【第1部】LNGの脱炭素化方策を検討/梶山弘志経産相インタビュー 【1面】
菅義偉首相の「2050年温室効果ガス排出実質ゼロ」(カーボンニュートラル)宣言で政府のエネルギー政策が注目される中、梶山弘志経済産業相は、ガスエネルギー新聞の書面インタビューに応じ、「需要が拡大するLNGには、再生可能エネルギーの調整電源としても期待する」と表明する一方、「LNGバリューチェーン全体の脱炭素化について具体的な方策をまとめたい」と述べた。また、ガス事業者に対し「地域の課題に自治体、企業と一体となって地方創生に貢献してほしい」と期待を寄せた。一問一答は以下の通り。
―世界的な脱炭素の潮流の中でLNGが果たすべき役割。また、そのために必要なことは。
今後、世界のエネルギー需要が拡大することが見込まれる中で、LNGは引き続き重要なエネルギー源であり続けると考えています。実際、IEA(国際エネルギー機関)の持続可能な開発シナリオにおいても、LNGの需要は拡大すると見込まれています。
これは、LNGが石炭と比較して非常に環境負荷が小さく、かつ生産地が世界中に分散されているため、安定供給にも資するからです。また、今後導入が拡大する再生可能エネルギーの調整電源としての役割も期待されています。さらに、天然ガスは燃焼時にCO2を排出しない燃料として期待される水素やアンモニアの生成においても重要な原料であり、現在の水素の75%は天然ガス由来と言われています。
しかしながら、世界の脱炭素化に向けては、環境負荷が化石燃料の中で最も低いLNGでさえ、バリューチェーン全体で温室効果ガス(GHG)を削減していくことが必要です。このため、昨年10月に開催したLNG産消会議では、世界の脱炭素化に向けたLNG活用の必要性に加えて、LNGの生産、輸送、消費に至るバリューチェーン全体で脱炭素化を実現していく取り組みについて、日本が世界を主導することを宣言しました。