【文化】『文章読本』を読む 【10面】
谷崎潤一郎など高名な小説家が書いた『文章読本』を読んでも、文章がうまくならないという説があるが本当なのか。ならば、多くの『文章読本』が今も読まれるのはなぜか。また、文章がうまくなる方法は他にあるのか考えてみた。
○時代を越えて読まれる
手元に10冊の『文章読本』および関連本がある。1934(昭和9)年に発行された谷崎潤一郎『文章讀本』(現在は中公文庫)が第一号で、その後に出版される類似本の基準になっている。第二世代としては50(昭和25)年の川端康成『新文章讀本』(タチバナ教養文庫)、59(昭和34)年の三島由紀夫『文章読本』(中公文庫)、75(昭和50)年の中村真一郎『文章読本』(新潮文庫)の3冊。さらに時代が下って77(昭和52)年の丸谷才一『文章読本』(中公文庫)と84(昭和59)年の井上ひさし『自家製 文章読本』(新潮文庫)の2冊。