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ガス大手が積極導入
電力関連や申込業務を自動化

2018年7月16日 本誌掲載


 定型的な業務を自動化するツール「ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)」を導入する企業の動きが活発化している。そこで、大手都市ガス事業者に導入状況を聞くと、いずれも業務の効率化にRPAを活用し始めていることがわかった。


業務を7割自動化/東京ガス

 東京ガスは、事業本部ごとにRPAを導入し、業務の効率化に活用し始めている。それらを詳しく見ていこう。

 まず、エネルギーソリューション本部では、2017年7月にNTTデータのRPAツール「WinActor(ウィンアクター)」を活用し始めた。

 高圧電力の申し込みでは契約内容をシステムに登録する業務の7割を自動化。顧客に渡す報告書の作成では複数のシステムから情報を取得する業務を自動化し、年間270時間分の業務を削減する見込みという。

 リビングサービス本部では、17年1月から子会社の東京ガスカスタマーサポートが契約事務センターにウィンアクターを導入。電力関連のデータ更新作業を中心に14の作業で活用している。リフォームや不動産仲介を手掛ける東京ガスリモデリングは買い入れ商品の検収報告に用いている。

 電力本部の電力トレーディング部では、需給計画やリスク管理業務にウィンアクターを活用している。表計算ソフト「エクセル」で計算した数値をシステムにアップロードしたり、ウェブサイト等に公開されている情報をダウンロードする業務を自動化している。

 導管ネットワーク本部では、業務改革の一環として今年1月に導入を決定。工事業務、維持管理業務などで試験運用を始めている。ガス工事の検討に必要な帳票作成業務にRPAを導入し、担当者の業務量を削減。併せて記入漏れがないかを事前に確認する機能を設け、業務の精度を向上させた。

 月例で行う定型的な実績集計作業にもRPAを導入し、業務量を削減するとともにヒューマンエラーの介在する余地を減らした。

 今後、RPAをはじめ、プロセスの見直し、基幹システムの改修などによって業務を効率化し、スリムでパワフルな導管事業者を目指すという。

作業ミスを低減/大阪ガス

 大阪ガスは18年5月からRPAを導入している。

 電力事業では需給調整関連業務に試験的に導入している。電力広域的運営推進機関からは休日、夜間に関わらず、需給調整を求めるメールが届き、直ちに対応が必要か判断するため、手作業でデータを確認する必要がある。この業務にRPAを導入。データと照合して即、対応が必要な場合だけ、関係者に自動的にメールを発信する。

 今後も料金事務や営業事務におけるシステムへの入力作業など、大量のデータを扱う作業の一部にRPAを導入して業務時間の短縮や、作業ミスの低減につなげ、大幅な業務効率化を進めていく方針だ。

業務時間を短縮/東邦ガス

 東邦ガスは17年3月から、顧客からの各種申し込みをシステムに登録する業務など、間接業務を担う部門を中心にRPAを活用している。狙いは作業時間の短縮、ヒューマンエラーの低減など。複数の業務で一定の時間が短縮できるなど、成果が出始めているという。

 生産性向上等の観点から社内の各本部で適用候補業務の調査を進めており、適用できる業務があれば順次、導入を検討していく予定としている。

 ただ、導入効果を最大化するにはRPAに任せる作業と人が行う作業を適切に切り分ける必要があるという。導入を機に業務プロセス自体を見直して一層の効率化、生産性向上につなげる。

人員を最適配置/西部ガス

 西部ガスは18年3月に顧客窓口業務の一部にRPAを先行導入した。業務効率化・合理化による時間外労働の削減、戦略的な重点分野への人員の最適配置が目的だ。

 具体的には事務処理センターでのインターネットによる閉開栓受け付け業務に活用。繁忙期は1日に最大400件の作業をRPAで処理し、担当要員が3人から1人に減るといった効果が出ているという。

 今後、各分野のバックオフィス業務を中心に幅広く導入することを検討している。

試験導入、検討も/中堅各社

 7月9日付の本連載(上)ではRPAの試験導入を始めた静岡ガスの取り組みを紹介した。他の中堅事業者にも導入状況を聞くと、各社とも、RPAの本格活用に向けた試験導入や、導入に向けた検討を進めている現状が浮かんできた。

 北海道ガスは本格導入を前提にした試行導入を検討している。エネルギー企画部門の電気事業担当の電力需給管理や、「北ガスの電気」の代理店拡大に伴う月次精算等の業務負荷軽減などに活用する方針。試行導入により効果を検証する予定だ。

 京葉ガスは試験的な導入を行っている。バックオフィス部門の各箇所で、定型作業をロボットに任せ、従業員が企画など非定型業務に一層注力できる環境を目指す。試験導入の結果、効果が見込めると判断した場合は全社的にRPAを展開していく。

 ただ、設定が想定以上に難しく、スキルの習得に一定の期間が必要という課題があるほか、運用ルールについても、セキュリティー面も含め、検討するべき側面が多いと認識しているという。

 このほか、日本ガスは今年度から導入に向けた検討を開始した。武州ガスも取り組むべき課題として調査を進めている。

リスクへの対応

 RPAを導入する都市ガス事業者は増えているが、注意すべき点もある。RPAシステムの導入支援業務を手掛けるコンサルティング会社、KPMGコンサルティングは4月下旬、RPAのリスク対応をテーマにした説明会を開催した。

 同社の担当者は、RPAは導入する企業は増えているものの、いったん設定したルールが不正に変更され、意図した処理ができなくなるリスク、RPAで処理したデータの管理が適切でなく、改ざんされてしまうリスク、活用部門が増え、RPAを管理できなくなるリスク、RPAの稼働が突然、止まってしまうリスクなどを認識することが重要と説明。こういったリスクに対処しながらRPAを導入していくことが重要と説明した。

(柳沼 倫彦)

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