積極的に/東北地区代表:齋藤璃子さん(小6)・悠子さん
昨年に続き2回目の全国大会となった。「去年は審査委員特別賞で今年は炎のクッキング賞、悔しかった。でも楽しかった」という璃子さん。全力でやりきった。悠子さんは「私のミスで娘の足を引っ張ってしまい悔しい思いをさせてしまいました。コンテストに参加するようになって、料理を積極的にするようになった」と成長をかみしめる。
〇2人で協力した、自立心強くなる/関東中央地区代表(千葉県):新田栞さん(小6)・聖子さん
「とてもスムーズにできたし、お母さんと良いコミュニケーションが取れたので良かった」と振り返る栞さん。聖子さんは「2人で楽しく、協力して取り組めました。私の両親から代々つながる料理を全国の舞台で紹介できたことが自慢です。娘は自立心が強くなり、協力や準備の大切さを学んだと思います」と評価した。
〇魚さばき何度も練習、全国の味楽しめた/関東中央地区代表(神奈川県):西海泉樹さん(小5)・直樹さん
「県大会はギリギリ、地区大会は時間切れになってしまいましたが、全国大会では時間に余裕をもってできたと思います」と泉樹さん。大会を経験するたびに成長してきた。特に魚の三枚おろしは何度も練習した。直樹さんは「最後の試食では全国の家庭の味を楽しめた。子供にとっても良い経験になった。来年もこの場所に立てるよう頑張りたい」と意欲を見せた。
〇おいしくできた、自ら工夫できる/・関東中央地区代表(長野県):森優風さん(小6)・しず枝さん
優風さんは全国大会を終えて「もう終わったんだ、と思いました。応援メッセージがうれしかったです。いつものように、おいしくできました」とほっとした様子。しず枝さんは「教わるのではなく考える。コンテストに参加して大切なことを学んだと思います。どうしたらおいしく仕上がるか、自ら工夫してできるようになりました」と優風さんの成長を感じた。
〇ぼく作っていい?息子と調理を楽しむ/東海地区代表:三浦大知くん(小5)・美紀さん
時間のある時は「ぼく作っていい?」と率先して台所に立つようになった大知くん。食材にも興味を持ち、スーパーにも付いてくるそうだ。
美紀さんは「まさかの全国大会で緊張しっぱなしでしたが、始まると息子との料理をとても楽しめました」。大知くんは「いろいろな地方の郷土料理が一杯食べられて良かった」と感想を述べた。
〇参加して良かった、いろんな料理に挑戦/北陸地区代表:大森清良さん(小5)・百合子さん
清良さんは「参加して良かった。楽しかったし、他の親子の料理もおいしかった」と全国大会の感想を語った。
大森さん親子はよりおいしいご飯を目指し、レシピ作りに知恵を絞った。百合子さんは「コンテストを通じて料理への興味が高まり、パウンドケーキや卵焼きなど、いろいろな料理に挑戦するようになりました」と娘の成長ぶりを実感した。
〇母の言葉に安心、料理の奥深さ知る/近畿地区代表:岡田凱くん(小6)・さと子さん
「失敗もあったけれど、お母さんや出場者の皆さんに『がんばったね』『おいしい』などと言ってもらい、安心できました」と気持ちがほぐれた凱くん。さと子さんは「素材の良さの引き出し方や味付けなど、謎解きのように探って、料理の奥深さに目覚めたようです。ご飯を作ってもらえるありがたさに気付き、お手伝いも増えました」と息子の成長を喜ぶ。
〇親子で楽しもう!また来年も出たい/中国地区代表:青井姫奈さん(小5)・恵理さん
「親子で楽しもう!」を目標に調理を楽しみ、優勝した青井さん。姫奈さんは「昨年のリベンジができ、しかも優勝なんてうれしい。また来年も出たい」と喜び一杯に語る。
姫奈さんは今回、アジの三枚おろしにチャレンジした。「魚は私より上手にさばけるようになりました。何年も挑戦する間に、包丁がうまく使えるようになって頼もしい」と恵理さんはうれしそうだ。
〇準グランプリうれしい、感謝の気持ち芽生えた/四国地区代表:氏原陽月さん(小5)・詩子さん
「優勝は逃したけれど準グランプリに入れてうれしかった」と達成感ひとしおの陽月さん。自慢のアユ料理は骨を全部除き食べやすくなるよう気を配った。「リラックスして調理できる環境を作っていただきました。コンテストを経験して、食材を作って下さる農家や漁師の方への感謝の気持ちが芽生えたと強く感じました」と詩子さんは語る。
〇後悔しないように、思いやりの気持ち育つ/九州地区代表:宿利茉央さん(小2)・雅子さん
「全国大会まで来れてうれしいです。悔いが残らないように頑張りました」と語る茉央さん。雅子さんは「今まで食べる側だったのが作る側に回り、食べる人のことを考えていろいろなことを工夫し、思いやりの気持ちが今まで以上に持てる子になったと思っています。これからもその気持ちを大切にしてほしい」と期待を寄せた。
●審査委員の講評
・食料を大切にする努力を/【審査委員長】学校法人服部学園理事長服部栄養専門学校校長医学博士服部幸應氏
11組は5522倍を勝ち抜いた精鋭ぞろいで実力伯仲。点数を付けるのにとても苦労しました。
食育の基本には①安心・安全・健康な食材を選ぶ能力の育成、②一緒に食べる共食、③食品ロスの軽減—があります。日本の食品廃棄は2015年度で646万tと、食料難民約8000万人へ世界中から送られる食品の倍以上もあります。一方で食料自給率はたった38%です。こうしたことを知った上で料理をしてほしいと思います。
今日はお疲れさまでした。これからもおうちの人やお友達などにいろいろな料理を作ってあげて下さい。
・料理は明るく楽しく/【審査委員】帝国ホテル総料理長一般社団法人料理ボランティアの会代表田中健一郎氏
選手の皆さん、お疲れさまでした。今日は5000分の1の確率で審査することがいかに難しいか覚悟して参りましたが、本当に僅差で順位が分かれました。
審査については味に重きを置きましたが、それ以外にも効果的なガス火の使い方や食材ロスがないか、洗い物や厨房の整理整頓ができているかなどの観点からも採点しました。ただ、皆さん本当にコミュニケーションがしっかり取れていて、はたから見てうらやましくなる親子ばかりでした。
今日は料理は明るく楽しく作るものだということを、改めて教えてもらった気がします。
・自慢メニューを増やして/【審査委員】全国小学校家庭科教育研究会会長曽我部多美氏
皆さんのレシピを読むと地元の特産物をうまく活用し、発酵調味料など調味料に至るまで研究されていて驚きました。また、学校給食のメニューを取り入れたり、食材のうまみを引き出す調理法も工夫されていて、とても感心しました。レシピからこれがわが家の自慢のメニューだという主張が伝わってきます。
小学5、6年生で学ぶ家庭科ではガスの使い方を大事にします。料理の味は火加減で変わりますが、11組の親子はガス火調理のスペシャリストだと思いました。料理は何歳になっても親子でできるもの。今後もわが家の自慢メニューをどんどん増やして下さい。